2017年4月30日日曜日

ヤマザキマリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (1~5)」(コミック)


ヤマザキマリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (1~5)」(コミック)

[書評] ★★★☆☆

ウォルター・アイザックソンによるスティーブ・ジョブズ公式評伝(「STEVE JOBS: THE BIOGRAPHY」)のコミック版。描いたのは、人気漫画『テルマエ・ロマエ』の作者、ヤマザキ マリ氏。

アイザックソンによる原作を大幅に翻案・再構築しつつも、Jobsの有名な台詞をしっかり残すなど、印象深い作品になっている。Apple IIに始まり、Appleから追放された後に作ったハイエンドワークステーション・NeXT (コンピュータ) & NEXTSTEP (OS)、CGアニメ会社Pixar、Appleに返り咲いた後のiMac・iPod・iPhone・iPad…といった華々しい業績。その一方で、XEROX社パロアルト研究所(PARC)からの強引とも言える技術(GUI & ビットマップディスプレイ)の“剽窃”(もう少し後年であったら間違いなく大規模な知的財産訴訟になっていただろう)、自身が養子であったこと・実の娘を認知しなかったこと、…等、闇の部分にも触れる。

原作は、ハードカバー上下合わせて約880頁の本。文字ばかりの本を読むのは苦手だけど、スティーブ・ジョブズの伝記を読みたいという人にはオススメ。ただ、作り込まれたドラマというものは無いので、多くの漫画(コミック)のような起承転結は期待しないように!(笑) アイザックソンの原書(やその訳書)を読んだ人は読まなくて良いかも知れない…。が、私の場合、アイザックソン本(井口訳)を読んでから時間が経っていたので、おさらい的な意味で楽しむことが出来た。

ところで、本書は5巻では完結していない気がするのだが、第6巻はいつ出るのだろう? これまでの出版ペースから見て、今年(2017年)夏頃発売の第6巻にて完結、という運びになりそうだが…ちょっと待ち遠しい。

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以下書誌事項:
  • ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (1)」(講談社 KCデラックス、2013/8/12)
    <https://www.amazon.co.jp/dp/4063768759/>
  • ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (2)」(講談社 KCデラックス、2014/4/11)
    <https://www.amazon.co.jp/dp/4063769631/>
  • ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (3)」(講談社 KCデラックス、2014/12/12)
    <https://www.amazon.co.jp/dp/4063770974/>
  • ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (4)」(講談社 KCデラックス、2015/9/11)
    <https://www.amazon.co.jp/dp/4063773043/>
  • ヤマザキ マリ(著), ウォルター・アイザックソン(原著)「スティーブ・ジョブズ (5)」(講談社 KCデラックス、2016/8/12)
    <https://www.amazon.co.jp/dp/4063930041/>
 
 

【余談:表紙の絵について】

1巻の表紙は、アイザックソンの原著とほぼ同じ。2巻・3巻は若かった頃のJobsですね(Jobsの外見ですが、各時期に合わせているようです…ヤマザキさん芸が細かい!)。4巻の表紙でJobsが膝の上に載せているのは、初期型のMacintoshですね。当時他社製マシンがキャラクタベースのいわゆるDOSマシンだった(通信機能は後付けでRS-232Cを介したモデム通信くらいしかなかった)のに対し、標準でGUI・ネットワーク機能(AppleTalk)を搭載した先進的マシンでした(動作は遅かったけど面白かったです)。5巻の表紙ではiMac (G3)。CD-ROMドライブがスロットローディングになる前の、初代モデルですね。絵がやたらとリアルですよね←ヤマザキさんご本人も使っていたのではないでしょうか。4~5巻の間で、Jobsは一度Appleを追い出されています。5巻表紙でJobsが一気に老けているのは、この間に何年もの時間があったからでしょう。

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以下、ウォルター・アイザックソンによる原作の書誌事項:

 
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【余談:私の最近の書評について】

4月の書評が全部コミックになってしまった…。1か月でコミック計61冊+アニメDVD 13巻って、大人としてどうなのよ?>ワタシ。4月1日だけじゃなく、月末までずっと「4月馬鹿」ってか?(苦笑)。

