ヤマザキマリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (1~5)」(コミック)
[書評] ★★★☆☆
ウォルター・アイザックソンによるスティーブ・ジョブズ公式評伝(「STEVE JOBS: THE BIOGRAPHY」)のコミック版。描いたのは、人気漫画『テルマエ・ロマエ』の作者、ヤマザキ マリ氏。
アイザックソンによる原作を大幅に翻案・再構築しつつも、Jobsの有名な台詞をしっかり残すなど、印象深い作品になっている。Apple IIに始まり、Appleから追放された後に作ったハイエンドワークステーション・NeXT (コンピュータ) & NEXTSTEP (OS)、CGアニメ会社Pixar、Appleに返り咲いた後のiMac・iPod・iPhone・iPad…といった華々しい業績。その一方で、XEROX社パロアルト研究所(PARC)からの強引とも言える技術(GUI & ビットマップディスプレイ)の“剽窃”(もう少し後年であったら間違いなく大規模な知的財産訴訟になっていただろう)、自身が養子であったこと・実の娘を認知しなかったこと、…等、闇の部分にも触れる。
原作は、ハードカバー上下合わせて約880頁の本。文字ばかりの本を読むのは苦手だけど、スティーブ・ジョブズの伝記を読みたいという人にはオススメ。ただ、作り込まれたドラマというものは無いので、多くの漫画(コミック)のような起承転結は期待しないように!(笑) アイザックソンの原書(やその訳書)を読んだ人は読まなくて良いかも知れない…。が、私の場合、アイザックソン本(井口訳)を読んでから時間が経っていたので、おさらい的な意味で楽しむことが出来た。
ところで、本書は5巻では完結していない気がするのだが、第6巻はいつ出るのだろう? これまでの出版ペースから見て、今年(2017年)夏頃発売の第6巻にて完結、という運びになりそうだが…ちょっと待ち遠しい。
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以下書誌事項:
- ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (1)」(講談社 KCデラックス、2013/8/12)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4063768759/> - ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (2)」(講談社 KCデラックス、2014/4/11)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4063769631/> - ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (3)」(講談社 KCデラックス、2014/12/12)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4063770974/> - ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (4)」(講談社 KCデラックス、2015/9/11)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4063773043/> - ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (5)」(講談社 KCデラックス、2016/8/12)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4063930041/>
【余談:表紙の絵について】
1巻の表紙は、アイザックソンの原著とほぼ同じ。2巻・3巻は若かった頃のJobsですね(Jobsの外見ですが、各時期に合わせているようです…ヤマザキさん芸が細かい!)。4巻の表紙でJobsが膝の上に載せているのは、初期型のMacintoshですね。当時他社製マシンがキャラクタベースのいわゆるDOSマシンだった(通信機能は後付けでRS-232Cを介したモデム通信くらいしかなかった)のに対し、標準でGUI・ネットワーク機能(AppleTalk)を搭載した先進的マシンでした(動作は遅かったけど面白かったです)。5巻の表紙ではiMac (G3)。CD-ROMドライブがスロットローディングになる前の、初代モデルですね。絵がやたらとリアルですよね←ヤマザキさんご本人も使っていたのではないでしょうか。4~5巻の間で、Jobsは一度Appleを追い出されています。5巻表紙でJobsが一気に老けているのは、この間に何年もの時間があったからでしょう。
以下、ウォルター・アイザックソンによる原作の書誌事項:
- ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳) 「スティーブ・ジョブズⅠ」(講談社、2011/10/25)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4062171260/> - ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳) 「スティーブ・ジョブズⅡ」(講談社、2011/11/2)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4062171279/> - 井口訳の拙書評(2012/07/04)
<https://yuubookreview.blogspot.jp/2012/07/blog-post_04.html>
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【余談:私の最近の書評について】
4月の書評が全部コミックになってしまった…。1か月でコミック計61冊+アニメDVD 13巻って、大人としてどうなのよ?>ワタシ。4月1日だけじゃなく、月末までずっと「4月馬鹿」ってか?(苦笑)。
4月の書評が全部コミックになってしまった…。1か月でコミック計61冊+アニメDVD 13巻って、大人としてどうなのよ?>ワタシ。4月1日だけじゃなく、月末までずっと「4月馬鹿」ってか?(苦笑)。