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2017年7月30日日曜日

石塚真一「BLUE GIANT SUPREME 2」


石塚真一「BLUE GIANT SUPREME 2」
コミック: 208ページ
出版社: 小学館 (2017/6/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091895859
ISBN-13: 978-4091895851
発売日: 2017/6/30

[書評] ★★★★★
宮本ダイ君、ドイツで最初に過ごした地・ミュンヘンを去り、ハンブルクへ行きます。行った理由は、ある女性ベーシストの音に惚れこんだから(ロマンティックな理由ではありません)。が、彼女も無名のミュージシャンですから、簡単には見つかりません。…が、ダイ君の努力が実りそうかな? という所で本巻終了です。

盛り上がりは次巻以降…ということになりそうですが、色々とわくわくさせるストーリーです。

2017年7月29日土曜日

石塚真一「BLUE GIANT SUPREME 1」


石塚真一「BLUE GIANT SUPREME 1」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4091894674/>
コミック: 200ページ
出版社: 小学館 (2017/3/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091894674
ISBN-13: 978-4091894670
発売日: 2017/3/10

[書評] ★★★★☆
  • 前著「BLUE GIANT (10)」の書評に続けて書いています(BLUE GIANT 10,同SUPREME 1, 2は発売日が同じだったのです…てゆーかそれ積読してたんですけど/苦笑)。
宮本大(ダイ)君、テナーサックスと少しの荷物だけ持って、単身ドイツにやってきました。最初はユースホステルに泊まっていたのが、ふと入ったコーヒーショップでクリスという青年と知り合います。この青年が、アパートに無料で泊めてくれたり、ダイ君が演奏できる店を探して交渉してくれたり、何かと尽力してくれます。ちょっとご都合主義的なところもありますが、出会いがダイ君を育ててくれている描写は好きですね。

2017年7月28日金曜日

石塚真一「BLUE GIANT (10)」

暑いですね。読書ペースも落ちています。というか、最近コミックとラノベばかり…。ダメダメな大人です(苦笑)。

・  ・  ・  ・  ・


石塚真一「BLUE GIANT (10)」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4091894607/>
コミック: 200ページ
出版社: 小学館 (2017/3/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091894607
ISBN-13: 978-4091894601
発売日: 2017/3/10

[書評] ★★★★☆

19歳のプレイヤ3名(ピアノ、テナーサックス、ドラムス)のジャズバンド「Jass」。メンバー全員上げ調子で、有名なジャズ・クラブ「So Blue」の舞台に3名揃って立つ…はずでした。

が、直前にピアノの沢辺雪祈(ユキノリ)君がバイト中の事故で重体、右手~右腕に何年かけても直らないかも知れないダメージを受けてしまいます。でもステージはキャンセルせず、ドラムスの玉田君とテナーのダイ君だけで演奏します。
  • サックスとドラムスのデュオというのは非常に珍しい。私の知る音源では、Chick Coreaのアルバム「Three Quartets」(1981)のアナログ盤LP発売当初は入っていなかったが、後年CDが発売された際に追加された音源、「Confirmation」(作曲:Charlie Parker)。
  • 脱線するが、この「Confirmation」、テナーサックスは故Michael Brecker (1949-2007)、そしてドラムスはSteve Gaddではなく何とChick Corea! (参考情報:「Three Quartet」英語版Wikipedia, <https://en.wikipedia.org/wiki/Three_Quartets>)
閑話休題。公式ページ<http://bluegiant.jp/>で「【BLUE GIANT】完結。新タイトルで海外編へDIVE IN!!」とあったので、「Jass」は解散、本作の主人公・テナーサックスの宮本大(ダイ)君は単身海外へ、…ということは読めていました。が、この解散への展開、特に雪祈君には残酷です。ダイ君が日本を飛び出すキッカケとして、ドラマティックに物語を進める上で必要だったのかも知れませんが、切なすぎます。本巻終盤、空港で出国審査を済ませたダイ君から電話を受けた雪祈君、ピアノの前で作曲作業中でした。左手だけでピアノを弾き、左手で楽譜を書いていく描写…ちょっと泣かされました。

2017年5月28日日曜日

野呂一生「私時代 WATAKUSHI-JIDAI 野呂一生自叙伝」


野呂一生「私時代 WATAKUSHI-JIDAI 野呂一生自叙伝 (DVD付)」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4845628988/>

単行本(ソフトカバー): 208ページ
出版社: リットーミュージック (2016/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4845628988
ISBN-13: 978-4845628988
発売日: 2016/12/20

[書評] ★★★☆☆

日本を代表するフュージョン・バンド、CASIOPEA (現:CASIOPEA 3rd)のリーダー/ギタリスト、野呂一生氏の自叙伝。音楽雑誌やCASIOPEAの映像作品(のトーク部分)から、幼少時・デビュー前・メンバー変更の経緯などをある程度は知っていたが、以下について今まで以上に詳しい話が読めたのが良かった。
  • 野呂氏の小学生時代の音楽教育~デビュー前の活動
  • 後にCASIOPEAを結成するメンバーとの出会い
  • デビュー裏話
  • CASIOPEAの歴史上の「異変」の経緯
    • 佐々木隆さん(初代Ds)脱退~神保彰さん(2代目Ds)加入(1979)
    • 野呂さんは実はアルバム『HALLE』(1985)をCASIOPEA最後のアルバムにしようと思っていた(!)
    • 桜井哲夫さん(初代Bs)・神保さんの脱退(1989)~鳴瀬善博さん(Bs)・日山正明さん(Ds)加入(1990)
    • 第2期CASIOPEAの活動休止(2006-2011)
    • CASIOPEA 3rdとしての活動再開(向谷さん脱退~大高清美さん(Org)加入、2012)
CASIOPEAのメンバー変更や活動休止は、当時ファンの間でも話題になり、その度に数々の憶測を呼んだ。本書では、それらの経緯について、当事者が説明をしている。が、読めば読むほど、CASIOPEAは良くも悪くも「野呂一生の野呂一生による野呂一生のためのバンド活動」であり、御自身がCASIOPEAの活動に息切れしてソロ活動などをすることはOKでも、他人が(自分と違うタイミングで)他の活動に注力するのは許せなかったのかなぁ、みたいな感想を持った。
  • 桜井さん・神保さんの脱退は、野呂さんが2ndソロアルバム『VIDA』のレコーディングの直後。野呂さん自身がCASIOPEAの活動に戻りたいと思った丁度その時、桜井さん・神保さんがCASIOPEAに専念できない状態だった。
  • 5年の活動休止後のCASIOPEA活動再開時、向谷さんと交渉決裂したのも、野呂さんがCASIOPEA (3rd)に集中したい時に、向谷さんがゲーム音楽・映像などの活動で多忙でCASIOPEAに専念できなかった…からじゃないかな? 向谷さんは事ある毎にCASIOPEAの活動を「過重労働」と文句?を言っていたので、CASIOPEAというバンドへの関わり方について、野呂さんと向谷さんの間に温度差があったことがわかる。
いずれも、メンバー間の「中」と「外」の活動のタイミング・バランスがずれてしまい、一緒に活動出来なくなったのだとわかる。
  • 本書はバンドという形だが、人と人との「濃ゆい」関わりを長期間続けることについて、色々考えさせられた。
  • その点、現在のCASIOPEA 3rdでは、鳴瀬さん・大高さん・神保さんとも他プロジェクトを抱えている一方、野呂さんもINSPIRITSというプロジェクトを抱えた状態なので、CASIOPEA 3rdのメンバー間で適度な距離・温度を保つことが出来ているのではないだろうか。
…と、野呂さんのやり方を一部批判するような書き方をしてしまったが、ファン必読の本であることは間違い無し! 何だかんだ言って私は音楽(特にギター)については野呂さんの影響を受けまくっているのです(笑)。

