2014年8月31日日曜日

吹奏楽部あるある研究会(編集), 菊池直恵(イラスト)「吹奏楽部あるある」

吹奏楽部あるある研究会(編集), 菊池直恵(イラスト)「吹奏楽部あるある」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4861918839/>

新書: 191ページ
出版社: 白夜書房 (2012/4/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4861918839
ISBN-13: 978-4861918834
発売日: 2012/4/23

[書評] ★★★★☆

吹奏楽部は体育会系文化部である。防音室のある家に憧れる。2ケタ続く休み小節は睡魔との戦い。唇のはれ方で楽器がわかる。パーカッション担当者は話を聞いていない率が高すぎ。…等々、身に覚えのある話が多すぎ。つい、声を出して笑ってしまう。ワタシ以外の吹奏楽経験者にとってもたぶん、面白すぎる本です。interestingじゃなくて、funnyあるいはenjoyableという意味でね。

今日ヤマハ銀座の書籍フロアで目にして、つい買ってしまった本(の1冊)です。帰りの電車の中で読まなくて良かった(笑)。もし読んでいたら、笑い声を上げてしまい、周囲から変な人or危ない人扱いされたことでしょう。帰宅後すぐ読み、大笑いさせてもらいました。

殆ど何の役にも立たない本ですが、息抜きに如何でせうか?

2014年8月30日土曜日

岡本吏郎・安達元一「伝説のキャバ嬢コンサルタント舞ちゃんの 世界一たのしい社長の教科書」

岡本吏郎・安達元一「伝説のキャバ嬢コンサルタント舞ちゃんの 世界一たのしい社長の教科書」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4776205920/>
単行本(ソフトカバー): 223ページ
出版社: アスコム (2010/5/17)
ISBN-10: 4776205920
ISBN-13: 978-4776205920
発売日: 2010/5/17

[書評] ★★☆☆☆

会社の製品やサービスのブランディング、ターゲティングといった企業活動について述べた本。読み易いが、特に優れた本とも思えない(バッサリだ~!/笑)可もなく不可も無し。
  • 世界一たのしい社長の教科書 (書名より)
  • 本書は、効果絶大の「経営戦略」が、ノンストップストーリーで、スラスラとわかってしまう恐ろしい本です。(p. 1より)
  • そして読了した頃には、あなたは極上のビジネス脳の持ち主に生まれ変わっているはずです。(p. 5より)
はどう考えても誇大広告

会社経営の基本的な考え方を知る為の“軽い読み物”としては悪くないのだが、ケーススタディは少ないし、実用性・応用性という意味ではちょっと内容不足かも知れない。あくまでも入門書として捉えるべきだろう。

2014年8月28日木曜日

甲斐莊正晃「女子高生ちえの社長日記」シリーズ(4冊)

甲斐莊正晃「女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!?」
<http://www.amazon.co.jp/dp/483341855X/>
単行本: 231ページ
出版社: プレジデント社 (2007/6/22)
ISBN-10: 483341855X
ISBN-13: 978-4833418553
発売日: 2007/6/22

甲斐莊正晃「女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4833418959/>
単行本: 223ページ
出版社: プレジデント社 (2008/11)
ISBN-10: 4833418959
ISBN-13: 978-4833418959
発売日: 2008/11

甲斐莊正晃「女子高生ちえのMBA日記 (女子高生ちえの社長日記 PART-3) ― 社長だもん、もっと勉強しなきゃ!!」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4833419459/>
単行本: 230ページ
出版社: プレジデント社 (2010/9/17)
ISBN-10: 4833419459
ISBN-13: 978-4833419451
発売日: 2010/9/17

甲斐莊正晃「女子高生ちえの社長日記 PART-4 ― 国際化?中国?それで、戦略!?」
<http://www.amazon.co.jp/dp/483341998X/>
単行本: 223ページ
出版社: プレジデント社 (2012/2/14)
ISBN-10: 483341998X
ISBN-13: 978-4833419987
発売日: 2012/2/14

[書評] ★★★★★

女子高生・ちえは、急逝した父親の後を継ぐ形で、同族企業の社長になってしまう。ちえが、実務経験を通して会社経営を学んで行くというストーリーを通して、会社とはどうやって動いているのかを解り易く説明してくれる本。

ストーリー展開もよく練られており(結構ドラマティックだ)、楽しく読みながら、会社経営のポイントを知ることが出来る。会社等の組織の中にいると自分の部署の活動しか知らない状態(タコツボ化)になりがちだが(特に入社数年で異動未経験の若手社員)、会社経営という観点から自分の「仕事」を考えるのに役立ちそうな本。経営とか技術とか製造とか経理とかマーケティングとか…の色々な話題について、勿論きちんとした教科書はあるし、自分が勉強したいものは積極的に「きちんとした教科書」を読むべきなのだろうが、
  1. 企業経営の教科書の第1ステップとして良い(読み易い)
  2. 色々な活動の中心となるべき、扇の要の部分が解り易く書かれている
といった点から、特に若手社員にオススメ。こういうイントロ本を読んだ後に、必要に応じて次のステップ(いわゆるビジネス書や正統的な教科書)に進めば良いと思う。

