ジョージ・オーウェル (著), 高橋和久 (翻訳)
「一九八四年[新訳版]」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4151200533/>
文庫: 512ページ; 出版社: 早川書房; 新訳版 (2009/7/18); 言語 日本語, 日本語; ISBN-10: 4151200533; ISBN-13: 978-4151200533; 発売日: 2009/7/18
[書評] ★★★★☆
ジョージ・オーウェルの最後の作品。1949年発表。 全体主義国家が行くところまで行くと世の中はこうなるかも知れない、という話。(ドイツ社会主義労働者党やソビエト連邦共産党という実例もあった。) 封建社会~資本主義社会の間、世の中には3種類の人々が存在してきた。即ち上層、中間層、下層である。「革命」によって全ての人が平等になったという建て前はあるものの、実際には党中枢、党外郭、党に関わりを持たない人々(プロール=プロレタリア)という3層構造は変わっていない。個人所有の否定は、従来よりも従来よりも遥かに少数の人間(のグループ)に富を集中させることを意味していた。
この社会では、体制が徹底的な情報操作、記録の改竄を行なっている。思想を統制するために、言語も作り変えられて、危険な思想や自由に関わる概念が抹消されている。全ての人が監視される社会であり、民衆が互いに監視し密告する制度がある。体制に都合の悪い言動をした人間は突然「蒸発」させられ、以前から居なかったことにされる。逮捕された人は、洗脳に極めてよく似た操作が執拗かつ恐ろしいほど徹底的に行なわれ、 党への忠誠が「刷り込まれる」。
「民主主義」とは何か、を考える上で、コインの裏面のような全体主義社会の末路を見ておくという意味で、 本書は必読の書と言えるかも知れない。
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