・  ・  ・  ・  ・

【余談:付録DVDについて】
付録DVDに、ギター1本でメロディーに和音を加えて弾く方法と、スケールの紹介があるが、正直難しすぎ(笑)。巻末に譜例が載っているが、あまり参考にならないかも(汗)。

・  ・  ・  ・  ・

【参考文献&映像作品】
  • 「A BOOK OF CASIOPEA (カシオペアの本)」(立東社)
    前半が野呂一生さん(Gt)・向谷実さん(Key)・桜井哲夫さん(Bs)・神保彰さん(Ds)の個別インタビュー&4人の対談、後半が向谷さんによるCASIOPEAの音作り(複雑な和音とその弾き方)紹介、付録に楽譜という、ファン垂涎の本。←持っていた筈(捨ててはいない)が、何処行ったんだろ?(下の写真はネット上で見つけたものです)
大型本『A BOOK OF CASIOPEA』
DVD『THE MINT SESSION』

2017年2月5日日曜日

石塚真一「BLUE GIANT (9)」


石塚真一「BLUE GIANT (9)」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4091878288/>
コミック: 200ページ
出版社: 小学館 (2016/9/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091878288
ISBN-13: 978-4091878281
発売日: 2016/9/9

[書評] ★★★★★

メンバー3人が全員19歳というジャズ・トリオ・バンド「JASS」、頑張っています。前々巻(第7巻)・前巻(第8巻)と低迷していたピアニスト・雪祈(ユキノリ)が壁を超えました。コード進行から手癖のように弾いてしまうフレーズに縛られないとか、よくあるモード奏法でもないとか、一体どんなピアノ・ソロを弾いているのかよく判らないのですが(笑)、とにかく壁を超えたようです。
  • ちなみに私個人に関して言えば、ギターはペンタトニック中心で手癖ありまくりの芋演奏です(←自虐)。ピアノに関してはそもそもそれ以前。気持ち悪い不協和音を弾くのは得意なんですケド(爆)。
閑話休題。「JASS」、ファンがつきはじめて、まだゆっくりとではありますが、それなりに順調に走り出しています。

その一方で、ダイの周りの人たちが少しずつ変わって行く様子も描かれていて、一抹の寂しさも感じさせます。演奏シーンは、セリフ等一切無しで何ページも絵だけという大胆な構図で音を感じさせる描き方は相変らず。今回は、ストーリーも含めてなかなかの良作になっているとと思います。

進化するジャズバンド「JASS」、この先も楽しみにしています。
  • 本書(第9巻)、9月発売、4か月も放置していました(チェックはしていたのですが、買うのが遅くなりました)。…と思ったら! あと1か月で新刊(第10巻)発売とな。これも要チェックですね~!
・  ・  ・  ・  ・

◆既刊(新しいもの)
◆発売予定

2017年1月4日水曜日

中山七里「どこかでベートーヴェン」

年末年始モードで音楽系小説が大フィーバー(笑)。「響け!ユーフォニアム」シリーズと「岬洋介」シリーズ合わせて連続11冊(!)。とりあえず、今回で打ち止めにします(次から暫く、従来通り、少し硬めの本を中心にします)。


中山七里「どこかでベートーヴェン」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4800255678/>
単行本: 332ページ
出版社: 宝島社 (2016/5/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800255678
ISBN-13: 978-4800255679
発売日: 2016/5/25

[書評] ★★★★☆

「さよならドビュッシー」に始まる探偵ピアニスト・岬洋介シリーズの4冊目にして最新刊。

本書は、4冊の時系列の中では一番初めにあたる。音楽科の高校生として、我らが主人公・岬洋介が登場する。語り部は岬洋介と同じ高校のクラスメイト、鷹村亮。新設されたばかりの高校の音楽科、第2期生。ここで岬洋介は転校生として登場、天災と人災に巻き込まれつつも見事に解決。

ミステリー作品を著者から読者への挑戦と捉えると、今回の作品の難易度はそれほど高くない。犯人は、皆とは異なる行動を取っていた人。人間関係も特殊な人で、動機も比較的解り易い(ちょっとヒネリはあるが)。そういう訳で、本書で読者は探偵高校生・岬洋介クンと一緒に推理を行うことが出来る。語り部の証言で混乱させられる部分があるものの(鷹村亮クンは他人への好意により一部事実を隠してしまう)、それまでに出てきた描写との矛盾から(違和感を感じさせる)、読者は犯人はすぐに察しがつく。難しいのは、犯行の場所・方法だが…。シリーズ1冊目・『さよならドビュッシー』のような大ドンデン返し(究極の叙述トリック!)は無く、構成は比較的平坦で素直に読み易い。

さて、本作も演奏される楽曲と心理状態とを交互に描写し、曲調(有名ドコロ)を巧みに利用して読者に強いインパクトを与える書き方。毎度のことながら非常に上手だと思う。読んでいると、聞こえていない筈のピアノ曲が聴こえて来るような気がする。が、BGMを聴きながらでは読みにくい本というのも珍しい(笑)。(←私は読書中はクラシックやスムーズ・ジャズを聴いていることが多いが、岬洋介シリーズを含む幾つかの作品=音楽系の小説・コミック=を読む時は、BGM無しが良いこともあるようだ。)

一部ネタバレになるのだが:前作までとの関係が明らかになる箇所があり、シリーズを続けて読んでいる読者にとっては嬉しい限り。
  • プロローグで、前作「いつまでもショパン」(シリーズ3冊目)の事件に関するTV報道が出て来る。ニュースで流れる「岬洋介」に今回の語り部・鷹村亮が衝撃を受け、10年前の高校時代を回想する…という形をとっている。
  • 本作までに明らかにされていることだが:探偵ピアニスト・岬洋介は、突発性難聴という持病を持っている(音楽家としては“爆弾”を抱えているに等しい)。本作では、この発症に関するエピソードが描かれおり、前出の作品の設定に対する説明回ともなっている。
  • エピローグには、「僕はあの夏のことを包み隠さず書き残そうと思う。(……中略……) 僕はパソコンを起ち上げると、真っ白な原稿に早速タイトルを打ち始めた。『〈どこかでベートーヴェン〉中山七里 』」。語り部が回想しながら書いた作品がこの本です…的なスタイルは最近の流行なのだろうか?(←最近の他の作品でも似た様式を度々見るのだが…。)
1冊目「さよならドビュッシー」と、2冊目「おやすみラフマニノフ」でも多視点的描写でストーリーが繋がっていた。シリーズ物で他作品でのエピソードと関係ある内容を書いたり、時間の流れを意識させる書き方は、最近のシリーズ物によく見られる技巧かも知れない。が、とにかく上手い書き方だと思う。

