2014年9月17日水曜日

ジム・コリンズ、ジェリー・I・ポラス「ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則」

ジム・コリンズ、ジェリー・I・ポラス(著)、山岡 洋一(翻訳) 「ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822740315/>
出版社: 日経BP社 (1995/9/26)
ISBN-10: 4822740315
ISBN-13: 978-4822740313
発売日: 1995/9/26

[書評] ★★★★☆

経営書として一世を風靡した本。細かな紹介は不要だろう。

時代を超えて存続し続ける会社組織について、その共通点を調査してまとめている。数十年経って市場環境が大きく変動しても、企業が偉大な企業として存続するための重要なポイントとして、
  • 企業の存在理由を明確にすること
  • 組織として進歩を促すための仕組みづくりをすること
  • 報酬体系をはじめとし、会社組織・制度の全てを合目的的にし、矛盾をなくすこと
を挙げる。また、会社(あるいは部署)を1つにまとめ、燃え立つ組織とするために、
  • 社運を賭けた大胆な目標(Big Hairy Audacious Goals: BHAG/ビーハグ)
を設定するメリットを挙げる(BHAGは時代・市場に合わせ、その時々に適したものを設定するべきである)。勿論、あるBHAGを達成した後に新たなBHAGを設定しないと、会社は自己満足に陥って成長を止めてしまうので、BHAGは時流に応じて度々再設定する必要がある。

※本書の中で「ビジョナリー・カンパニー」とされている企業のうち数社は、その後、主要事業を売却する等大きな変化も起きている。が、20年近く前の本なので致し方ないだろう。事例が古いのは否めないが、現在でも充分通用する内容が多いと思う(我々により身近なトヨタvs.日産等を念頭に置いて読んでも良いだろう)。

なお、以下の点については留意が必要である。本質を見落として表層だけ・一部だけを真似ようとすると、十中八九、以下の罠に陥る。つまり、企業は従業員にとって地獄と化してしまう。企業経営者・コンサルタントの人たちは、これを見過ごしてはならないと思う。
  • 本書が、企業の経営者たちに、企業理念の文書化と、カルト主義(過剰な団結精神・集団ヒステリー)とを蔓延らせた罪は重い。
  • 本書に示されたような経営方針を採る企業は、ともすると今で言う「ブラック企業」になり易い。従業員の処遇とのバランスも重要。
    ※本書で言う「ビジョナリー・カンパニー」は、社員にとって「やさしい」「居心地のいい」会社ではない。社員に対する要求が厳しい傾向にある。

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