1冊目は、在庫とかリードタイムとか原価といった、製造業に必須の知識。2冊目は、経理の話を中心に(企業買収のドラマも出てくる!)、マーケティングや競争戦略の話が出てくる。3冊目は、MBA (Master of Business Administration; 経営学修士)の考え方の基礎と、品質問題トラブル対策。4冊目は、模倣品対策・情報漏洩に関する戦略について。

この4冊を通して読むことで、企業経営に関わる主だったテーマがほぼ網羅されるようになっている。今後ますます重要になって行く知的財産戦略、従業員の待遇といった辺りについても突っ込んだ話が欲しかったが、入門書に対して、それは欲張りすぎというものだろう。

実際の企業では、本書のようなハッピーエンドの話ばかりではないのだろうが、「企業経営って何?」という人に対する導入として非常に解り易い。何年か前に流行った「もしドラ」(※下記註参照)と同じように、イントロ本として非常に優れた本だと思う。繰り返しになるが、特に若手社員にオススメだ(若手社員の研修目的で、主だった社員全員に買って与え、読ませても良いかも知れない)。

※註 「もしドラ」…岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(Amazon拙書評)

2014年8月23日土曜日

石塚真一「BLUE GIANT」(1~3) (コミック)

今回は軽めに、コミック本です。

石塚 真一 (著)「BLUE GIANT 1」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4091856780/>
コミック: 222ページ
出版社: 小学館 (2013/11/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091856780
ISBN-13: 978-4091856784
発売日: 2013/11/29

石塚 真一 (著)「BLUE GIANT 2」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4091862454/>
コミック: 208ページ
出版社: 小学館 (2014/3/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091862454
ISBN-13: 978-4091862457
発売日: 2014/3/28

石塚 真一 (著)「BLUE GIANT 3」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4091864600/>
コミック: 208ページ
出版社: 小学館 (2014/7/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4091864600
ISBN-13: 978-4091864604
発売日: 2014/7/30

[書評] ★★★★★

中学卒業記念に、友人と一緒に行ったジャズ・ライヴ。それ以来、主人公・宮本 大(みやもと だい)はジャズに取り憑かれてしまった。

大曰く、ジャズは「ハゲしくて自由な音楽」(オリジナル音源の演奏者や曲名から、ビバップですな)。そんな彼は、高校ではバスケ部に所属しながら、毎日部活後に夜遅くまでサックスを練習する。決して豊かな家庭に育っている訳ではないが、彼の“姿勢”や“音”に魅かれた周りの人間は、彼に色々な機会を与える。楽器屋の主人は箱にリードを多目に入れてくれたり、ふとした縁で知り合ったピアノ弾き(実は凄腕のサックス吹き)の親父さんが無償でレッスンをつけてくれたり。

初セッションでは大きな挫折を味わうも、周りの人に支えられて、大は音楽的に成長して行く。

・  ・  ・  ・  ・

お金持ちでもないのに初めてのサックスがいきなりセルマー製の高級品だとか(高校を卒業して働き出した兄が無理してローンで買ってくれた)、レッスンを付けてくれるようになった親父さんがバークリー帰りだとか、学校の音楽の先生といきなり合奏(というかセッション)出来ちゃうとか、…まぁ挙げ出したら無茶&強引な設定は沢山ある。でも、そんなのどうでも良くなる位、ドライブ感の強いストーリー。熱い。ぐいぐい引き込まれていく。文句無しに面白い。

サックス吹きでなくても、音楽好きの人間(特に楽器演奏者/経験者)には、非常に面白く読めるのではないだろうか。

まだ主人公は高校3年生で、受験も就職も予定無し(目標は世界一のプレイヤーになること、だから)。この先どうなるのか? 今後の展開が楽しみなコミックである。

2014年8月20日水曜日

C・クリステンセンほか 「イノベーション・オブ・ライフ -ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」


クレイトン・M・クリステンセン, ジェームズ・アルワース, カレン・ディロン(著), 櫻井 祐子 (翻訳)
「イノベーション・オブ・ライフ -ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4798124095/>
単行本: 264ページ
出版社: 翔泳社 (2012/12/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798124095
ISBN-13: 978-4798124094
発売日: 2012/12/7

[書評] ★★★★★

良書! ★5点満点なら、6~7点を献上したくなる本

キャリア・家庭生活・信仰など全てにわたり、自分の人生をより良いものにするためにどうしたら良いか。仕事や家庭、子育てといった生活の各場面に、自分の資源(特に時間)をどう振り分ければ良いか。度々現れる“誘惑”を断ち切るにはどうしたら良いか。予定外の出来事にはどのように対処したら良いか、…等々。経営戦略的な視点を活用して、これの質問に答えてくれる本。オビの惹句は“クリステンセン教授の「人生経営学」”。まさにその通りの内容だ。