音楽ミステリーとしてはカナリ面白い。トリッキーな技巧(叙述トリックなど)は使われておらず、ミステリー初心者にも読み易いだろう。楽曲の描写を巧みに使った心理表現が瑞々しいので、特に音楽好きな人にオススメ。

・  ・  ・  ・  ・

探偵ピアニスト「岬洋介」シリーズ既刊リスト(Amazonリンク&書評へのリンク)
  1. 「さよならドビュッシー」Amazon→単行本・文庫本、拙書評
  2. 「おやすみラフマニノフ」Amazon→単行本・文庫本、拙書評
  3. 「いつまでもショパン」Amazon→単行本・文庫本、拙書評
  4. 「どこかでベートーヴェン」Amazon→単行本(※未文庫化)、(拙書評は本記事)
  5. .「さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿」Amazon→単行本・文庫本、(未読)

2017年1月3日火曜日

中山七里「いつまでもショパン」


中山七里「いつまでもショパン」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4800220432/>
単行本: 332ページ
出版社: 宝島社 (2016/5/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800255678
ISBN-13: 978-4800255679
発売日: 2016/5/25

[書評] ★★★☆☆

いよいよ3冊目になったピアニスト「岬洋介」シリーズ、今度の舞台はポーランド。5年に1度開催されるショパン・コンクール。その前後を狙うようにして、ポーランド大統領専用機の爆発事件、首都ワルシャワでの爆弾テロ、殺人事件。今回、本シリーズの主人公・岬洋介は、今回はショパン・コンクール出場のためにポーランドを訪問中。1次・2次予選を圧倒的な表現力で勝ち進むが、ファイナル(最終選考)では惜しくも入賞を逃す。が、連続するテロ事件の犯人と真の目的を見抜き、あわや次の惨事!となる直前で…(あとは本書を読んで下さい/笑)。

登場人物の心理描写や、楽曲に関する説明や奏法の説明が非常に細かいのは前々作・前作同様。たった数分の楽曲の描写に何ページも割いていて、音楽以外の部分が淡泊というかテンポが良いというか、はこの作家さん(中山七里さん)特有の表現法なのかも知れない。

なお、日本人ピアニストの表現力に対する批判は結構辛辣(今回の日本人コンクール出場者2名はこの枠外として描かれていたが)。
  • 日本人コンテスタントはどこのピアノ・コンクールでも押しなべて真面目だ。いや、真面目と言うより面白味がない。機械のようにノーミス、楽譜に記された指示も完璧にこなすが音楽的な興趣に欠ける。技術的な間違いはないが、再び聴きたいと思う演奏ではない――そういった評価が半ば定説化しており、ヤン自身の印象も同じだった (p. 128)
  • 日本人コンテスタントに対する印象はここ数十年の間に大きな変動がなかった。真面目であるが面白味のない演奏。あたかも、かの国の特産品である工業用ロボットに演奏させたかのような正確なだけのピアノ。 (p. 175)
そう言えば、シリーズ1作目『さよならドビュッシー』でも、日本のピアノ教育の権威主義、ことに「ハイフィンガー奏法」に対する批判的記述があったように記憶する。これは、19世紀後半当時、鍵盤の重かったピアノに合わせた奏法で、現在のピアノでは、音色のばらつきや表現力の面ではマイナス面が多いとのこと(私自身に関してはピアノの素人なので実感を持って語れないのだが)。

閑話休題。

今回、活動範囲を海外に移したのは良い。ポーランドの音楽を語る上で、大国ロシアと軍国ナチス・ドイツに挟まれた地理的条件によって、どれだけ酷い目に遭わされてきたかを語るのも良い。しかし、奏者が未来をその手に掴み取る(あるいは業界が新たな才能を見いだす)華々しい筈のコンクールと、テロ・戦争(イラク・アフガニスタン)・殺人事件をある意味強引に結び付けて描くのは…。今の時代だからこそネタになるのかも知れないが。

全然作・前作の登場人物がチラッと出てきたりして、シリーズ物の面白さはこういう所にもあるなぁと思った次第。まあ、前々作・前作に引き続き、音楽好き・ミステリー好きは楽しめるかも知れない。

・  ・  ・  ・  ・

「岬洋介」シリーズ・既刊
  1. 「さよならドビュッシー」(Amazonリンク→単行本、文庫本)
  2. 「おやすみラフマニノフ」(Amazonリンク→単行本、文庫本)
  3. 「いつまでもショパン」(Amazonリンク→単行本、文庫本)
  4. 「どこかでベートーヴェン」(Amazonリンク→単行本) (※未文庫化)

2017年1月2日月曜日

中山七里「おやすみラフマニノフ」


中山七里「おやすみラフマニノフ」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4796685820/>
文庫: 372ページ
出版社: 宝島社 (2011/9/6)
言語: 日本語
ISBN-10: 4796685820
ISBN-13: 978-4796685825
発売日: 2011/9/6

[書評] ★★★★☆

前作「さよならドビュッシー」で鮮烈なデビュー(?)を飾った、探偵ピアニスト「岬洋介シリーズ」の2冊目。

本作の語り部は貧乏な音大生でヴァイオリニスト。プロへの切符を掴むため、定期演奏会の主席奏者(コンサートマスター)の座をかけたオーディションに出る。…と、そんな学園で、演奏会で使われる予定だった2億円のチェロ・ストラディバリウスが盗難、その後も度々事件が起き…。

ピアニスト・岬洋介だけでなく、他の人物も何人かが前作と重複する。同じ演奏会でのピアノ交響曲の演奏シーンも重複するが、これを別の視点から描いているのが面白く、同一人物について見る立場により内面描写が少し違うのも興味深い。

心理描写が細やかなのも、音楽(曲調・演奏)についての深い描写も前作同様。ただ、前作に比べて、演奏家自身の「狂気」成分は少なめ。また、伏線~回収も少な目。前作より軽く読める。なお、これは意図的な技法なのだと思うのだが、登場人物の動きや発言に一切の無駄が無く少々不自然(少なくとも作品世界の表現に不要な言動は皆無)。これによって、人物の動作に不自然な点(大抵は伏線となっている)を目立たせているとも言える。

音楽好き、ミステリー好きの多くに薦められる本だと思う。

・  ・  ・  ・  ・

参考:「岬洋介シリーズ」既刊&既読本の書評URL
  1. 「さよならドビュッシー」
    単行本:<https://www.amazon.co.jp/dp/4796675302/>
    文庫本:<https://www.amazon.co.jp/dp/4796679928/>
  2. 「おやすみラフマニノフ」
    単行本:<https://www.amazon.co.jp/dp/4796679014/>
    文庫本:<https://www.amazon.co.jp/dp/4796685820/>
  3. 「いつまでもショパン」
    単行本:<https://www.amazon.co.jp/dp/4800205514/>
    文庫本:<https://www.amazon.co.jp/dp/4800220432/>
  4. 「どこかでベートーヴェン」
    単行本:<https://www.amazon.co.jp/dp/4800255678/>
    文庫化:未

2017年1月1日日曜日

中山七里「さよならドビュッシー」

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

新年1発目はユルめで行きます(笑)。


中山七里「さよならドビュッシー」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4796679928/>
文庫: 415ページ
出版社: 宝島社 (2011/1/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4796679928
ISBN-13: 978-4796679923
発売日: 2011/1/12

