立花 隆 「臨死体験〈上〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167330091/>
文庫: 490ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/03)
ISBN-10: 4167330091
ISBN-13: 978-4167330095
発売日: 2000/03
立花 隆(著)「臨死体験〈下〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167330105/>
文庫: 526ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/03)
ISBN-10: 4167330105
ISBN-13: 978-4167330101
発売日: 2000/03
[書評] ★★★★☆
「私」という存在は死んだららどうなるのか? 死ぬとき「私」は何を見るのか? という、誰もが持つ疑問に対して、NHKスペシャル「臨死体験」(1991.3)と、NHK教育テレビ「臨死体験を探る」(1992.3)との2つの番組のために行った取材結果をベースとして、番組内に収まりきらなかった内容も含め、多くを綴った本。
生死の淵を彷徨った“臨死体験者”や、体験者に接した研究者へのインタビューを中心に、この不思議体験を数多く挙げる。こういう体験は本当にあるらしい。しかし、この体験が起こるメカニズムについては、よく分かっていない。現在挙げられている説は、大きく分けて以下の2つ:
- 脳内の化学反応で見えているだけ、夢のような現象である。死んだら「私」は無になる。
- 身体から魂(あるいはそれに類する何か)が抜け出して、本当に見ている。死んだ後、「私」は生の次のステップに進む。
ただ…(汗)、文庫版とはいえ、上下巻合わせて1000ページ弱と結構なボリュームである。これだけ引っ張っておいて、結論は以下の通り。
- 臨死体験で得られる不思議な体験が何故起こるかの理由は、上記1. 2.のいずれとも結論付けられない。決定的証拠がない。
- 科学的な立場で論じたいが、現段階の科学(脳科学)はまだまだ未発展で分からないコトだらけだから仕方ない。
- 立花氏自身の考え(意見)としては、1. 2.のどっちでもいいじゃん!…みたいな。
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立花氏の著作に共通して見られる傾向なのだが:
- 対立する意見に対して、アッチの味方をしたり、コッチの味方をしたり、行ったり来たりで結論がなかなか出ない(しかも今回は、「どっちだか、よくわかりません」というナンダカナァな結論)。
- 内容が多過ぎる。取材結果を出来るだけ捨てずに数多く使いたかったのかも知れないが、出来ればもっと見通しの良いストーリー立てとし、内容はエッセンスに絞って欲しかった(手際良く書けば、300~400ページ程度に収まるだろう)。
とにかく話が冗長である(笑)。
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