2014年10月13日月曜日

貴志 祐介(著)「悪の教典」(上・下)

貴志 祐介(著)「悪の教典〈上〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167839016/>
文庫: 467ページ
出版社: 文藝春秋 (2012/8/3)
言語: 日本語, 日本語
ISBN-10: 4167839016
ISBN-13: 978-4167839017
発売日: 2012/8/3

貴志 祐介(著)「悪の教典〈下〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167839024/>
文庫: 459ページ
出版社: 文藝春秋 (2012/8/3)
言語: 日本語, 日本語
ISBN-10: 4167839024
ISBN-13: 978-4167839024
発売日: 2012/8/3

[書評] ★★★☆☆

東京都下の高校を舞台とした、学園モノのサスペンス/サイコホラー劇。猟奇的大量殺人物語でもある。

勢いよく読ませる。特に後半になって話のペースが早くなってきてから、目が離せず、一気読みしてしまう。後ろめたい行動をしている主人公が、自分の身を守るために始めた行動をどんどんエスカレートさせていく様子が克明に描かれている。最終的に狩猟的とも言える行動に走ってしまう主人公の視点・心情をメインに書かれたストーリーは圧巻。ただ、後味はあまりよろしくない(サイコホラーだから当然かも知れないが)。

なお、内容・設定に、突っ込みどころは沢山ある。なぜ一介の高校教師が、高度な軍事訓練あるいは特殊工作員訓練を経験したような技能と知識を持っているのか? ちょっと変わった経歴を持っていることで説明をつけようとしているが、無理がありすぎる。また、高校の中も(進学校の割に)乱れまくり。教師同士も、教師と生徒の間も、爛(ただ)れた関係だらけ。こんな状態が現在の高校に実際にある姿だとは思いたくないし、現実の高校生にもそうは思って欲しくは無い。本書はR指定付きにすべきではないか? 読んで良いのは、虚構と現実の区別が出来るお年頃になってから、と願いたい。

オビによると、文春文庫「高校生が選んだ、BEST10」の第5位とのこと(書店で平積みされていたので買ってみた)。映画化もされたらしいが(残念ながら観ていない)、こういうストーリーの本や映画が売れてしまう現代日本は、かなりヤバい段階まで病んだ社会なのではないだろうか。

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