[書評] ★★★★★

第8回『このミステリーがすごい!』(2009年)大賞大賞受賞作。少し前の本なのと、映画化・TVドラマ化もされた作品の原作なので、既読という方も多いかも知れない。

まず最初に:メチャクチャ面白い! 翻訳家・評論家の大森望氏が解説(巻末)に書いている通り、まさに「音楽+スポ根+ミステリのハイブリッド」。著者が無類の音楽好きだからだろうか、音の描写が非常に瑞々しい。クラシックの有名なピアノ曲が多いからかも知れないが、文章を読んでいるだけで楽曲が頭の中で鳴り響くようだ。

心理描写が細やか。登場人物の動作や、語り部(主人公、“あたし”)の精神状態の表現が巧み。加えて、楽曲やピアノ演奏に関する表現も豊かで、ミステリー好きでなくても音楽好き(特にピアノ弾き)には非常に楽しめる1冊だと思う。ただこの主人公、火事により全身大火傷とか大好きな祖父と仲良しの従姉妹を喪うとか、大怪我からの社会復帰とか高校(音楽科)でのいじめとか、壮絶な経験をしているとはいえ、15~16歳の女の子が世の中を達観し過ぎている。音楽の描写等を除くと、かなり殺伐とした世界観なので、そういうのが好きでない人は読まない方が良いかも知れない。エンディングに向けて、スポ根的と言うよりもむしろ狂気の世界に入って行く。ラストはドンデン返し。これは究極の叙述トリック。この展開、好き嫌いがハッキリ分かれる所かも知れない(でもバラしたらつまらないので書きません/笑)。

所々に登場人物の動作が不自然な場所があったりするが、これらの多くは伏線。回収される場面で、「どこの描写だったかな…」とページを遡ってしまうと、読書が進まない進まない(笑)。お陰で、400ページ少々の本ですっかり睡眠不足。たっぷり楽しめた。

音楽好き(ピアノ弾き)、ミステリー好きの多くに薦められる本だと思う。

・  ・  ・  ・  ・

ネタバレがあるので、以下は読後に見ることをお勧めするが、Wikipediaに本作品の構想や、著者プロフィール(結構ユニーク!)が書かれている。興味のある方はコチラもどうぞ:
  • 本作品について→Wikipedia
  • 著者:中山七里氏(48歳で作家デビュー!)について→Wikipedia
余談:本書を1巻とするピアニスト「岬洋介シリーズ」は、銀座ヤマハの3F (楽譜・書籍売り場)の店員さんもイチ押しのシリーズとのこと。あんまりステキな笑顔で薦められたので、1冊だけ試しに読んでみようと思ったのが…つい全巻買ってしまったではないか(笑)。(←他の本も近々レビューします)。以下にAmazonリンク付けておきます。
  1. 「さよならドビュッシー」(単行本、文庫本)
  2. 「おやすみラフマニノフ」(単行本、文庫本)
  3. 「いつまでもショパン」(単行本、文庫本)
  4. 「どこかでベートーヴェン」(単行本) (※未文庫化)

2016年12月25日日曜日

武田綾乃「響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」

連投3発目。合計7冊。冬休み前最後の連休フィーバー(笑)。普段はユルめの本(コミック・小説)と同じ冊数、固めの本を読むようにしているのだが(必然的に固めの本の方が読書時間が長くなる)、年末年始モードで自己規制を緩めた途端、つい暴走(笑)。

書評、年内はこれがラストかな…?


武田 綾乃(監修)「響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4800262267/>
文庫: 285ページ
出版社: 宝島社 (2016/10/6)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800262267
ISBN-13: 978-4800262264
発売日: 2016/10/6

[書評] ★★★☆☆

「響け!ユーフォニアム」シリーズ最新刊。

前半は『響け!ユーフォニアム』(1~3巻+短編集)の後日談2本、後半は著者インタビュー等。

この後日談は、『響け!ユーフォニアム』(1~3巻)+『北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話』で、コンクールの全国大会(10月)が終わって3年生部員が引退した後の話。新3年生(学校での学年はまだ2年生)・新2年生(同1年生)に役職が割り当てられ、2月の定期演奏会・3月のイベント演奏(立華高校吹奏楽部との合同演奏)と、イベントはまだまだ続く。『北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話』を読んでいないと繋がりが見えない話もあるかも知れないが(なんでこの2人が次期部長&副部長なんやねん!とか/笑)、コンクール後のストーリーが気になる人は楽しめると思う。

後半の著者インタビューは、創作の背景が読めてそれなりに面白く読めた。作品中の登場人物にまつわるエピソードが作者御自身の経験に基づくものが多かったりして、それはそれで泣かせるのだが…。

まあ、原作・コミック・TVアニメが当たったから出た本だろう。ファン向けの作品。でも、おもろいで(笑)。本編を楽しめた人にはオススメ。

2016年12月24日土曜日

武田綾乃「響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ」(前編・後編)

連投2日目。

武田綾乃「響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ」(前編・後編)

[書評] ★★★★☆

「響け!ユーフォニアム」のサイドストーリー。「響け!」で北宇治高校に通う主人公・黄前久美子(おうまえ くみこ)と同じ中学から、吹奏楽、特にマーチングの全国的な強豪校である立華高校に進んだ佐々木梓(ささき あずさ)が主人公。担当楽器はトロンボーン。

吹奏楽部はよく体育会系文化部と言われるが、マーチングは体育会系運動部だ(笑)。本作もマーチング「あるある」話が多い。
  • 私の場合、マーチング経験は大学時代。楽器を持たない基礎練の時は蹴りは飛んで来るし、楽器を持っていても竹刀(しない)で叩かれるし。この竹刀、ビニールテープが分厚く巻かれていて、コレで打たれると非常に痛かった(涙)。しかも尻じゃなくて腿狙って来るし(←半端無くチョー痛い/泣)。そこで体験した、若さゆえの暴走、あるいは狂気。そういったものが本書にも描かれていて(懐かしい用語が連発!)、色々と思い出してしまった…。
さて、本作。強豪校だから、練習は厳しい。しかも、マーチングだから、座奏メインの吹奏楽団以上に体育会系、上下関係も厳しい。が、全国を狙うのだから、学年に関係なく技術の優れた子がオーディションを通る。称賛と嫉妬の入り交じった感情。そういう環境の中での、脆そうに見える友情。主人公の梓は向上心があり、非常に練習熱心な生徒。吹奏楽を始めた理由がちょっと泣けるのだが(この後に出た『北宇治高校の吹奏楽部日誌』での著者インタビューによると、作者・武田さんの経験に基づくストーリーのようだ)、吹奏楽以外のことを疎かにし過ぎていないか?…という訳で、一部、感情移入がちょっと難しい場所もあった。
  • 作者の武田さん御自身にはマーチングの経験が無いのか、練習の生々しさはイマイチ伝わって来なかったことも多少あるかも…座奏中心の1~3巻が非常に面白かったので、ついこれと比べてしまうのも酷かも知れないが…。
  • あと、吹奏楽「だけ」のために転居してまで入学した生徒がいたり、極端なキャラクターが多過ぎることも感情移入しにくい理由だったかも知れない。
    • と書いている私の知る人の中に、御子息に本格的に吹奏楽をやらせるために転居したという「極端な親御さん」がいるのだが…(千葉県内は吹奏楽を含めた部活動に熱心な公立高校がいくつもあるが、地域が偏っているのでこういうこともまれにある)。
 

