2014年3月2日日曜日

西尾 維新 (著), VOFAN (イラスト) 「終物語 (中)」


西尾 維新 (著)「終物語 中」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062838613/>

単行本: 340ページ
出版社: 講談社 (2014/1/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062838613
ISBN-13: 978-4062838610
発売日: 2014/1/29

[書評] ★★★★☆

西尾維新氏による「〈物語〉シリーズ」16冊目。冒頭では、シリーズ当初の頃のような、登場人物同士の軽妙な掛け合いがあるが、場面が展開して本編(?)に入った後は、割と真面目な(笑)文章が続く。言葉遊びでお茶を濁さなくても、きちんと読ませるストーリー。面白い。既刊のストーリーとの矛盾も殆ど無いようだし、よく練られた展開になっていると思う。

本の題名こそ「終物語 中」だが、時系列的には上巻とは連続していない。ストーリー的には「猫物語(白)」と同時進行の話で、こちらともキチンと繋がっている。

今回は、人の心に潜む「闇」の要素はあまり無い。本シリーズ中では陰惨度合は低め。既刊のストーリーの間にパズルのピースが嵌め込まれて行く感じが爽快でさえある。それもあってか、スルスルと読み進められた。

なお、ファイナル・シーズンに入ってから続いている傾向なのだが、登場人物の台詞には、考えさせられるものが多い。たぶん、人生で苦労した人にしか言えない言葉。それぞれの登場人物が背負ってきた人生や半年間の成長を思わせるのと同時に、著者の背負ってきた人生がどのようなものだったのかまで考えさせられてしまう。また、シリーズ当初執筆時にはおそらく無かったであろう、物語全体のストーリーがきちんと組み上がっているのだろうと推察される。

早くも続巻を読みたくなってしまった。

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