2017年4月23日日曜日

楠みちはる「銀灰のスピードスター SERIES 1 & 2」(コミック)

 

楠みちはる「銀灰のスピードスター SERIES 1 ターボ3.6」(小学館ビッグコミックス、2014/11/28)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4091866034/>
コミック: 186ページ
出版社: 小学館 (2014/11/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091866034
ISBN-13: 978-4091866035
発売日: 2014/11/28

楠みちはる「銀灰のスピードスター SERIES2 GT-R(RB26)」(小学館ビッグコミックス、2015/5/29)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4091870252/>
コミック: 198ページ
出版社: 小学館 (2015/5/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091870252
ISBN-13: 978-4091870254
発売日: 2015/5/29

[書評] ★★☆☆☆

『湾岸MIDNIGHT』シリーズの締めの作品です。またまた同じ友人が貸してくれました。もうお腹いっぱいです(笑)。クルマいじりの英才教育(?)の受講期間は、とりあえず今回で終わりです(笑)。
本作品は、クルマのメカニックが主人公。目標としていた先輩メカニックが不慮の事故(なのか?)で還らぬ人となり、その先輩が手掛けていた車を担当することに。

編集担当からのおすすめ情報として、“『湾岸MIDNIGHT』のスタートは実は「週刊ビッグコミックスピリッツ」でした。「クルマ漫画を描くのはこれが最後になるかもしれない」「納得のいくものを描きたい」と並々ならぬ意気込みで、楠先生が「スピリッツ」に再登場。”とのことです。が、小学館ビックコミックへの義理立て目的のヤッツケ仕事だったのか(邪推ですが)、講談社ヤンマガのシリーズと比べると、絵が少し雑です。ストーリーがしっかり作られているだけに、ちょっと勿体無いかも知れません。。

2017年4月16日日曜日

楠みちはる「湾岸MIDNIGHT C1ランナー」コミック全12巻


楠みちはる「湾岸MIDNIGHT C1ランナー(1)」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4063617718/>

[書評] ★★★☆☆

『よろしくメカドック』(全7巻)、『湾岸MIDNIGHT』(全48巻)、同DVD(全13巻)、に続いて同じ人(友人)が貸してくれた公道カーレース漫画。借り物なので早く返そうと頑張って読むと、すぐ次が貸して貰えるという…どんな詰め込み教育デスカ?(笑)
さて、本作。ストーリー的には、『湾岸MIDNIGHT』(全48巻、以下『M』)のスピンオフ作品と言えるでしょう。『M』で脇役だった人物が、本作でのメインアクター。公道バトルのステージは『M』と同じ首都高ですが、本作でのメインステージは湾岸線(B1)ではなく、都心環状線(C1)。

最後の最後で『M』の主人公・アキオの駆る“悪魔のZ”が出てきたのは、チョット嬉しかったかも。でも、同エリアで似たようなことをしていながら、それまで関わりが無かったというのは少し不自然かも知れません。…まあ、別の物語ということでアリな設定かも知れませんが。

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12巻末尾に、『湾岸MIDNIGHT』の連載開始当時のゴタゴタについての説明があります(小学館「ビッグコミックスピリッツ」から講談社「ヤングマガジン」に移った経緯など)。読者への事情説明なのかも知れませんが、かなり言い訳めいているのような気も…(ここだけは低評価をつけたいです)。

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以下、発売日等の情報& Amazonリンク:

2017年4月9日日曜日

楠みちはる「湾岸MIDNIGHT」DVD全13巻

DVD 01巻パッケージ
※違うパッケージもあるようですが、貸してもらえたのはコレでした。

楠みちはる「湾岸MIDNIGHT」DVD全13巻

[評価] ★★★☆☆

これまたクルマいじりが趣味の友人が貸してくれた「教育資料」(笑)。

実は原作コミックを読む前に一通り観ました。

公道カーバトル漫画、『頭文字D』と双璧なす『湾岸MIDNIGHT』のアニメ作品です。本作は原作漫画全42巻のうち、第1巻~第24巻途中までの内容です(キリの良い所で終わっているのですが)。映像の尺の問題等もあったのでしょうが、登場人物やそれぞれのストーリーが大幅に削られていて、流れがかなりシンプルになっています。原作漫画を読んだ後だから言えるのですが、車のチューニングに関する技術的表現は少な目です。また、登場人物の心理描写も控えめですね。なぜスピードに取り憑かれるのか、なぜライバルと仲間意識を持てるのか、その辺りの表現が少し足りていない気がします。あと、ヒロイン・レイナが原作と比べておとなしめですね(原作では自分の感情に素直でアクティブな女性ですが、映像作品ではもう少し大人な女性になっています)
  • 『頭文字D』は原作48巻全てが映像化されていますが(原作漫画に無い追加エピソードもあったりします)、一気に観るには分量が多過ぎるので(一体何シーズンあったのよ?/笑)、本作くらいの分量にまとめられているのが丁度良いのかも知れません。
ところで。制作会社(オービー企画)&土屋圭一氏監修が『頭文字D』と同じだからでしょうか、映像効果やBGMの雰囲気は『D』とよく似ています(笑)。さらに、『D』と声優も一部同じ。『D』の主人公・藤原拓海クン(CV三木眞一郎さん)が本作で主人公の好敵手・島達也さんの声を担当していたのは少し笑いました。

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以下、発売日情報・Amazonリンク:

2017年4月2日日曜日

楠みちはる「湾岸MIDNIGHT」コミック全42巻

楠みちはる「湾岸MIDNIGHT(1)」

[書評] ★★★★★

以前予告(?)した通り、iOS/Androidスマホ用ゲーム「ドリフト・スピリッツ」繋がりで読むことになった(読まされることになった/笑)、公道カーレース漫画の人気作品です。先日読んだ『よろしくメカドック』と同じく、車いじりが大好きで今もヤンチャなクルマに乗っている友人が貸してくれました(←シリーズ全42巻+DVD 13巻を1度に渡されました…重いですってば!/笑)。でも、紙媒体の本は現在入手困難なので(Kindle版は現在も入手可)、貴重な漫画を読むことができました。

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この漫画、読み始めると止まらなくなる「かっぱえびせん漫画」です(しげの秀一『頭文字D』(全48巻)にも通じるものがあります:最終第48巻・拙書評リンク)。ひと言で言えば、メッチャ面白いです。漫画(コミック)で生活が乱れるのは久しぶりです(前回は去年4月に読んだ、新川直司『四月は君の嘘』全11巻以来でしょうか:拙書評リンク)。

首都高速、湾岸線や都心環状線をステージとした、スピードに取り憑かれた男たちの物語。ステージは、湾岸線(B)、都心環状線(C1)・横羽線(K1)・羽田線(1)・台場線(11)・深川線(9)。関東エリアで車を運転する人にとっては、見慣れた景色が度々出てきます(出版後年月が経ってしまっているので、一部の景色は変わっていますが)。

ほぼ同時期に連載~出版されていた人気漫画『頭文字D』(既読)が主にドライバー視点での話が多かったのに対し、本作『湾岸ミッドナイト』は、メカニック視点の話が多め。商売として成立するカーチューニングと、究極を目指すチューニングとの違いが明確に描かれていたり、主人公も含め多くの登場人物の人生の描写が濃厚。特に金銭面については、『頭文字D』でクルマの改造費(何百万円掛かっているのだろう?)が軽くスルーされているなどチート(笑)があったのに対し、本作はこと金銭に関しては結構現実的なストーリーが多いです。もっとも、公道で出せるスピードや運転技術に多少チートが見られますが…(笑)。モノ作りに関わる人間として、色々考えさせられるものがありました。

それにしても、自動車を中心とする機械の技術に関して、薀蓄(ウンチク)が半端じゃないデス。30巻を過ぎてから薀蓄(と人生に関する説教)が急激に増えたところを見ると、作品に深みを持たせる為に途中で綿密な調査を行なったのかも知れません。戦中~戦後の航空機技術が戦後の自動車産業に活用された経緯など、非常に解り易いです。

あと余談ですが、「首都高ナビマップ」等を見ながら読むと、より面白いかもです。
以下、全42巻の発売日情報+Amazonリンク。