武田 綾乃(著)「響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 前編」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4800258723/>
文庫: 336ページ
出版社: 宝島社 (2016/8/4)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800258723
ISBN-13: 978-4800258724
発売日: 2016/8/4

武田 綾乃(著)「響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 後編」
<http://www.amazon.co.jp/dp/480025874X/>
文庫: 347ページ
出版社: 宝島社 (2016/9/6)
言語: 日本語
ISBN-10: 480025874X
ISBN-13: 978-4800258748
発売日: 2016/9/6

「響け!」1~3巻で、立華高校は北宇治高校のライバル校(そして全国的な強豪校)として度々登場、また梓も久美子の友人として度々出ているので、ストーリーが一部重複する。「響け!」1~2巻とほぼ同じ時系列で、多視点的な書き方になるので、一部既視感のあるシーンもある(同じシーンを別の人の視点から描いているので当然なのだが)。梓と久美子との会話で、同じ会話内容なのに2人が感じていることが全然違ったりしていることがチョット面白い。

ところで、この同じシーンを多視点から描くというのは流行なのだろうか? 最近よく見るスタイルのような気がする。

2016年12月23日金曜日

武田綾乃「響け!ユーフォニアム」(全3巻+短編集1冊) (再読)

再読(4冊)も含め合計7冊、3日連続で連投します。今日は1発目。

武田綾乃「響け!ユーフォニアム」(全3巻+短編集1冊) (再読)

[書評] ★★★★★

吹奏楽の経験者、在籍中の人、これから始めてみようかなと思っている人、興味ある人、の全てにめっちゃオススメ!

アニメ放送(1期:2015・2期:2016)が完結を迎えるところで(最終回は来週12/28(水)深夜…より厳密には29(木)未明)、原作を再読。アニメは原作と結構違うな~と思ったが、小説と映像とのメディアとしての性格(表現力の差)を考慮して分かりやすい表現に変更してあったり、放送時間の尺の問題などもあるのだろう(特に違うのは主人公の心理描写;久美子が時々抱く黒い感情や心の中だけでのツッコミはアニメには殆ど登場せず)。ともかく、原作・アニメの両方ともエンタメ作品として完成されているのは凄いな~と正直に思う。

この作者さん(武田綾乃さん)、絶対吹奏楽経験者だよね~とか、瑞々しい筆致から、まだ若いよね~(高校時代の記憶が鮮明な年齢だ)とか、そんなことを思いながらWikipediaを見たら、案の定デシタ。1冊目は大学在学中の作品らしい。この若さでこれだけ反響のある作品を書いてしまうって、正直、凄い。
  • ここでチョット脱線して、アニメ第2期も映画化を予想。この作品、原作もアニメも良作なので、どちらから入っても良いと思う(コミカライズ版については読んでいないのでコメント出来ないのだが…スミマセン)。第1巻はTVアニメ化(第1期、2015)の他、映画化もされた(2016)。この映画、第1期の総集編的な内容ではあるのだが、音源は殆ど録り直しのようだし(特に打楽器の音が大幅増強)、細かなカットも色々違っていたり、京アニさんの本気度が伝わってきた。この面白さを考えると、ズバリ予想!第2期(原作第2~3巻)も映画化されるだろう。なお、TVアニメで第2期ラスト付近(まだ1回放送を残しているが…もしかしたら年が明けてから特番とかがあるかも?)、結構重要なシーンが何か所か(たぶん意図的に)削られているようで、これらは映画用に取っておいてあると予想。構成としては、原作第2巻(吹奏楽コンクール関西大会まで)と第3巻(全国大会まで)は別の映画に分けた方が良いと思う(…が、原作が完結してしまったため、メディアミックスのタイミング等から、映画が1本にまとめられるか2本に分けられるかは、今後の原作小説・コミック・BD/DVDの売上次第か)。分けたほうが良いと思う理由は、その方がストーリー的に解り易くなることと、観客動員数・BD/DVD売上が上がりそうなこと(2番目の理由は制作側の都合を勝手に予想してみた/笑)。また、原作第2~3巻の2冊分をTV 1クール(13回)で放送したのは、少し内容が濃すぎた気がする。これを映画1本に押し込むのはコッテリし過ぎでしょ?…みたいな。
  • 第1期はBD/DVDに特典映像(未放送)としてコンクールメンバーに選ばれなかった生徒たちの活動エピソード「かけだすモナカ」が付いていたが(原作に無い?オリジナルストーリー)、第2期のBD/DVDにも後日談あたりが付いて来そうな予感…。
以下、1冊ずつ簡単にコメント。


「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4800217474/>
文庫: 319ページ
出版社: 宝島社 (2013/12/5)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800217474
ISBN-13: 978-4800217479
発売日: 2013/12/5

高校入学から全国吹奏楽コンクール京都府大会まで。TVアニメ化(第1期、2015)。原作小説では、心理描写にエグい箇所や心の中だけでのツッコミがあり(映像作品では殆ど表現されていない)、この辺りは読んでいて飽きさせない所だ。高校生が集まっている集団だから当然のことなのだが、人の好き嫌いや仲良しグループが生活の一部を支配している様子などの描写が瑞々しい。学園モノの定番ではあるのだが、この辺りをしっかり押さえた上で、コンクールに向けて吹奏楽中心のハードな生活を描いている。吹奏楽部「あるある」な話が多い。


「響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4800239060/>
文庫: 321ページ
出版社: 宝島社 (2015/3/5)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800239060
ISBN-13: 978-4800239068
発売日: 2015/3/5

全国吹奏楽コンクール関西大会まで。TVアニメ化第2期(2016)の前半部分。吹奏楽部のメンバー同士の心理的距離の変化の表現が秀逸(原作では部員間の呼称が変わっていたり、あまり仲の良くなかった先輩と心理距離がぐっと近づいたりしている辺り、映像作品の限られた枠内では表現されていない描写が色々ある)。

1巻では基本的に受身で、周りに流されて行動していた主人公・久美子が、小さなことから周囲に働きかけて行くようになり、精神的成長が見られるのが青春ドラマっぽくて良い。


「響け! ユーフォニアム 3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4800239826/>
文庫: 382ページ
出版社: 宝島社 (2015/4/4)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800239826
ISBN-13: 978-4800239822
発売日: 2015/4/4

そして、全国へ。本作のクライマックス。TVアニメ第2期(2016)の後半部分。1巻では、受験勉強と部活の両立が難しいと久美子の幼馴染(先輩)が退部した。本巻では、吹奏楽部の副部長にして部員の精神的支柱・田中あすかの進退について、彼女の母親が出張ってくる。家では久美子の姉・麻美子が大学(3年生)をやめて美容師になると言い出して親と大喧嘩をする。見の周りで手一杯な久美子だが、姉の言葉が伏線になって、あすかに素直に気持ちを伝えられる様子など、話の展開が非常によく出来ていると思う。

