2014年1月29日水曜日
岡田斗司夫 FREEex (著)「『風立ちぬ』を語る 宮崎駿とスタジオジブリ、その軌跡と未来」
岡田斗司夫 FREEex (著)「『風立ちぬ』を語る 宮崎駿とスタジオジブリ、その軌跡と未来」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4334037704/>
新書: 190ページ
出版社: 光文社 (2013/11/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4334037704
ISBN-13: 978-4334037703
発売日: 2013/11/15
[書評] ★★☆☆☆
映画「風立ちぬ」と、宮崎駿監督について書いた本。内容は、宮崎監督の作品作りに関する分析が中心。「素人は映画をちゃんと見ていないけど、俺はちゃんと分析的に見ているぞ」と一般人を見下した書き方がちょっと鼻につく。娯楽映画なんだから、大衆が見て「良い」と思うかどうかでしょ~、みたいな(笑)。
後半の、「『風立ちぬ』への疑問に答える」での筆者・岡田氏なりの解釈はそれなりに面白い。エピローグでの芸能論・芸術論も、核心を突いているように思える。
「外側から見た宮崎駿監督」を知るには面白い本かもしれないが、あくまでも岡田氏の一方的な見方である。「風立ちぬ」公開と宮崎監督の引退発表に乗じた、小銭稼ぎ的な本、という感じは否めない。
2014年1月25日土曜日
野口聡一 (著), 大江麻理子 (著)「野口さん、宇宙ってどんなにおいですか?」
野口聡一 (著), 大江麻理子 (著)「野口さん、宇宙ってどんなにおいですか?」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4022508248/>
単行本: 168ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2012/3/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4022508248
ISBN-13: 978-4022508249
発売日: 2012/3/16
[書評] ★★★★★
先週末に続き、また大江麻理子さんシリーズです(笑)。
野口聡一さんは、2005年にスペースシャトルSTS-114のクルーとして宇宙初飛行、日本人初のISS(国際宇宙ステーション)で船外活動を行った人。2009年12月にソユーズTMA-17に搭乗して2度目の宇宙飛行、翌2010年6月に帰還するまで163日間ISSに滞在した。
大江麻里子さんは言わずと知れたテレビ東京のアナウンサー(現在ニューヨーク支局)。2009年にジョンソン宇宙センター(ヒューストン)の取材をし、その年の大晦日に、ジルベスターコンサートでISSに搭乗した野口さんとの共演を通じて、一気に“宇宙ファン”になってしまった人。
さて、本書は、ISSクルーが地球を飛び立ってから帰還するまでの間、どのような生活をし、どのような仕事をしているかを平易に、多くの人に解り易く解説した本だ。中学生位にも普通に読める内容であり、宇宙への夢を掻き立ててくれる本だ。日本人の宇宙飛行士が何人も宇宙に行ってニュースになり、コミック「宇宙兄弟」が売れる時代だ(こちらはフィクションだが、日米露の宇宙開発をよく調べていると思う)。そして本書はフィクションではなく、実際に宇宙ステーションで働いてきた人の生の声。宇宙を目指す若い人がもっと増えるといいなぁ、と期待を抱かせる本だ。
巻頭の宇宙から見た日本や世界各地の写真が非常に美しい。特に夜景が非常に綺麗。これを見るためだけでも、本書を買う価値ありです。
宇宙にロマンや希望を抱く人は必読! 中学生・高校生にもわかりやすい内容なので、子供のための教養書としても良いと思います。
<http://www.amazon.co.jp/dp/4022508248/>
単行本: 168ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2012/3/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4022508248
ISBN-13: 978-4022508249
発売日: 2012/3/16
[書評] ★★★★★
先週末に続き、また大江麻理子さんシリーズです(笑)。
野口聡一さんは、2005年にスペースシャトルSTS-114のクルーとして宇宙初飛行、日本人初のISS(国際宇宙ステーション)で船外活動を行った人。2009年12月にソユーズTMA-17に搭乗して2度目の宇宙飛行、翌2010年6月に帰還するまで163日間ISSに滞在した。
大江麻里子さんは言わずと知れたテレビ東京のアナウンサー(現在ニューヨーク支局)。2009年にジョンソン宇宙センター(ヒューストン)の取材をし、その年の大晦日に、ジルベスターコンサートでISSに搭乗した野口さんとの共演を通じて、一気に“宇宙ファン”になってしまった人。
さて、本書は、ISSクルーが地球を飛び立ってから帰還するまでの間、どのような生活をし、どのような仕事をしているかを平易に、多くの人に解り易く解説した本だ。中学生位にも普通に読める内容であり、宇宙への夢を掻き立ててくれる本だ。日本人の宇宙飛行士が何人も宇宙に行ってニュースになり、コミック「宇宙兄弟」が売れる時代だ(こちらはフィクションだが、日米露の宇宙開発をよく調べていると思う)。そして本書はフィクションではなく、実際に宇宙ステーションで働いてきた人の生の声。宇宙を目指す若い人がもっと増えるといいなぁ、と期待を抱かせる本だ。
巻頭の宇宙から見た日本や世界各地の写真が非常に美しい。特に夜景が非常に綺麗。これを見るためだけでも、本書を買う価値ありです。
宇宙にロマンや希望を抱く人は必読! 中学生・高校生にもわかりやすい内容なので、子供のための教養書としても良いと思います。
2014年1月22日水曜日
玉井 雪雄 (著)「じこまん~自己漫~(2)」(コミック)
玉井 雪雄 (著)「じこまん~自己漫~(2)」
コミック
出版社: 日本文芸社 (2014/1/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 4537131233
ISBN-13: 978-4537131239
発売日: 2014/1/18
[書評] ★★★★★
自転車漫画を書く漫画家が、自身の自転車噺を描いたコミック、その2。この作者による自転車漫画「かもめチャンス」は、昨年9月に完結。
1巻は初めて自転車(特にロードレーサー)に乗るようになった話が中心だったが(拙書評)、2巻は、ある程度走れるようになったサイクリストにとっての快適グッズ、マナー、レースを観る楽しみ等について描いている。絵や文字数は1巻ほど濃くないかな? 結構読み易い。
1巻に続き、2巻でも交通ルールやマナーの話がしっかり描かれている。作者・玉井氏が、自身の自転車生活で痛切に感じていることなのだろう。また、乗り始めたばかりの人がよく陥るコト(「自転車黒歴史」)とかも書かれており、今回も作者の良心を感じた。
大人のサイクリスト全てにオススメできるんじゃないかな?
