2014年11月29日土曜日

藤井哲夫(原作)・かわぐちかいじ(漫画)「僕はビートルズ」(コミック、全6巻)

今回は少し前に売れたコミックの再発物です。オリジナルの講談社モーニングKC全10巻(2013年4月完結)を、文庫サイズ化・全6巻としたものです。


藤井哲夫(原作)・かわぐちかいじ(漫画)「僕はビートルズ」(講談社文庫版コミック、全6巻)

[書評] ★★★☆☆

ビートルズのコピーバンド「ファブ・フォー」が、今から50年前、ビートルズのデビュー前の時代にタイムスリップ! ビートルズの曲を自分たちのオリジナル曲と偽って発表してしまう。本物のビートルズはどうなるのか? そして、ファブ・フォーの今後は? ある意味、問題作だ。

ファブ・フォーの登場は、世の中(日本と英国の音楽シーン)を騒がせ、本物のビートルズにも影響は与えてしまった。しかし、歴史はそれほど大きく変わりはしなかった。破滅的ではないラストに救いはあるのだが、何だか予定調和的で、今ひとつ好きになれない終わり方(私個人の意見だが)。

原作については、メンバー4人のキャラが立っていることと、周囲を取り巻く人間模様、特に日本の音楽業界の裏側、時代考証といった点についてはよく考えられていると思う。漫画については、日本やリヴァプールの風景、それに楽器の描き方が非常に丁寧で、好感を持てた。


以下雑記:

  • 21世紀の演奏技術と音楽理論で武装したミュージシャンが数十年前に行くと“無敵”なのではないか、と思える。が、しかし。現代の音楽を50年前の人々の前で演奏したらどう聴こえるだろう。2010年頃の音楽を1960年頃に行って演奏しても、世の中には受け入れられないだろう。それは、聴衆がそれに対応できる耳を持っていないから。売れる音楽・生き残る音楽というのは、時代性を持った軸足から半歩~一歩だけ先行した音楽の中から、大衆に選別されたものだからだと思う。
  • そういう意味で、1960年頃の「時代の最先端」だった音楽(ビートルズ)を現代風に解釈し、完璧な演奏技術を持っているコピーバンドが時代を遡ったら…という設定は、非常に面白い。たとえば、ジョージ・ハリスン以上にジョージなギタープレイヤーって沢山いますが、そういうメンバーが「本物」と対決したらどうなるのか見てみたい気もする。
  • 私自身はいわゆる「ビートルズ世代」ではないのだが、ビートルズは勿論聴いているし、ビートルズの影響を大いに受けたアーティストの音楽を沢山聞いている(ビートルズの影響を受けていないポップスなんて殆ど無いのではないか)。そういう意味で、私だけでなく、多くの読者(特に音楽好きの人)が楽しめるコミックになっていると思う。


・  ・  ・  ・  ・

かわぐち かいじ(著), 藤井 哲夫(原著)「僕はビートルズ1」(講談社、2014/09/12)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062779269/>
文庫: 336ページ
出版社: 講談社 (2014/9/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062779269
ISBN-13: 978-4062779265
発売日: 2014/9/12


かわぐち かいじ(著), 藤井 哲夫(原著)「僕はビートルズ2」(講談社、2014/09/12)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062779277/>
文庫: 336ページ
出版社: 講談社 (2014/9/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062779277
ISBN-13: 978-4062779272
発売日: 2014/9/12


かわぐち かいじ(著), 藤井 哲夫(原著)「僕はビートルズ3」(講談社、2014/10/16)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062779528/>
文庫: 352ページ
出版社: 講談社 (2014/10/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062779528
ISBN-13: 978-4062779524
発売日: 2014/10/15


かわぐち かいじ(著), 藤井 哲夫(原著)「僕はビートルズ4」(講談社、2014/10/16)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062779536/>
文庫: 336ページ
出版社: 講談社 (2014/10/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062779536
ISBN-13: 978-4062779531
発売日: 2014/10/15


かわぐち かいじ(著), 藤井 哲夫(原著)「僕はビートルズ5」(講談社、2014/11/15)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062779544/>
文庫: 352ページ
出版社: 講談社 (2014/11/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062779544
ISBN-13: 978-4062779548
発売日: 2014/11/14