こうして改めて読み返してみると、2巻は1巻への追加の作品ではなくて、3巻のラストまで最初からプロットが出来ていて書かれた作品だということがよくわかる。
  • 私が好きなキャラは、2年ユーフォの夏紀。一見すると、スカート丈が短く目つきの悪い、ちょっと不良っぽい先輩。性格はクールというか、醒めている。後輩を可愛がる時の動作がちょっと乱暴だったり、同級生・優子(トランペット)と度々言い合いをする等、感情表現があまり上手ではない。ユーフォ初心者の(高校に入学してから楽器を始めた)彼女は、コンクールメンバー選抜時には、1年生の久美子と違って選抜されなかった。全国大会直前のあすかの不在に伴い、その穴を埋める役を任される。晴れ舞台に立ちたいという気持ちと、あすかが戻った方が良いという葛藤の中での発言に痺れる。「お願い久美子。あすか先輩を連れ戻して」(p. 184)。


「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4800241197/>
文庫: 268ページ
出版社: 宝島社 (2015/5/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800241197
ISBN-13: 978-4800241191
発売日: 2015/5/25

短編集14編。本編(1~3巻)の前日譚・後日譚あり、本編と同じ時系列でも主人公・久美子不在のエピソードあり、本編に入りきらなかった(であろう)話あり。全てのエピソードにきちんとオチがついているのは流石関西人(細かいことを書くと、関西とは言っても京都系中心;大阪漫才に近いノリの物もあるが、上方落語のような作風が多い気がする)。作者・武田さんが作品世界を緻密に作り上げたことが窺える。
  • 1~3巻は久美子目線の作品だが、映像作品の久美子不在シーンは殆ど本作から。…京アニさん、素材の使い方が凄く上手!
ひとつの大きな流れを持つストーリーでなく、ショート・ショートの形を取ることで、部員同士の団結心やいがみ合い、友情とその縺(もつ)れ、恋愛も含めた不器用な感情表現など、結構コッテリ書かれているが、それでいてしつこくない。この辺りの匙加減は流石だと思う。

映像作品を一通り見た後で読むと、また味わい深い。TVアニメ(と映画アニメ)に魅入られた人にとっては、本編と合わせ必読の書(笑)。最初の書評では淡々としたことしか書かなかったが、…やばい、私いい歳してハマっている?(笑)

・  ・  ・  ・  ・

参考:以前書いた書評など(今回と結構違うこと書いているかも/笑)

2016年5月25日水曜日

荒川三喜夫「ピアノのムシ」(1~8) (コミック)

荒川三喜夫「ピアノのムシ」(1~8) (コミック)


[書評] ★★★★☆

町中にある小さな巽ピアノ調律所に勤務する主人公・蛭田敦士は、腕だけは超一流の調律師だが、性格は最悪。セールストーク等は一切無し。本音で物を言い、顧客の無知を嗤い、その言葉には毒が含まれる(時として猛毒、だから顧客をよく失う)。仕事に全く妥協をしないが、請求料金も高額。こんな調律師いるものか!とも思うのだが、破天荒なキャラクター設定は面白いと思う。
  • 現実問題として、一般家庭に置かれているピアノはプロ用機材・ステージ用楽器とは違って、シビアな調律は不要だろう(調律もせいぜい年に1回程度だろう)。ピアノを持つ・子息にピアノを習わせるというのは一種のステータスであり、プロでもない一般人に知識が無いのはむしろ当然。それを嗤うのはプロとして言語道断なのだが、…と言っては興醒めか。
本作のヒロインは、調律師の専門学校を出た(?)ばかりの星野小眞(専門学校は経営難から閉校してしまい、形だけの卒業証明が送られてきた)。そういう訳で、ピアノメーカ等の一流企業に雇ってもらえる筈もなく、巽ピアノ調律所に拾われる形で、研修生として仕事を始める。蛭田と一緒に数々のピアノの調律・調整を行うことになるが、…。

物語に出てくるのは、出所が怪しげなピアノや、我儘なピアニスト。一癖も二癖もある連中が繰り広げるストーリーはナカナカに面白い。一般家庭に生ピアノが置かれることが少なくなった今だからこそ、この漫画は面白いのかも知れない。

なお、本作に出てくるピアノのメーカ等は全て架空のもののようだが、どう見ても実在のメーカ・製品をモデルにしているようだ。蓋を開けたピアノの中身や家具類の作画が非常に細かいのだが(本作の著者も蛭田に劣らず仕事に妥協が無い)、それでいてしつこくなく、バランスが良いのも好印象。あと、鍵盤の修理やピンの調整など、実際の作業内容が描かれているのが非常に興味深かった。
  • それにしても。「ピアノ教室もお金を稼ぎたいからヘタクソな生徒でも簡単に昇格させるんだ」とか、クラスが上がった生徒に(電子ピアノでなく)生ピアノの購入を勧める描写があったり、…音楽教室もやっている楽器屋さんにとって、コレは営業妨害ではないかな?(笑)
このマンガ、はまるかも。何だか最近、音楽系のマンガばっかり読んでいるような…。

・  ・  ・  ・  ・

以下、書誌情報。

荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 1」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832233777/>
コミック
出版社: 芳文社 (2013/10/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832233777
ISBN-13: 978-4832233775
発売日: 2013/10/16


荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 2」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832233815/>
コミック
出版社: 芳文社 (2013/11/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832233815
ISBN-13: 978-4832233812
発売日: 2013/11/16


荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 3」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832233998/>
コミック
出版社: 芳文社 (2014/4/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832233998
ISBN-13: 978-4832233997
発売日: 2014/4/16


荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 4」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832234196/>
コミック
出版社: 芳文社 (2014/9/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832234196
ISBN-13: 978-4832234192
発売日: 2014/9/16


荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 5」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832234447/>
コミック
出版社: 芳文社 (2015/3/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832234447
ISBN-13: 978-4832234444
発売日: 2015/3/16


荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 6」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832234633/>
コミック
出版社: 芳文社 (2015/8/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832234633
ISBN-13: 978-4832234635
発売日: 2015/8/17


荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 7」
<http://www.amazon.co.jp/dp/483223482X/>
コミック: 192ページ
出版社: 芳文社 (2015/12/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 483223482X
ISBN-13: 978-4832234826
発売日: 2015/12/16


荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 8」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832235001/>
コミック: 192ページ
出版社: 芳文社 (2016/5/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832235001
ISBN-13: 978-4832235007
発売日: 2016/5/16

2016年5月18日水曜日

石塚真一「BLUE GIANT」(8) (コミック)


石塚真一「BLUE GIANT」(8) (コミック)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4091875858/>
コミック: 200ページ
出版社: 小学館 (2016/3/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091875858
ISBN-13: 978-4091875853
発売日: 2016/3/30

[書評] ★★★★☆

前巻、壁にブチ当たったピアニスト・雪祈(ユキノリ)。本巻でも低迷中。

大(ダイ)の雪祈に対する一言はかなり衝撃的。
  • オレはヘタでもクソでも、サックスを吹く時は1分1秒、いつでも、世界一だと思って吹いてる。なのにお前はソロをどう演(や)るかで悩んでる。次元が違いすぎて話になんねえ。お話になんねえべ? そもそも悩むこと自体おかしいだろ。お前に悩む資格あんの? 悩んでる時間あんすか? ねえ。
仲良しバンドだったら一発で解散となりかねない爆弾発言。

まージャズで飯食って行こうと思っているのであれば、これ位野心的でなければいけないのだろう。

自分の実生活を顧みて、複雑な思いはある。安全路線、この程度で良いだろう、とアクセルを抜き気味ではないか? (20代のような体力は無いのでアクセルベタ踏みはもう出来ない=やってはいけない=のだが)