クリステンセン教授(ハーバード・ビジネス・スクール)は、著書『イノベーションのジレンマ』にて「破壊的イノベーション」を提唱したのを始めとし、これまで「技術革新」や「企業経営」について論じてきた(後から、教育についても書いている)。その教授が、これらよりもずっと大きなテーマ、「人生」について述べた、渾身の作品だ。大病を患い、必死に復帰した教授だから書けたのであろう、魂のこもった著書

経営書の類を読んだ人にとっては、非常に馴染みのある表現で読み易いし(ケーススタディでは色々な企業の失敗例も出て来る)、内容は誰もが共通に持つテーマ、「人生」。経営書なんて縁が無いよ…という人にとっても、(内容は堅めだが)必ず役に立つ本だと思う。これから社会人としてのキャリアをスタートさせる人が読んでも良いし、現役世代なら上は何歳の人でも役に立つと思う。特に実感をもって読め、かつ自分の人生の指針として活かせるのは、おそらく30~40代位だろうか。

10年前にこの本と出会えていたら、私の人生は違ったものになっていたかも知れない。そう思わせる本だ。超オススメ。


以下、参考図書:

2014年8月6日水曜日

C・クリステンセンほか「イノベーションへの解 実践編」

暑さにやられて、読書のペースが落ちています。という訳で、だいぶ前に読んだ本の読書メモを発掘したものを転記。


S・アンソニー、M・ジョンソン、J・シンフィールド、E・アルトマン、C・クリステンセン(著)、栗原 潔(翻訳) 「イノベーションへの解 実践編」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4798116734/>
ハードカバー: 432ページ
出版社: 翔泳社 (2008/9/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798116734
ISBN-13: 978-4798116730
発売日: 2008/9/19

[書評] ★★★★☆

優良企業におけるイノベーションが陥りがちな状況を『イノベーションのジレンマ』(Amazon,拙書評)に著し、破壊される側ではなく破壊者側の立場になる方法を『イノベーションへの解』(Amazon,拙書評)に著した、クリステンセン教授の著作。本書は、この破壊者になるために、具体的にどうすればよいのかを書いた本。オビの惹句は、ずばり、『「イノベーションのジレンマ」刊行から10年 ついにジレンマは終わる』(当然、誇張表現ではある)

『イノベーションへの解』のサマリーと具体的な指針を示しているので、即戦向きの内容と言えるだろう(勿論、『イノベーションへの解』を先に読んでおくことが前提だ)

当然のことながら企業の活動は「破壊的イノベーション」よりも「持続的イノベーション」の方が圧倒的に多い。そういう意味で、適用範囲は狭い。だが、ともすれば企業組織の中で潰されがちな「破壊的イノベーション」を芽吹かせ、守り、育てる必要のある立場にある人(R&D部門の管理職や統括役員)にとっては、大変参考になる本だろう。

クリステンセン教授の「破壊的イノベーション」論の研究書や解説書は沢山あるので、本書は必読書とは言えないかもしれない。が、「破壊的イノベーション」論の提唱者本人による著作であり、前著を補強するものでもある。内容は確かだ。

2014年8月2日土曜日

門倉貴史「『夜のオンナ』の経済白書」

門倉貴史「『夜のオンナ』の経済白書 ──世界同時不況と『夜のビジネス』」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4047102091/>
新書: 213ページ
出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009/10/10)
ISBN-10: 4047102091
ISBN-13: 978-4047102095
発売日: 2009/10/10

[書評] ★★★☆☆

最初は、浅川夏樹(著)「夜の銀座の資本論 お金にモテる人になる!」(Amazon拙書評)のような内容を期待したのだが、全然違っていた。世界各国の売買春事情やそれにまつわる人身売買といったシリアスな内容。序文に
  • 「夜のビジネス」抜きでは経済を本当に理解したことにはならない
とあったが、「夜のビジネス」は基本的に灰色~黒の世界のビジネスであり、本書の数値も推計が中心である(まあ仕方無いか)。本書の提言はただ1つ。子供をつくる以外のセックスを嗜好品ととらえ、「セックス税」を導入してはどうかという話だ。「タバコ税」「酒税」と同じ理屈とのこと。言いたいことは分かるのだが、
  • 現在違法とされている売買春を合法化しなければいけないこと
  • 店舗を持たない形態の売買春については課税が困難なこと(強引なやり方をすると今以上に地下ビジネス化しかねない)
といった理由から、実際には無理でしょ(!)と思う。

内容はかなり真面目だし、データ収集に手間暇かけて(新書の割に)丁寧に書かれているのは分かる。だが、内容ではなく書名で売ろうとしている意図が垣間見える点はチョット残念(著者と出版社のいずれの意図かは判らないが)。