かわぐち かいじ(著), 藤井 哲夫(原著)「僕はビートルズ6」(講談社、2014/11/15)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062779552/>
文庫: 336ページ
出版社: 講談社 (2014/11/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062779552
ISBN-13: 978-4062779555
発売日: 2014/11/14

2014年11月24日月曜日

エリック・カンデル & ラリー・スクワイア「記憶のしくみ(上・下)」

先日レビューした「臨死体験」は、人間の脳の働きに関する本としては、ちょっとオカルトっぽい所もあった。今回は堅い目の本で、2000年にノーベル生理学・医学賞を受賞者したエリック・カンデル博士と、認知心理学/認知神経科学の大家であるラリー・スクワイア博士の共著だ。

 

エリック R・カンデル & ラリー R・スクワイア(著), 小西 史朗 & 桐野 豊(翻訳)「記憶のしくみ(上)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062578425/>
新書: 304ページ
出版社: 講談社 (2013/11/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062578425
ISBN-13: 978-4062578424
発売日: 2013/11/21

エリック R・カンデル & ラリー R・スクワイア(著), 小西 史朗 & 桐野 豊(翻訳)「記憶のしくみ(下)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062578433/>
新書: 304ページ
出版社: 講談社 (2013/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062578433
ISBN-13: 978-4062578431
発売日: 2013/12/20

[書評] ★★★★☆

「記憶」や「忘却」について、脳の中でどのようなメカニズムが働いているのかを書い本。解剖学・生理学・行動学といった広いアプローチを結合させ、脳の働き(特に記憶)について現在わかっている内容を、素人に比較的わかりやすくまとめた本。

「人はどのように自分を認識するのか、個性はどのように出来るのか」「経験により、記憶はどのように作られていくのか」「アルツハイマー病はなぜ起こるのか、治療はできるのか」等々、興味深いテーマが沢山出てくる。面白い。現在わかっていること、まだわかっていないことがキチンと区別して書かれているのも良い。

とはいえ、本書には以下の短所もある。
  1. 内容が広過ぎて、ついていくのが大変である。←読み手である私に素養がないだけなのかも知れないが…(池谷裕二先生の本で読んでいたテーマはスラスラと読めたが、脳内の化学反応や分子遺伝学について書かれている箇所は、読むのが少しシンドかった/苦笑)
  2. 翻訳が直訳に近く読み難い箇所が多い(英語特有の表現まで直訳っぽい)。翻訳の専門家ではない脳神経学の研究者による和訳なので避け難い問題なのかも知れない。サイエンティストとして原文に忠実に翻訳したのだとも考えられる。
  3. 訳注(長いものが多い)が都度文中に入るので、通読しにくい。脚注や後注の形式にしてくれた方が良かったのではないだろうか。
最初の1点以外原著者の責任ではなく、翻訳の問題である。

少し難しい箇所もあるかも知れないが、「学習」とか「忘却」とかについてキチンとしたことを知りたい人には是非お勧めしたい。

2014年11月22日土曜日

鬼頭 莫宏「のりりん(10)」(コミック)


鬼頭 莫宏「のりりん(10)」(コミック)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063545466/>
コミック: 200ページ
出版社: 講談社 (2014/11/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063545466
ISBN-13: 978-4063545463
発売日: 2014/11/21

[書評] ★★★★★

大人のサイクリスト&サイクルスポーツファンのための良質なコミック、10巻です。

本巻の内容は、前巻(Amazon, 拙書評)に引き続き、草レースの後半パートです。エースとアシストの役割分担とか、逃げ集団と大集団とか、補給とか、駆け引きとか。自転車レース(ロードレース)の本質を突いた内容です。レースに出る人にも、見る人にも、「レースがもっと楽しくなる」話が盛り沢山。細かい所までスマートに説明してくれます。全然説教臭くないのも良いです。

自転車(見る・乗る)に興味を持ち始めた人から、中堅どころのサイクリストまで、幅広い層にオススメできると思います。

・  ・  ・  ・  ・

前から思っていたのですが、筆者の鬼頭さん、古い自転車(UCI規定による縛りができる前のバイク)が大好きですよね。最新のTREKのバイク&BONTRAGERのパーツ(OCLVカーボン製)も大好きなようですけど。

2014年11月15日土曜日

立花 隆 「臨死体験〈上・下〉」

 

立花 隆 「臨死体験〈上〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167330091/>
文庫: 490ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/03)
ISBN-10: 4167330091
ISBN-13: 978-4167330095
発売日: 2000/03

