2012年10月15日月曜日

石田衣良「40―翼ふたたび」

石田 衣良 (著)
「40―翼ふたたび (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062762692/>
文庫: 387ページ; 出版社: 講談社 (2009/02); ISBN-10: 4062762692; ISBN-13: 978-4062762694; 発売日: 2009/02
[書評] ★★★★☆
 本屋で平置きされていた文庫本の中に、目を引くタイトルの本があった。 見ると、裏表紙に強烈な言葉が。すなわち、「人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が。云々」 自分は良い方の半分が終わった、なんて意識は全然無いツモリなんですけど(笑)。
 作者は、石田衣良氏。 数年前になるが、立花隆氏が日経のHPで、「波のうえの魔術師」(文藝春秋・文春文庫, 2003/09, ISBN-10: 4167174073; ISBN-13: 978-4167174071)の書評?を書いており、気になったので読んだ時に良かった。 今回も期待できそうか?
立花隆氏は、ホリエモン事件や村上彰世事件について書いた記事の中で、 株のことについて小説にしては良く書けている等々と言っていたような。
 本書は、40歳になってから、投げやりに会社を辞めて、半年で2度の転職、3度目の職業としてフリーランスのプロデュース業を始めた男・吉松喜一。 彼のもとを訪れ、プロデュースとは言えないような仕事も含め、 色々な依頼をしていく40歳前後の人たち。ひとつひとつの作品は50頁程度の小作品となっているが、それぞれの作品の内容がソレナリに繋がった内容となっている。 気楽に読めるが、結構読ませる作品だ。 「波のうえの~」もそうだったが、 人生の辛さ・苦さや、その中のチョットした喜び、こういったものの描写が巧い人だなぁと思う。
 「波のうえの~」の時には作者のことをよく知らないまま読んでいたが、1960年生まれで、広告制作会社勤務等を経て、1997年にオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。37歳でやっと華が咲いた計算になるが、それまでの人生経験が作品に活きているのだと思う。
 気楽に読める小説だが、色々な人にオススメできる。でも、読んで面白いと思うのは、30歳後半以上の男性限定かな?  Amazon.co.jpの書評には、お坊っちゃんが書いた夢物語とか、そういう書き込みもあるが、私はこの作品は悪くないと思う。

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