[書評] ★★★★☆
町中にある小さな巽ピアノ調律所に勤務する主人公・蛭田敦士は、腕だけは超一流の調律師だが、性格は最悪。セールストーク等は一切無し。本音で物を言い、顧客の無知を嗤い、その言葉には毒が含まれる(時として猛毒、だから顧客をよく失う)。仕事に全く妥協をしないが、請求料金も高額。こんな調律師いるものか!とも思うのだが、破天荒なキャラクター設定は面白いと思う。
- 現実問題として、一般家庭に置かれているピアノはプロ用機材・ステージ用楽器とは違って、シビアな調律は不要だろう(調律もせいぜい年に1回程度だろう)。ピアノを持つ・子息にピアノを習わせるというのは一種のステータスであり、プロでもない一般人に知識が無いのはむしろ当然。それを嗤うのはプロとして言語道断なのだが、…と言っては興醒めか。
物語に出てくるのは、出所が怪しげなピアノや、我儘なピアニスト。一癖も二癖もある連中が繰り広げるストーリーはナカナカに面白い。一般家庭に生ピアノが置かれることが少なくなった今だからこそ、この漫画は面白いのかも知れない。
なお、本作に出てくるピアノのメーカ等は全て架空のもののようだが、どう見ても実在のメーカ・製品をモデルにしているようだ。蓋を開けたピアノの中身や家具類の作画が非常に細かいのだが(本作の著者も蛭田に劣らず仕事に妥協が無い)、それでいてしつこくなく、バランスが良いのも好印象。あと、鍵盤の修理やピンの調整など、実際の作業内容が描かれているのが非常に興味深かった。
- それにしても。「ピアノ教室もお金を稼ぎたいからヘタクソな生徒でも簡単に昇格させるんだ」とか、クラスが上がった生徒に(電子ピアノでなく)生ピアノの購入を勧める描写があったり、…音楽教室もやっている楽器屋さんにとって、コレは営業妨害ではないかな?(笑)
・ ・ ・ ・ ・
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 1」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832233777/>
コミック
出版社: 芳文社 (2013/10/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832233777
ISBN-13: 978-4832233775
発売日: 2013/10/16
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 2」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832233815/>
コミック
出版社: 芳文社 (2013/11/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832233815
ISBN-13: 978-4832233812
発売日: 2013/11/16
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 3」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832233998/>
コミック
出版社: 芳文社 (2014/4/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832233998
ISBN-13: 978-4832233997
発売日: 2014/4/16
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 4」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832234196/>
コミック
出版社: 芳文社 (2014/9/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832234196
ISBN-13: 978-4832234192
発売日: 2014/9/16
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 5」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832234447/>
コミック
出版社: 芳文社 (2015/3/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832234447
ISBN-13: 978-4832234444
発売日: 2015/3/16
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 6」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832234633/>
コミック
出版社: 芳文社 (2015/8/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832234633
ISBN-13: 978-4832234635
発売日: 2015/8/17
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 7」
<http://www.amazon.co.jp/dp/483223482X/>
コミック: 192ページ
出版社: 芳文社 (2015/12/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 483223482X
ISBN-13: 978-4832234826
発売日: 2015/12/16
荒川三喜夫(著)「ピアノのムシ 8」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4832235001/>
コミック: 192ページ
出版社: 芳文社 (2016/5/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4832235001
ISBN-13: 978-4832235007
発売日: 2016/5/16
0 件のコメント:
コメントを投稿