吉成真由美(インタビュー・編)、ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン(著)「知の逆転」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4140883952/>
新書: 304ページ
出版社: NHK出版 (2012/12/6)
言語: 日本語
ISBN-10: 4140883952
ISBN-13: 978-4140883952
発売日: 2012/12/6
[書評] ★★★★★
社会は今後どうなって行くのか? テクノロジーは宗教に取って代わるのか? インターネットは我々の生活や教育にどのような影響を与えるのか? 今後の教育のあるべき姿とはどのようなものか? 若い人に推薦したい本は? …これらの問いについて、米英の著名な科学者6人に、サイエンスライター・吉成真由美(よしなり まゆみ)氏がインタビューしてまとめた本。
アメリカ特有の社会制度・教育制度に対する指摘が多いが(チョムスキーとワトソンはかなり辛口)、日本にも通ずるものがあるはずだ。最近読んだ本では、ミチオ・カク氏がテクノロジーに関して徹底的に楽観的なのに対し(たとえば「2100年の科学ライフ」:Amazon、拙書評)、本書の登場人物は慎重な姿勢の人が多い。
インタビュー相手は以下の6人。
- ジャレド・ダイアモンド: UCLA教授(進化生物学・生理学)。文明論についても詳しく、近代以降西欧が覇権を握ったのは民族による能力差ではなく、単に地理的条件に恵まれたためにすぎないとする『銃・病原菌・鉄』など著作多数。
- ノーム・チョムスキー: MIT名誉教授(言語学)、米国の政策に厳しい批判の目を向けた著作多数、『メディア・コントロール』『ウォール街を占拠せよ』など。
- オリヴァー・サックス: コロンビア大学メディカルセンター教授(神経学・精神医学)。人間の認知という入り口から、文明論まで幅広い著作が多い。代表作は『音楽嗜好症』など(←音楽の認知に関して書かれたとても面白い本です)。
- マービン・ミンスキー: MIT教授(工学、特に人工知能=AI)。AIの黎明期からの研究者で「AIの父」と呼ばれる。このほか哲学にも詳しく、『心の社会』等の著作がある。
- トム・レイトン: MIT教授(応用数学)、アカマイ・テクノロジーズ社チーフ・サイエンティスト/取締役。アカマイはインターネットのインフラ会社で、閲覧者に近いサーバへの振り分けやセキュリティ対策等、色々なサービスを提供している。
- ジェームズ・ワトソン: DNAの二重螺旋構造を解明してノーベル生理学・医学賞を受賞した著名な学者(理系人間なら知っているべき科学者の1人)。
ズバリ、良書。
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