立花 隆(著)「臨死体験〈下〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167330105/>
文庫: 526ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/03)
ISBN-10: 4167330105
ISBN-13: 978-4167330101
発売日: 2000/03

[書評] ★★★★☆

「私」という存在は死んだららどうなるのか? 死ぬとき「私」は何を見るのか? という、誰もが持つ疑問に対して、NHKスペシャル「臨死体験」(1991.3)と、NHK教育テレビ「臨死体験を探る」(1992.3)との2つの番組のために行った取材結果をベースとして、番組内に収まりきらなかった内容も含め、多くを綴った本。

生死の淵を彷徨った“臨死体験者”や、体験者に接した研究者へのインタビューを中心に、この不思議体験を数多く挙げる。こういう体験は本当にあるらしい。しかし、この体験が起こるメカニズムについては、よく分かっていない。現在挙げられている説は、大きく分けて以下の2つ:
  1. 脳内の化学反応で見えているだけ、夢のような現象である。死んだら「私」は無になる。
  2. 身体から魂(あるいはそれに類する何か)が抜け出して、本当に見ている。死んだ後、「私」は生の次のステップに進む。
本当のところどちらなのか、研究者の間でも議論は割れている。1. でないと説明できない現象、2. でないと説明できない現象、いずれにしてもデッチ上げ/作り話ではないという保証がどこにあるの? …等々、なかなか話がまとまらない。立花氏は「私は出来るだけ科学的な見方をしているのだが」と言いつつ、宗教寄り・オカルト的な、「ホントに科学的かヨ?」な話まで、内容は色々。そんな中、自身“臨死体験”は出来なくても、臨死体験と共通点の多い“感覚遮断”、さらには“体外離脱”を自身で経験してしまおう!と取り組んでいる辺りは、いかにも立花氏らしいと思った。

ただ…(汗)、文庫版とはいえ、上下巻合わせて1000ページ弱と結構なボリュームである。これだけ引っ張っておいて、結論は以下の通り。
  • 臨死体験で得られる不思議な体験が何故起こるかの理由は、上記1. 2.のいずれとも結論付けられない。決定的証拠がない。
  • 科学的な立場で論じたいが、現段階の科学(脳科学)はまだまだ未発展で分からないコトだらけだから仕方ない。
  • 立花氏自身の考え(意見)としては、1. 2.のどっちでもいいじゃん!…みたいな。
さんざん引っ張っておいてコレかよ!と思ってしまった(笑)。ただ、散々読者を引っ張っておいた上で(この間に読者は色々考えさせられる)、ラストに、臨死体験者の話の最大公約数的な意見、「死への恐怖が無くなった」「生きている間に出来ることを一生懸命やろうと思うようになった」と、調査を通じて立花氏が強く思ったことを結論ぽく持って来たのはチョット上手いかも知れない。

・  ・  ・  ・  ・

立花氏の著作に共通して見られる傾向なのだが:
  • 対立する意見に対して、アッチの味方をしたり、コッチの味方をしたり、行ったり来たりで結論がなかなか出ない(しかも今回は、「どっちだか、よくわかりません」というナンダカナァな結論)。
  • 内容が多過ぎる。取材結果を出来るだけ捨てずに数多く使いたかったのかも知れないが、出来ればもっと見通しの良いストーリー立てとし、内容はエッセンスに絞って欲しかった(手際良く書けば、300~400ページ程度に収まるだろう)。

とにかく話が冗長である(笑)。

・  ・  ・  ・  ・

以上、多少(かなり?)ボロクソに書いてしまったが:興味深いテーマについてじっくり調べたものであり、実は非常に面白かった

2014年11月12日水曜日

谷光 太郎 「青色発光ダイオードは誰のものか―世紀の発明がもたらした技術経営問題を検証する」


谷光 太郎 「青色発光ダイオードは誰のものか―世紀の発明がもたらした技術経営問題を検証する」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4526055735/>
単行本: 183ページ
出版社: 日刊工業新聞社 (2006/01)
ISBN-10: 4526055735
ISBN-13: 978-4526055737
発売日: 2006/01

