2016年9月18日日曜日

田坂広志「人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」」


田坂広志(著)「人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4334039227/>
新書: 243ページ
出版社: 光文社 (2016/5/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4334039227
ISBN-13: 978-4334039226
発売日: 2016/5/19

[書評] ★★★★★

本書の副題は「人間関係が好転する『こころの技法』」。私なりに言い換えると、人間関係を良好にするための「心の持ち方、姿勢」を示した本。自身が煩悩を持つ存在であることを認めた上で(自身が悪い感情等を持つことは否定しない)、人間関係を良くするために、様々な出来事(特に人との出会いや経験)とどう向かい合うかを述べる。

内容は以下の通り(目次から)
  1. 心の中で自分の非を認める
  2. 自分から声をかけ、目を合わせる
  3. 心の中の「小さなエゴ」を見つめる
  4. その相手を好きになろうと思う
  5. 言葉の怖さを知り、言葉の力を活かす
  6. 別れても心の関係を絶やさない
  7. その出会いの意味を深く考える
本書の内容の多くは、部下を持つ者向けに書かれた、コミュニケーション力やコーチングのテキストと共通する。が、本書に特徴的なのは、
  • 人間関係における、不和や不信、反目や反発、対立や衝突、嫌悪や憎悪などの痛苦な経験への処し方
  • 不幸な出会い・苦痛な体験を、自身の人生において意味の無いものとせず、その出会いや体験から、自身の課題を認識して学習すること
を、上記のスキルと合わせて身に付ける方法と、その際の「心の置き所」を明確にしている点。先日TwitterやFacebookで話題になった「小児科に掲示してあった『声かけ変換表』」(子どもだけでなく大人にも通用する内容だった)とも一部共通する「心の置き方」。
  • この貼り紙自体は、リツイートされた画像を、作者が権利侵害を申し立てて削除させているようですが…。
怒りを燃料に、劣等感や屈辱の記憶をバネにしている社会人は(学生も)多いと思うが、本書に書かれた「こころの技法」は、ある意味その対極にある。私自身の経験と照らし合わせてみても、「反省点」多し。また、尊敬できる上司・先輩の多くが本書に書かれている通りの行動様式を取っていたことも興味深い。

本書も前著同様、暫く寝かせてから再読してみようと思う本の1冊だ。

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