それはそうと。玉井氏がよく走っている千葉エリアのコース、私とかなり重複しています。どこかで見掛けたりしているかもなー、みたいな(笑)。(走っている時、他の人の顔なんか見ちゃいませんけど…でも、バイク(フレーム)とかパーツはガン見しているんですよね。/笑)
・ ・ ・ ・ ・
本書を買うため、発売日の1/18(土)に書店をハシゴしてしまった。自宅から気楽に自転車で買いに行ける店(寒いので半径10km以内ね/笑)には置いてありませんでした。結構マニアックな漫画だからなぁ(笑)。Amazon.co.jp等の通販を使わずに店舗を回ったのは、それだけすぐ読みたかったから。エンゾ早川氏の本みたいな変な中毒性があるのかも知れない。
2014年1月19日日曜日
日経ヴェリタス(編集)「日経ヴェリタス 大江麻理子のモヤモヤとーく2」
日経ヴェリタス(編集)「日経ヴェリタス 大江麻理子のモヤモヤとーく2」
<http://www.amazon.co.jp/dp/453219654X/>
文庫: 349ページ
出版社: 日本経済新聞出版社 (2012/10/2)
ISBN-10: 453219654X
ISBN-13: 978-4532196547
発売日: 2012/10/2
[書評] ★★★★★
ラジオNIKKEI第1のPodcast「日経ヴェリタス 大江麻理子のモヤモヤとーく」(放送日:2009/6/2~2013/3/19)の書籍・第2弾。
さて。
本書は“積ん読”のまま放置していた物(苦笑)。政治・経済に関わるネタは生ものなので「今さら」感もあるのだが、この本は今読んでも価値のある本だと思った。本書の発行日は2012/10/2。時期的に、内容は震災復興、ギリシャをはじめとする欧州の財政危機などについて書かれている。時間が経ったニュース(newsがnewでなくなっている)について、こうして改めて読むと、「整理する」・「理解を深める」のに非常に有効。
上述の通り、番組改変(担当者変更)されてしまったが、その後の日本経済(アベノミクス)・世界経済(日本と各国の政治経済、米国や欧州の経済のその後、国家間の関係など)を中心とした最近の話題も、本書同様に整理してくれる本が発行されることを望みたい。期待値も込めて、★5つだ!
<http://www.amazon.co.jp/dp/453219654X/>
文庫: 349ページ
出版社: 日本経済新聞出版社 (2012/10/2)
ISBN-10: 453219654X
ISBN-13: 978-4532196547
発売日: 2012/10/2
[書評] ★★★★★
ラジオNIKKEI第1のPodcast「日経ヴェリタス 大江麻理子のモヤモヤとーく」(放送日:2009/6/2~2013/3/19)の書籍・第2弾。
- 第1弾は2009/11/3発行、私が書評を書き始める前に読了。
さて。
本書は“積ん読”のまま放置していた物(苦笑)。政治・経済に関わるネタは生ものなので「今さら」感もあるのだが、この本は今読んでも価値のある本だと思った。本書の発行日は2012/10/2。時期的に、内容は震災復興、ギリシャをはじめとする欧州の財政危機などについて書かれている。時間が経ったニュース(newsがnewでなくなっている)について、こうして改めて読むと、「整理する」・「理解を深める」のに非常に有効。
上述の通り、番組改変(担当者変更)されてしまったが、その後の日本経済(アベノミクス)・世界経済(日本と各国の政治経済、米国や欧州の経済のその後、国家間の関係など)を中心とした最近の話題も、本書同様に整理してくれる本が発行されることを望みたい。期待値も込めて、★5つだ!
