田坂広志(著)「知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4334038018/>
新書: 229ページ
出版社: 光文社 (2014/5/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4334038018
ISBN-13: 978-4334038014
発売日: 2014/5/15
[書評] ★★★★☆
本書は、多くの専門家(スペシャリスト)を統合して動かすジェネラリストになるには、どのような“修行”(人生経験)を積めば良いかを示す本。経営者・管理職は勿論、2~3人の小編成のチームリーダや関係部署・協力会社の人に動いて貰わないと仕事が進められない全ての人(つまり大部分の組織人)にとって、考えさせられるところ大だと思う。
そもそも「知性」とは何か。筆者はこう書く。
- 「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。
- 「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力。(p. 15)
同様に、「智恵」は「知識」とはどう異なるかについても書いている。
- 「知識」とは、「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものである。
- 「智恵」とは、「言葉で表せないもの」であり、「経験」からしか学べないものである。(p. 54)
今後「知識社会」になっていくと言われて久しいが(言い出したのはP・ドラッカー氏だったか)、この「知識社会」では、その名とは裏腹に、(検索すればすぐ出てくるような)知識は役に立たなくなる。形式知・知識知ではなく、暗黙知・経験知が重要になって行く。今後さらに重要になる能力は、この暗黙知・経験知を自ら育み、さらに他人に伝える or 形式知化・知識知化する能力だろう。
本書でちょっと残念なのが、
- 同じ文言を何度も書いている箇所が多く、少々くどい点。
- 太字で強調している箇所が多すぎて、何を強調したいのかがよく解らなくなっている点。
- 後半になるに従い、「紙数に限りがあるので」と、自身の別の著作を参照するように薦めている点。紙数に限りが…と言う割に、空行や同じ文言の繰り返しが多く、限りある紙面を無駄遣いしているようにも見える(笑)。
何はともあれ、暫く経ってから(“寝かせて”から)再読してみようと思える本ではある。
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