2015年5月16日土曜日

北 杜夫・斎藤 由香「パパは楽しい躁うつ病」

北 杜夫・斎藤 由香「パパは楽しい躁うつ病」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101131627/>
文庫: 210ページ
出版社: 新潮社 (2014/9/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101131627
ISBN-13: 978-4101131627
発売日: 2014/9/27

[書評] ★★★★☆

北杜夫さん(1927-2011)が躁うつ病であることは以前から知られていたが、躁状態の時に色々“やらかした”話や、うつ状態の時の様子などを書いた本。内容は、北杜夫さんと、娘・斎藤由香さんとの対談形式。

うつ病や躁うつ病といった精神疾患について書かれた本は一般的に暗く重いのが多いようだが、本書は非常に軽やか。躁状態の北さんの一家は精神疾患の家族を持って大変!と後ろ向きにとらえるのではなく(当然大変だったとは思うが)、北さんの起こすドタバタを楽しむ余裕があったように見える。勿論、経済的にやっていける状態だったからこそ、一家の大黒柱が躁うつ病になってもやっていけたのだと思う。が、心を病んだ人への接し方として参考になるのではないか。つまり、無視するのではないが、全部受け止めるのではなく(そんなことをやっていたら周りの人が持たない)、適度に受け流して状況を楽しむ余裕を持つことも必要だということ。精神疾患とまで行かなくても、精神的に非常に疲れた状態の人とかは、誰の近くにもいるのではないか。

北杜生さんの作品(私の場合、『船乗りクプクプの冒険』や『どくとるマンボウ航海記』など)が好きな人は、作品の生まれたバックグラウンドを知る上でも興味深い本だと思う。

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