2016年4月3日日曜日

新川 直司(著)「四月は君の嘘」(コミック・全11巻)


新川 直司(著)「四月は君の嘘」(全11巻)

[書評] ★★★★★

あまりにも有名なマンガ。2014-2015年にTVアニメが放送されました。今年(2016年)、実写映画化されるそうです。

ピアノを弾けなくなった(元)秀才ピアニスト・有馬公生(ありま こうせい)クン。2年間のブランクの後、中学3年生の春、彼の前に突如として現れる天才ヴァイオリニスト・宮園かをりチャン。嵐のような勢いで、公生クンをピアノの世界に引きずり戻します。演奏する理由。生きる理由。幼馴染みや仲良し、そしてライバルをも巻き込んだ、交錯する想い。自分の感情の無自覚・自覚。不器用な愛の表現。切ないラブストーリー。

100点満点だったら500点くらい献上したい良作。1~3巻をピアノ弾きのマンガっ娘(笑)が貸してくれたのですが、その日の晩遅く、深夜営業の本屋で全巻買い揃えてしまいました(笑)。で、文字どおり寝食を忘れて一気読み(社会生活に大きな影響があったことは言うまでもありません/爆)。心象風景の描写が秀逸。演奏曲目まで使った心理描写(頭の中で演奏がガンガン鳴り響きます!)。絵と言葉だけで中学生のナイーブな感情を瑞々しく描いています。また、この書評を書くために再度通しで斜め読みして気付いたのですが、最初からストーリーも設定も細かく考えられており、もう、凄い、の一言に尽きます。

出来れば通しで2回読むことをオススメします; 2度目には、かをりチャンが最初から重みのある言葉を言っていることがわかります。また、時々見せる涙の理由がより深く理解できます。2度目は、1度目とは違った感動が得られると思います。なお、読む時は、是非、水分をしっかり摂るようにして下さい。大量に失われますので。特に最終巻は何かが決壊してしまう人も多いと思います。

久しぶりに心が震えるマンガに出逢えました。多謝!(>作者様、本書との巡り合いに関わった方々)

・  ・  ・  ・  ・

以下書誌情報。

新川 直司(著)「四月は君の嘘(1)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063713016/>
コミック: 224ページ
出版社: 講談社 (2011/9/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063713016
ISBN-13: 978-4063713015
発売日: 2011/9/16


新川 直司(著)「四月は君の嘘(2)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063713172/>
コミック: 200ページ
出版社: 講談社 (2012/1/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063713172
ISBN-13: 978-4063713176
発売日: 2012/1/17


新川 直司(著)「四月は君の嘘(3)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/406371327X/>
コミック: 200ページ
出版社: 講談社 (2012/5/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 406371327X
ISBN-13: 978-4063713275
発売日: 2012/5/17


新川 直司(著)「四月は君の嘘(4)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063713458/>
コミック: 192ページ
出版社: 講談社 (2012/9/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063713458
ISBN-13: 978-4063713459
発売日: 2012/9/14


新川 直司(著)「四月は君の嘘(5)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063713598/>
コミック: 200ページ
出版社: 講談社 (2013/1/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063713598
ISBN-13: 978-4063713596
発売日: 2013/1/17


新川 直司(著)「四月は君の嘘(6)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/406371375X/>
コミック: 192ページ
出版社: 講談社 (2013/5/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 406371375X
ISBN-13: 978-4063713756
発売日: 2013/5/17


新川 直司(著)「四月は君の嘘(7)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063713873/>
コミック: 192ページ
出版社: 講談社 (2013/9/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063713873
ISBN-13: 978-4063713879
発売日: 2013/9/17


新川 直司(著)「四月は君の嘘(8)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063714055/>
コミック: 196ページ
出版社: 講談社 (2014/1/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063714055
ISBN-13: 978-4063714050
発売日: 2014/1/17


新川 直司(著)「四月は君の嘘(9)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063714187/>
コミック: 196ページ
出版社: 講談社 (2014/5/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063714187
ISBN-13: 978-4063714180
発売日: 2014/5/16


新川 直司(著)「四月は君の嘘(10)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063714357/>
コミック: 200ページ
出版社: 講談社 (2014/10/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063714357
ISBN-13: 978-4063714357
発売日: 2014/10/17


新川 直司(著)「四月は君の嘘(11)<完>」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063714675/>
コミック: 208ページ
出版社: 講談社 (2015/5/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063714675
ISBN-13: 978-4063714678
発売日: 2015/5/15

・  ・  ・  ・  ・

P.S. 先週に続き、今週も音楽モノのコミック。たまたまですよ。

2016年3月27日日曜日

石塚 真一「BLUE GIANT 7」 (コミック)


石塚 真一(著)「BLUE GIANT 7」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4091874061/>
コミック: 208ページ
出版社: 小学館 (2015/11/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091874061
ISBN-13: 978-4091874061
発売日: 2015/11/30

[書評] ★★★★☆

前巻で停滞していたドラムスの玉田君、ド素人だったのに猛練習の甲斐あって、日々進歩していることを、メンバー(テナーサックスの大/ダイ、ピアノの雪祈/ユキノリ)にも、聴衆にも認められるようになった。「上手くねえよ。でも…アイツ、上手くなったよ」(by 雪祈)、「ボクは君のドラムを、成長する君のドラムを聴きに来ているんだ。君のドラムはどんどん良くなっている」(by 聴衆の1人)、「たとえ百円でもギャラがもらえるなんて… とてつもなく、練習しがいがありますね」(by 音楽スクールのドラムスの先生:実は同い年)。

ひるがえって、雪祈(ユキノリ)。先輩ミュージシャンに「才能が何か分かってない。それが才能がない証拠すよ」と言ったりしつつも、実は大(ダイ)とタメ張れるような演奏が出来ていないことに、自分で気付いている。ツテを使って聴きに来てもらった大手ジャズ・バーのスタッフからも、「謙虚さのカケラもない、君の出す雰囲気。音楽をナメた君の態度、ニヤついた君の顔、正直二度と見たくないな」と言われてしまう。

才能があってもナメた態度の奴は切られるし、それほど優れいない者でも(一定以上であることは求められるが)一生懸命やっていれば認められる。大(ダイ)君は、(才能もあるのだろうが)血の滲むような努力と、そして純粋に戦っている姿が、メンバーにも聴衆にも認められている。…なんだか人生訓を説かれているようでチョットつまらないが(笑)、まあ一つの真実ではあろう。

それにしても雪祈クン。赤の他人から厳しい言葉を貰うという良い経験をしたと思う。

・  ・  ・  ・  ・

台詞無し・絵のみで何コマも(場合によっては何ページも)見せる構成と作図は流石だと思った。本来、絵から音は聞こえない筈なのだが、このマンガは不思議なことに音が聴こえてくるような気がする。それは、まあ、私が今まで聴いてきた音楽のうち、海馬に染み込んだものなのだろうが…(と考えると読み手ごとに「聴こえる(気がする)音」が違っていることになり、それはそれで面白いと思う)。

