2014年10月29日水曜日

森 博嗣 「すべてがFになる」

森 博嗣 「すべてがFになる」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062639246/>
文庫: 524ページ
出版社: 講談社 (1998/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062639246
ISBN-13: 978-4062639248
発売日: 1998/12/11

[書評] ★★★☆☆

いわゆる密室殺人ミステリー。孤島に建つ私立研究所の密室で事件は始まる。この小説における鍵の1つは、コンピュータ・ネットワーク・システム。謎かけをコンピュータ・システムに依存しすぎている感はあるが、物語が進むにつれてスピーディーな展開で読ませる。面白い。

本書を読んで新しいなと思ったことは、
  1. ネット時代になって、個人の存在が危うくなっていることを示していること。… 個々人は互いに色々な繋がり方ができるようになった反面、直接コンタクトせずとも様々な情報はやりとりできる。人間各個人を、脳を中心とした単なる情報処理装置と捉えれば、正常な進化?なのかも知れないが。でも、物理的な干渉を持たないコミュニケーションは本当に正常な状態なのか? みたいな。
  2. 本書に書かれた会話の多くは、論理的ではない。… 多くの作品における会話と違い、本書では論理的でない会話が多く見られる。話をはぐらかしたり、質問に対して質問で答えたり。日常生活における会話とは、本来そのようなものだと思う(会議でも同様では困るが/笑)。著者(森博嗣氏)は、ネタ的に「理系作家」と言われるようだが、人間観察も細かい。ただの「理系」ではないようだ。
私事になるが、学生時代にUNIXオペレーティングシステムのソースコードとか見て、自分が生きているうちに時計が1周りしちゃうなぁとか思ったことがあり、本書のネタは懐かしい感じもした。

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