2016年4月23日土曜日
佐藤優「「ズルさ」のすすめ」
佐藤優「「ズルさ」のすすめ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4413044401/>
新書: 216ページ
出版社: 青春出版社 (2014/12/2)
言語: 日本語
ISBN-10: 4413044401
ISBN-13: 978-4413044400
発売日: 2014/12/2
[書評] ★★☆☆☆
元・駐露大使館員~外務省主任分析官。鈴木宗男氏がらみの事件で逮捕・起訴され、09年有罪確定。チョット変わった経歴をお持ちの佐藤氏。論者として、時々ニュース解説等に現れる。話は非常に整理されていてわかり易い。国際感覚は確か(外交官僚やっていた位だからそうでなくては困るが/笑)。右でも左でもない。ストレートな視点から、日本国民の生命と財産と幸福な人生を送る上で、国はどうあるべきかを考える人。
閑話休題。
本書は佐藤氏の専門分野ではなく、一般のビジネスマン向け処世術のような本。章立ては以下の通り:①人と比べない(他人のモノサシだけで自分を評価しない)、②問題から目をそむけない(問題を整理し正しく対処する)、③頭で考えない(経験を積んで直観力を養う)、④時間に追われない(自分の時間を管理する)、⑤酒に飲まれない、⑥失言しない、⑦約束を破らない、⑧恩を仇で返さない、⑨嫌われることを恐れない、⑩人を見た目で判断しない(見た目や肩書だけで判断しない)、⑪上下関係を軽んじない。ビジネスパーソンとしては至極当たり前のことばかり。が、時々ハッとさせられる記述がある(だから面白いんですよね)。
人間が社会や組織の中でしか生きられないことと、そこには必ず上下関係と権力構造があり、自由や平等が幻想にすぎない(だからこそ自由や平等を求め続けなければいけないのだが)。また、今後グローバル化の波で企業の「戦闘集団化」は避けられない流れ。そんなアンビバレンツの中で、組織の中でうまくやりすごすにはどうしたら良いか、自分らしい生き方をするにはどうしたら良いか、…等について助言をくれる。
厳しい評価をすると、毒にこそならないが、あまり薬にもならない本(この辺りが青春出版社クオリティなのかも知れない)。政治(&経済&軍事)ジャーナリスト・作家として名が売れてきた佐藤氏の「小遣い稼ぎ本」のようにも思える。佐藤氏は、一般的なビジネスの領域ではなく、やはり政治経済のことを書いてくれた方が面白いと思う。
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