2014年9月20日土曜日

ジム・コリンズ「ビジョナリー・カンパニー② - 飛躍の法則」

ジム・コリンズ(著), 山岡 洋一(翻訳)「ビジョナリー・カンパニー② - 飛躍の法則」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822242633/>
単行本: 360ページ
出版社: 日経BP社 (2001/12/18)
ISBN-10: 4822242633
ISBN-13: 978-4822242633
発売日: 2001/12/18

[書評] ★★★★★

「ビジョナリー・カンパニー - 時代を超える生存の原則」(Amazon拙書評)の続編。前著では、「偉大な企業とそうでない企業」を比較し、偉大な企業の共通点(すなわち静止画)を挙げていたが、本書では、「良好な企業」が「偉大な企業」になる為にやったことをの共通点(すなわち動画)を調査し、まとめた本。

本書で述べられている重要なポイントは2点である。すなわち、偉大な業績をあげる企業の経営者の特徴と、そのような企業の経営方針についてだろう。

偉大な企業を率いている経営者は必ず以下の「第5水準の経営者」であり、その他多くの企業の経営者は「第4水準」の経営者であると言う。
  • 第5水準:第5水準の経営者
    個人として謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる
  • 第4水準:有能な経営者
    明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える
  • 第3水準:有能な管理者
    人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追求する
  • 第2水準:組織に寄与する個人
    組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力する
  • 第1水準:有能な個人
    才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする
偉大な企業の経営方針は、以下の3つのポイントが重複することだけに集中していることだと言う。
  • 情熱をもって 取り組めるもの
  • 自分が世界一になれる部分
  • 経済的原動力になるもの
本書の出版により、経営者の多くは戸惑ったのではないだろうか(特に、本人の実力というよりも環境に恵まれて実績を出して昇進した人や、社内政治力によって昇進した人)。企業経営者は、部下から採点されるようになってしまったのだ(経営者の多くは第5水準ではなく、第4水準の経営者という評価になるだろう)。また、会社役員全員のベクトルが揃っていないと、本書の言う「偉大な企業」にはなり得ないが、取締役会は往々にして政治闘争の場になってしまっており、偉大になるには程遠い状態であることが多いからだ。

経営者でない人にとって、本書はどう役立つか。それは、自分の所属する組織(部でも課でもチームでも良い)を「偉大な組織」にする際の参考に出来ることだ。会社トップに直接働きかけることは出来ないかも知れないが、自分の周囲なら「偉大な組織」に変えることは不可能ではない。自分自身が「第5水準」に近づくために、努力と経験を積むことも可能だ。優れた成果を挙げる組織を作りたいと考える“志ある社員”にとって、必読の書

0 件のコメント:

コメントを投稿