[書評] ★★★★☆

今年のノーベル物理学賞受賞者、中村修二教授著「ごめん!」(Amazon拙書評)のレビューを先日(19th/Oct./2014)書いた。青色発光LEDの基材・GaN(窒化ガリウム)製造方法の発明者の、一方的な意見だけを読むのも不平等なので、より中立的な視点を持っていると思われる人が書いた本を読んでみた(「ごめん!」と一緒に買っておいたまま積読本だったものを続けて読んだ…が実態/笑)

内容は、GaNの製法特許に関わる裁判の統括と、同様の発明の対価に関する訴訟についてのレポート。多くの資料からの引用が中心で筆者によるコメントは少ないが、よくまとまっている。

発明の価値や知財戦略について、どう考えれば良いか/どう取り組めば良いか、についての明確な答えは無し。しかしながら、これらの裁判をキッカケに始まった、日本の司法の取り組み(特許法の改正、知財高裁の設立など)についても解り易く書かれている。内容は本書発行時のものであり最新ではないが、非常によくまとまっており、参考になる。

メーカ従業員として、あるいは1人の技術者として、「知的財産の価値」や「知財戦略」をどう考えれば良いかのヒントにはなる。

・  ・  ・  ・  ・

以下雑記:

中村氏の発明の対価について。
  1. 青色LEDの製造技術全般の中で、中村氏の寄与が全てではないこと(窒化ガリウム以外の半導体素子製造技術も非常に多いこと、窒化ガリウムの製造技術自体が中村氏1人だけで実現したのではない)
  2. 「世界初」「世界一」のトップ技術(中村氏の担当)だけでなく、「安定」かつ「高良品率」に製品製造する量産技術(他の人が担当)も非常に重要であり、特に後者が無いことにはメーカは利益を生み出せない
  3. 製品開発にあたって、経営者側もリスクを取って投資を続けたこと
等を鑑みるに、高裁審の判決結果(6億円、利息込で8.4億円で和解)は、まぁ妥当な所ではないか(少なくとも桁違いには多くも少なくもない)、と思う。本書はそんな私の考えを裏付ける(補強する)ものとなった。

「業界内で無理と言われていた技術を、世界に先駆けて実現した」発明に対して、もう少し報いてくれても良いのではないかな~とか思うのがイチ技術者としての正直な感想(笑)。でも、ノーベル賞のニュース、それに中村教授-日亜化学工業の関係改善のニュースもあり、まぁ良い落とし所だったのでは、とも思う。

2014年11月9日日曜日

竹内 一正 「スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ」


竹内 一正 「スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4569776973/>
新書: 222ページ
出版社: PHP研究所 (2010/2/19)
ISBN-10: 4569776973
ISBN-13: 978-4569776972
発売日: 2010/2/19

[書評] ★★☆☆☆

アップル創業者、スティーブ・ジョブズ氏と、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツを色々な観点で比較した本。

IT・電子部品関連の雑誌・書籍に、両氏の仕事の仕方については散々書かれてきた。PCやネットの黎明期(1980~90年代)、ゲイツ氏は堅実な経営も営んで大富豪になった人だ。これに対して、ジョブズ氏は時々ホームランを打ち続け(そして時々大コケして)アップルを世界トップクラスの企業にまで導いた人だ。

本書では、ジョブズ氏とゲイツ氏、全く異なるタイプの経営者2人を同じ俎板に乗せて比較しているのは面白いかも知れない。2人の経営者の色々なエピソードが読めるのは興味深いが、殆どどこかで読んだ話ばかり…という気もする。一時だけの流行本ではないだろうか。

2014年11月8日土曜日

今野 晴貴 「ヤバい会社の餌食にならないための労働法」


今野 晴貴 「ヤバい会社の餌食にならないための労働法」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4344420268/>
文庫: 137ページ
出版社: 幻冬舎 (2013/6/11)
ISBN-10: 4344420268
ISBN-13: 978-4344420267
発売日: 2013/6/11

[書評] ★★★★☆

2006年に若者の労働相談を受け付けるNPO法人「POSSE」を設立した筆者による、ブラック企業?に悩まされている個人が、どのような行動をとれるのかを示した指南書。良書。

同じ著者による「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文藝春秋、2012/11/19) (Amazon, 拙書評)は、ブラック企業がどのように従業員を食い物にし、社会悪となっているかを具体的に書いた本。よく整理されている。