2014年1月15日水曜日
大西 宏 (著)「ビジネス番長 -スティーブ・ジョブズと松下幸之助 成功の掟」
大西 宏 (著)「ビジネス番長 -スティーブ・ジョブズと松下幸之助 成功の掟」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4072924393/>
新書: 304ページ
出版社: 主婦の友社 (2013/11/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4072924393
ISBN-13: 978-4072924396
発売日: 2013/11/27
[書評] ★★☆☆☆
松下幸之助とスティーブ・ジョブズの共通点と相違点を挙げ、ポイントポイントで御教訓を垂れて下さる御本。筆者はビジネスコンサルタントで、松下幸之助氏から直接指導を受けた最後の世代らしい。松下氏への傾倒と、ジョブズ氏への憧憬が非常に強いことはよく分かる本だ。しかし残念ながら、読んで何かを得たいと思ったら、他に良い本はたくさんあるだろう。
松下氏については、直接指導を受けた世代ということもあり、松下氏に関する多くのエピソードは興味深く読める。しかし、ジョブズ氏についてはどうだろう。ウォルター・アイザックソン氏の著作「スティーブ・ジョブズ(Ⅰ・Ⅱ)」(拙書評:2012/07/04)からの引用が殆どだ。それに、松下氏とジョブズ氏の共通点・相違点を無理矢理整理したせいだろうが、“御教訓”が二氏の「凄い点」の本質を外しているような気がしてならない。松下氏は松下氏、ジョブズ氏はジョブズ氏の評伝を夫々分けて読んだ方が良い。
辛めの書評となってしまうが:新書としては少し高めの価格の割に(¥1,000-)、あまり得るものは無かったなぁ、というのが正直なところ。
2014年1月12日日曜日
今野 晴貴 (著) 「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」
今野 晴貴 (著) 「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4166608878/>
新書: 245ページ
出版社: 文藝春秋 (2012/11/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4166608878
ISBN-13: 978-4166608874
発売日: 2012/11/19
[書評] ★★★★☆
新年早々、シリアスな内容の本を(笑)。
2006年に若者の労働相談を受け付けるNPO法人「POSSE」を設立した筆者による、ブラック企業とそれを生んでしまった日本社会の改善すべき点を訴える本。2000年以降、「フリーター」「ニート」などに代表される若年層の労働問題について、一般的に、問題は若者側にあるとされてきた。しかし、本書では、そういった若者を食い物にして成長を遂げる企業と、そのような企業の存在を許してしまう日本の社会構造の側に問題があると述べる。日本の労使関係が先進諸国の中で異様なものとなっていることについて、歴史的背景から書かれており、この辺りも非常にわかりやすい。
労働問題で被害に遭っている人にとっては、本書と、古川琢也(著)「ブラック企業完全対策マニュアル」(晋遊舎、2013/5/27)(Amazon、拙書評)は福音の書かも知れない。この2冊で基本的なことを知ったら、あとは行動するのみだ。行政(労基署)や社労士、弁護士に相談する際に気を付けるべきポイントなどが分かるので、行動する前に色々確認することができる。また、労働問題に遭っていない(と思っている)人も、自分や仲間の置かれている立場を確認する上でも、また、次に自分が被害に遭わないためにどのように防衛手段を取るかを知る上で、本書は非常に有効だと思う。
また、労働者を雇う側の立場の人も、本書を読むと、何をやったらアウトか、どうして今のようになってしまったのかを考える機会になる。部下を持つ全ての人に読んでほしい本だ。特に、労務管理に携わっている人にとっても必読の書だと思う。
明るい話題の本ではないが、良書。
2014年1月8日水曜日
レイ・ブラッドベリ(著)「華氏451度」
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さて、今年の1冊目です。レイ・ブラッドベリ「華氏451度」です。
レイ・ブラッドベリ(著), Ray Bradbury (原著), 宇野 利泰 (翻訳)
「華氏451度 (ハヤカワ文庫SF) [文庫]」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4150116911/>
文庫: 338ページ
出版社: 早川書房 (2008/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150116911
ISBN-13: 978-4150116910
発売日: 2008/11
[書評] ★★★★☆
華氏451度は摂氏233度にあたり、紙が自然発火する温度だという。本書は、読書や本の所有が禁じられた“近未来”を描いた物語。
この世界の住民は、本の無い世界を生きている。仕事以外の時間は、耳にはめて聴く超小型ラジオや、家の壁一面に取り付けられた大型テレビにより、24時間娯楽を提供されている。そこで行われていることは愚民化政策そのものである。ディテールに違いこそあるものの、現在の我々の生活に酷似した世界が描かれている。原書が発行されたのが1953年であることを考えると、慧眼というほかない。発行当時はSFだったかも知れないが、今読むと時代風刺小説として読める。
本書の主人公は、この本を燃やす“焚書官”であるが、ふとしたきっかけから自分の仕事に疑問を持ち、そこから物語は始まる。人類の叡智の積み重ねから生まれる「本」、そして、自分自身の頭で考えること。読書や思考のための「時間」。現代の我々が失いかけているものを、本書は思い出させてくれる。
読んでいる人はとっくに読んでいる本だろうから、おすすめも何もないのだが、まだ読んだことがない人にはお勧めできる本である。
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