2015年12月13日日曜日

スティーヴン・ミズン「歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化」

スティーヴン ミズン (著), Steven Mithen (原著), 熊谷 淳子 (翻訳)「歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4152087390/>
単行本: 492ページ
出版社: 早川書房 (2006/06)
ISBN-10: 4152087390
ISBN-13: 978-4152087393
発売日: 2006/06
[書評] ★★★★★

ちょっと前の本だが、タイトルに惹かれて読んでみた本。結果は大当たり! 大満足できる面白い本だった。本書オビに記載された「太古の地球は音楽に満ちていた」はなかなかイカシたコピーだと思う。

言語と音楽はどのように発生したか? 本書は、そのような疑問に答える為、
  • 解剖学的、脳神経学的な詳細な研究
  • 乳幼児が言語や音楽の能力を獲得していく過程についての詳細な研究
  • 化石という物的証拠による詳細な考古学研究
といった数々のアプローチから、ネアンデルタールを中心とした旧人類のコミュニケーション方法の発展の謎を解く。結論を乱暴にまとめてみると、概ね以下のようになるか:
  • ホモ・エルガステル(150~200万年前)は発声パターンや身振りによるコミュニケーションは行っていたが、二足歩行を始めたばかりであり、脳や声帯はまだアウストラロピテクス(200万年以上前)的であった。
  • ネアンデルタール(約25万年前~)は、火を使い精巧な石器を作る高度な文化を持ち、共同生活を送る狩猟採集者であり、氷河期を25万年にわたり生き延びる知恵を持っていた種(我々ホモ・サピエンスの歴史より長い!)。
  • ネアンデルタールは、言語と音楽に分化していないコミュニケーション手段をもっていた。
    • ここでいう「音楽」とは、現代音楽とは違い、多様なピッチとリズムを持つ発話を指す。たとえて言うなら、我々が赤ちゃんに対して話すように、ピッチ変化が大きく、母音や休止がが長めで明瞭に発音され、句が短く、繰り返しが多いような発話のこと。
  • ただし、言語を持たなかった(つまり意識の抽象化・概念化が出来なかった)ため、文化の発展が無く(20万年以上の間殆ど変化無し)、現在から3万年くらい前に滅びてしまった。
    • 滅びたとは言っても、最近の研究によると現代人の多く(特にアフリカ人種以外)にはネアンデルタールの遺伝子が入っているらしい。ネアンデルタール(ホモ・ネアンデルターレンシス)とホモ・サピエンスは交雑可能なほど近い種だったということだ。
言語と音楽の分化については後半で軽く触れられているだけだが、ホモ・サピエンスはネアンデルタール同様のコミュニケーション法を発達させて言語を使うようになる。音楽(メロディー=ピッチとリズムの組み合わせ)は言語と一旦分化したが、「歌」という形で再度融合しているという。

◆余談
  1. なぜ表紙の絵がゴリラなのか? もう少し原生人類に近い姿を描いた方が良かったのでは? (下に示す原書の表紙絵の方が良いと思う!)
  2. 言語と音楽、言語と身振り手振り(身体言語)、音楽と身体の動き(踊り)をキッチリ分けて考えるのがいかにも西洋的(笑)。言葉-動き-音楽の間にはオーバーラップする部分が多く、厳密には「分化」も「融合」も無いと私は思うのだが。
  3. ネアンデルタールの生き残り(あるいは血を濃く残した人)が現代にいたらどうだろうか? がっしりと筋肉質で大きな体格は、多様性・個性として受け入れられるだろう。力持ちで手先が器用で模倣の超人。色々なことについて博識だけど他人との(現代的な)コミュニケーションはちょっと苦手。周りの人から気難しく思われがちだけど、仲良くなると感情豊かで仲間思いの人。同時に多数のことをこなすのは苦手だけど、ひとつの仕事をコツコツとやるのは得意。職人気質な人とか、肉体労働者としてなら、現代社会の中でも充分にやって行けるんじゃないかな? …と、ちょっと愉快な想像(妄想とも云う:-)。
原著の表紙。こっちの方が良いですねぇ。

2015年9月5日土曜日

石塚 真一 「BLUE GIANT 6」 (コミック)


石塚 真一(著)「BLUE GIANT 6」(小学館・ビッグコミックススペシャル、2015/7/30)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4091872573/>
コミック: 208ページ
出版社: 小学館 (2015/7/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091872573
ISBN-13: 978-4091872579
発売日: 2015/7/30

[書評] ★★★☆☆

主人公・宮本 大(ミヤモト ダイ)はサックスプレーヤー。プロのジャズミュージシャンになることを目指して、高校卒業後、単身東京に出てきた。ジャズバーや小屋に出入りして、腕に磨きをかける。前巻(Amazon、拙書評)で衝撃の出会いをした、ピアニスト・雪祈(ユキノリ)。本巻では、大のルームメイト(正確には大が居候させて貰っている部屋の主)・玉田をドラマー(初心者)として加え、バンド活動を開始し、初ライブを行う。

今回の展開はちょっとビミョーかもです(超初心者の玉田君は本当にジャズドラムを叩けるのか?等、リアリティに乏しいというか…あ、でもこれは1巻から同じかも/笑)。でも、絵と文字だけで描かれた「コミック」という媒体なのに、読んでいると音が聴こえてくるような作風は相変わらず(これはスゲェ!と思う)。

最初の頃に比べるとちょっと作品の勢いが落ちているような気がするが、頑張って描き続けて欲しいですね。

アニタ・T・サリヴァン「ピアノと平均律の謎 -調律師が見た音の世界-」


アニタ・T・サリヴァン(著) 岡田作彦(訳)「ピアノと平均律の謎 -調律師が見た音の世界-」(白揚社2005/6/30)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4826901232/>
単行本: 143ページ
出版社: 白揚社; 新装版 (2005/07)
ISBN-10: 4826901232
ISBN-13: 978-4826901239
発売日: 2005/07

[書評] ★★★☆☆

音楽演奏(器楽演奏、歌唱)につきまとう純正律と平均律の話。ピアノは通常平均律で調律されるが、これは妥協の産物だという話。それと、調律師がどのように(純正律からずらして)平均律にピアノを調律しているかという話。フレットのある弦楽器(ギター、マンドリン等)も平均律だが、音叉とハーモニクスで調律する場合(音の間隔が純正律で決まる)にはハーモニクス音を少しずらす必要がある。この辺りは同じなんだな~とか、ちょっと興味深く読めた。

何故平均律が使われるようになったかという件については、16~19世紀の音楽に多様性が表れ始め、さまざまな調(キー)や曲中での転調に対応する為の妥協策だとのこと。ナルホド。

楽典とか、音楽と数の関係について興味ある人向け(私はこういう本は好きだ)。そうでない人には苦痛な本かも知れない。…という意味で5点満点中★3点。

2015年8月16日日曜日

武田 綾乃 「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」


武田 綾乃(著)「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」(宝島社文庫、2015/5/25)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4800241197/>
文庫: 268ページ
出版社: 宝島社 (2015/5/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4800241197
ISBN-13: 978-4800241191
発売日: 2015/5/25

[書評] ★★★☆☆

「響け! ユーフォニアム」(1~3巻)のこぼれ話。吹奏楽部「あるある」話あり、本編(1~3巻)ストーリーに直接関係ない裏話あり。本編を読んだ人なら楽しめると思う。必読、というほどではないかな…(私が何を書こうと、ファンの方々は既に読んでいると思いますが/笑)。

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