んで、本書。労働基準法が定める基本的なことがらが網羅されている。退職や解雇に関する条件がしっかり書かれており、会社が簡単には従業員を解雇できないことが書かれている。自分や周りの人が会社を去る場合、ちゃんと手順を踏んでいるか確認することが出来る。より詳しくは労働基準監督署や社労士、労働担当の弁護士などに相談するのがベストなのだろうが、最初に参照すべきものとして有効だろう。

うちの会社ヤバくないか?と思っている会社員は勿論、就職前の学生も読んでおいて損はない本。

2014年11月6日木曜日

スティーブン・レヴィ 「グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ」

スティーブン・レヴィ 「グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4484111160/>
単行本: 632ページ
出版社: 阪急コミュニケーションズ (2011/12/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4484111160
ISBN-13: 978-4484111162
発売日: 2011/12/16

[書評] ★★★★★

ネットの検索大手であり、スマートフォンのOS(Android)やスマホアプリ・ネットアプリの開発元であり、ロボットや自動運転車の研究開発をしている(…まだ足りないかも)、そんなGoogleの過去と今そして未来を描く本。非常に面白い。「アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか」(2013)(Amazon拙書評)ではアウトサイダー的な書き方がされていたが、本書では一貫してインサイダー側の視点だ。

検索連動型広告が何故ビジネスたりうるのか。Googleがどうやって検索業界トップとなったのか。それまで良い関係を築いていたAppleを敵に回して、どうして携帯電話(スマートフォン)市場に出たのか。国際問題・政治問題に触れるような問題に対する態度はどうか。

6章の、中国への進出~中国政府当局による検閲との戦い~中国でのサイバー攻撃~中国からの撤退、にまつわる話は生々しすぎる。が、中国を人口10億人超の巨大市場と捉える全ての企業の人間が知っているべき話だ。この話題については国際的にデリケートな内容であるためか、多少気を遣った書き方がされているようだが、黒幕が誰なのかは、まあ、明白だ(笑)。

成長を続ける大学生的ノリの企業も、大きくなり過ぎた。今後どう変化し続けるのか、それとももう変化しないのか。今という時代を読む上でも、急成長を遂げた企業がその次にどのように進むべきかを考える上でも、非常に興味深い著作だと思う。IT系に限らず、製造業・サービス業など広い分野の人に参考になる良書だと思う。

2014年11月3日月曜日

西尾 維新(著),VOFAN(著)「続・終物語」

西尾 維新(著),VOFAN(著)「続・終物語」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062838788/>
単行本(ソフトカバー): 292ページ
出版社: 講談社 (2014/9/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062838788
ISBN-13: 978-4062838788
発売日: 2014/9/18

[書評] ★★☆☆☆

『化物語』(2006) (Amazon, 拙書評/初出)に始まる、西尾氏の〈物語〉シリーズの最終巻(著者によれば本書は「再終巻」)。今回は陰鬱・陰惨な描写は非常に少な目。設定がブッ飛んでいるのは毎度の通り。面白さについては、まあ、ソレナリ。

本書はもうこれ以上展開のしようもないようなストーリーとなっていて、読者を惹きつける力はシリーズ中で弱い方だと思った。が、こういう書き方にこそ「今度こそ終わり」という著者の強い意志を感じる。〈物語〉シリーズは、何度も完結(?)しているが、おそらく出版社側の都合等により、繰り返し復活(?)してきたのだと思う。著者の西尾氏に対して、「長い間のシリーズ継続、本当にお疲れ様でした」と言いたい。

・  ・  ・  ・  ・

余談:
 初回限定版として、西尾氏の新作「掟上今日子の備忘録」の第1話がオマケで付いて来た。これは推理物らしいが、設定はやっぱり(笑)ブッ飛んでいる。でも内容は結構面白いかも?!

2014年11月1日土曜日

小山 宙哉(著)「宇宙兄弟(24)」 (コミック)

小山 宙哉(著)「宇宙兄弟(24)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4063883515/>
コミック: 208ページ
出版社: 講談社 (2014/9/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4063883515
ISBN-13: 978-4063883510
発売日: 2014/9/22

[書評] ★★☆☆☆

久しぶりのコミックです。

シリーズ中、次のクライマックスへ向けての中継ぎ的な1冊(ずっとハイテンションを保つのは無理だろう)。そんな中でも、何か良いコトを言おうとして無理している感じがある。もうちょっとサラッと書いてくれても良かったんだけどなー。