NHKスペシャル「NEXT WORLD」制作班(編著)「NEXT WORLD―未来を生きるためのハンドブック」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4140816716/>
出版社: NHK出版 (2015/4/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4140816716
ISBN-13: 978-4140816714
発売日: 2015/4/9
[書評] ★★★★☆
NHKスペシャル番組「NEXT WORLD 私たちの未来」を書籍化したもの。副題は「未来を生きるためのハンドブック」となっているが、遺伝子工学・ナノテクノロジー・ロボット/人工知能・生活フロンティアにより、近未来がどのようになるかを垣間見せてくれる「パンフレット」と言った方が正確だろう。
内容は以下の3部構成。
- 命と身体 (薬理学、脳・神経科学の発展)
- 生活とフロンティア (宇宙旅行から生活フロンティアまで)
- 人工知能と未来予測 (AI、人体とコンピュータの融合)
- 2045年問題…AIの“知能”が人間の知能を超える「特異点」が2045年頃に訪れるが、その後はAIが自らの力で高性能化を続けるので我々人間には2045年以後の技術予測が出来ない、…という問題。
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参考図書
- レイ・カーツワイル(著), 井上健(監訳), 小野木明恵・野中香方子・福田実(共訳) 「ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき」(NHK出版、2007)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4140811676/>
<http://yuubookreview.blogspot.jp/2016/05/blog-post.html> - ミチオ・カク(著), 斉藤隆央(翻訳)「フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する」(NHK出版、2015)
<http://www.amazon.co.jp/dp/414081666X/>
<http://yuubookreview.blogspot.jp/2016/12/blog-post.html>
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以下余談
以前、米国が今後100年どのような課題に立ち向かうべきかが書かれた、ジョージ・フリードマン(著),櫻井祐子(翻訳)『100年予測』(原書:2009、訳書:単行本2009・文庫2014)(Amazon、拙書評)を読んだ。この時は、今後起こり得る戦争で鍵となる科学技術は、突き詰めると以下のようなものだった。
- ロボット工学(AI)、兵士の肉体強化・AI/ネットワークを活用した行動力強化
- エネルギー確保(人工衛星にて太陽光発電~エネルギーはマイクロ波送電~地上にて受信)
- 宇宙テクノロジー(特に敵国の「目」と「耳」となる軍事衛星)…これらの潰し合いが戦局を大きく変える
当時、この分析を読んだ私は、ただのSF物語ではないかと思った。だが、本書(とその前の同系統の書籍数冊)を読むと、これはあながちウソでも無さそうだ、少しは信じた方が良さそうだ、と思えてきた。自分が生きている間に、新しいテクノロジーが実現されるのは素晴らしいと思う反面、新技術が破壊と殺戮の道具として使われる様子を想像するのは、「皆の幸せに寄与できる新技術・新製品」を作ることを目指す技術者としては、内心複雑な思いである(出来ることならば、破壊・殺戮の片棒を担ぎたくないので)。とは言え、旅客機もインターネットも携帯電話もGPSも元は全部軍事技術であり、技術が民間に開放されてから積極的に平和利用されている。「最悪の状況に備えた技術」として開発された軍事技術も、後に「人々の豊かな生活に役立つ」と信じるしかないのかも知れない。
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