恵比須 半蔵(原作), ichida(漫画)「うちの会社ブラック企業ですかね?」(彩図社、2012/6/26)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4883928691/>
コミック: 127ページ
出版社: 彩図社 (2012/6/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4883928691
ISBN-13: 978-4883928699
発売日: 2012/6/26
[書評] ★★★★☆
本当にあった過酷な仕事のエピソードをもとに、シニカルかつコミカルに描いたブラックな漫画。
社会人で、この漫画の内容を「あるある」と笑っていられる人がいるだろうか? 自分には関係のないことだと思ってしまわないだろうか? 誰が見てもブラックな企業はともかく、そうでない企業でもソフトなブラック化が進んでいる職場は多いのではないだろうか。
ファストフード店員のエピソードでの会話
- うちの店みたいな、人手足りない→仕事きつい→きついから新人がすぐ辞める→人手足りない、っていうループってどうすりゃいいんかね
(p. 54より引用)
- うちの事業部みたいな、業績が良くないから人員整理→人手足りない→仕事きつい→きついから倒れる人・辞める人が出る→業績がさらに悪くなる、っていうループどうすりゃいいんかね?
それと、生保マン&生保レディのエピソードでの会話。
- 上司 「同期が辞めていく中常にトップギアで走り続けて今の俺があるんだ」
- 主人公「…っていうのは全てバブル期の話で、自分の成功体験がみんなに通じると思ってるんですよ」
(p. 123より引用)
「おわりに」(p.126~)にも書かれているが、この本に書かれたような状況は、
- 特殊な会社のエピソードだけをセレクトした訳ではなく、どこにでもある普通の職場の影の部分に過ぎない
- ほんの少し歯車が狂うだけで、誰もが彼らと同じ状況に身を置くことになるかもしれない可能性がある
じゃぁ労働者としてどう対策を取れば良いか? その問いについての答えは与えられていないが(それはまた別の本を調べるなりプロに相談する)、「うちの会社、何か変じゃない?」と思ったら、①自分を守る、②職場を変える、が必要だ。自分の職場をまだ変だとは感じていなくても、こういう問題がごく身近なものであると考えた方が良い。
そういう意味で、ブラック企業問題が身近な問題であることと多くの人に問題を認識させる本として(しかも解り易い形である)、良書だと思う。
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