2014年6月15日日曜日

田中 耕一 (著)「生涯最高の失敗」

田中 耕一 (著)「生涯最高の失敗」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4022598360/>
単行本: 240ページ
出版社: 朝日新聞社 (2003/9/9)
ISBN-10: 4022598360
ISBN-13: 978-4022598363
発売日: 2003/9/9

[書評] ★★★★★

2002年ノーベル化学賞を受賞された田中耕一さん(島津製作所)の自著。マスコミから数多く寄せられたインタビューに代わり、世間(特に研究者・技術者とその上司)に宛てて伝えたいことを書いた本。

研究者・技術者には、新しいものを生み出すために、「見えないものを見る努力をする」ことを伝える。また、自分の仕事をちゃんと説明することの重要性についても説く。日本人が得意とするチームワークの良い点は残しつつも、チームの「和」だけでなく、外の世界にも視野を広げるべきこと。真面目にこつこつやることがバブル景気の頃から恰好悪いと思われる傾向にあるが、これを甘く見てはいけないことも説く。当たり前と言えば当たり前だが、ともすると忘れられがちな大切なことだ。

また、研究・開発を行う組織に対しては、新しい物を生み出す活動については、失敗に対してもっと寛容になるべきことと、失敗につながったとしても、その努力はキチンと評価するのが良いと勧めている(減点主義ではなく加点主義とする)。これまた当たり前のことなのだが、実際には減点主義の組織で冒険が出来ない研究者・技術者が多いというのが日本企業の実情だろう。

研究・開発に携わる人にもお勧めできるが、そういった組織を取りまとめる人(上司)にこそ読んで欲しい本。

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