<http://www.amazon.co.jp/dp/4492443517/>
単行本: 379ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2008/6/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4492443517
ISBN-13: 978-4492443514
発売日: 2008/6/13
[書評] ★★★★☆
著者はクリントン政権で労働長官、バラク・オバマが民主党大統領候補だった時代に政策アドバイザーを務めた人。経歴はこれだけでないのだが、長くなるので詳しくはWikipedia等を見て欲しい。
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資本主義が民主主義を食い潰している理由は、主に以下の2点だと思う。
- 経済的主体としての個人の在り方が変わってしまったこと。すなわち、仕事をして給与を貰う「市民としての私」よりも、より安い商品を買い求める「消費者としての私」、そして投資をして大きなリターンを得たいと考える「投資家としての私」が勝ってしまっているのが原因だと言う。物を買う時は、従業員がまっとうな生活を送れるような消費行動をする必要があると述べる(実際問題として難しいだろうが)。本件については、篠原 匡 (著)「腹八分の資本主義 日本の未来はここにある!」(新潮社、2009/8/12)からの引用が良いだろう(ここに書かれている小売とは明らかにウォルマートのことだ)。
- どんなに儲けている会社があったって、従業員が貧しくて、社会に失業者が溢れていれば、それには何の意味もない。世界一売る小売が米国にあるけど、従業員の10%近くが生活保護を受けているという。それで『エブリデーロープライス』。いったい何なのって思うだろう (篠原著、p. 168より)
- 政治に大企業のカネが流れ込んだことが原因と述べる。近年顕著なロビー活動に代表される一連の活動だ。これに対する処方箋は、ロビイストの活動を制限する・ロビイストの金銭の出入りを明確にする、等を示す。既得権益層(大企業・ロビイスト・政治家)の多くは嫌がるだろうが、もしこれが実現できたら薮の中にある大企業と政治のカネの流れが明るみに出て、政府と大企業の癒着が多少クリーンとなり、資本主義の暴走を減速させることはできるだろう。
資本主義の行き詰まりを感じている今日この頃、非常に刺激的な本だと思う。
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