2012年6月30日土曜日

アルフレッド・P・スローンJr.「GMとともに」

アルフレッド・P・スローンJr. (著), 有賀 裕子
「GMとともに (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4478340226/>
単行本: 525ページ ; 出版社: ダイヤモンド社 (2003/6/6) ; ASIN: 4478340226 ; サイズ (cm): 21 x 15
[書評] ★★★★★
 1923年~1937年と15年間GM(ゼネラルモーターズ)社長を務め、その後同社会長に就いた、アルフレッド・P.スローン Jr.氏の自著。 本人は経営書ではなくGMの歴史について述べただけだよと前書きで述べているが、 実際、優れた経営書であると思う。アルフレッド・スローンJr.は、従業員の訓練に関してはGMよりも ベル電話会社が最も優れており、また財務上の管理方法はデュポンが手本であると言ってるが(デュポンに財務上の支援をしてもらった際、デュポンの財務管理手法を導入)、GMは(少なくとも)最もバランスの取れた大企業だったと言える。
 米国の自動車産業が低迷状態に入ってから長い。2006年度、トヨタ自動車が利益だけでなく、販売台数でもGMを追い抜いた(最近また逆転されてしまったが)。だからといって、米国のフォードやGMといった自動車産業の各企業が優れていないということにはならない(トヨタが非常に優れた企業であることは言うまでもないが)。ヘンリー・フォードが生み出した大量生産方式は、 当時としては画期的な生産方式で、時代にマッチしていたのは誰も否定出来ないだろう。 「今は昔と」なってしまったが、これこそ産業のイノベーションである。この大量生産方式は、人々のライフスタイルや消費行動が多様化してきた現在においては時代にそぐわないものになりつつあるが、少なくとも1910~1920年代には、ひとつの革命だったと言える。また、GMの事業部制は、当時GMのほかに存在しなかった「大企業」の運営上、 大きな成果を残した。これらの仕組みを学ぶのは非常に有意義であると考えられるし、 本書は大企業の経営の薫りを味わうことのできる、数少ない良書であると思う。
 企業において、マネージャ層の人は勿論、一般社員も読んで絶対に損はしない本だと思う。

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