宮嶋 茂樹 (著), 勝谷 誠彦
「不肖・宮嶋南極観測隊ニ同行ス 新潮文庫」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101242313/>
文庫: 279 p ; 出版社: 新潮社 ; ISBN: 4101242313 ; (2001/07)
[書評] ★★★★☆
戦場ジャーナリストとして有名な“不肖”宮嶋茂樹氏が、短期間とは言え、 極限の地、南極のいくつかの基地で活動した時の物語を、非常にオチャラけた感じに綴った本。 南極はいわゆる戦場ではないかも知れないが、 極限状態という意味では、戦場にも通じる部分がある。その極限において人間がどのようになるかといった点は、 戦場取材にも通じる所があると言えよう。
宮嶋氏は、辛い経験も笑い飛ばし、その辛い生活・活動の中に面白いネタを見つける天才かも知れない。この人ほど「生きるパワー」に満ち溢れたジャーナリストを私は知らない。 南極に自衛隊員を派遣する政治的目的・科学的目的といった崇高な(?)話は一切出て来ない。しかし、極端な節約生活の中で、人間という生き物がどう振る舞うか、 自らを元気づけるためにどんなことをするか、そういったことがヘラヘラとした文章で述べられている。 勿論、山ほどの地道な作業が文章にされないまま、ネタになりそうな部分だけピックアップしているのだろうが。
本書は、我々に元気を与えてくれる。が、しかし、処々に下ネタが散りばめられているので、そういうモノに抵抗を感じる人は要注意だ(笑)。まぁ、極限状態ほど人間を獣化させる物はない、ということで、 下ネタというよりも人間の自然な姿、と捉えれば良いのだろう。
必要以上に?品の無い記述がある点を除けば、非常に面白い。 極限状態を仮想体験してみたい人にはお薦めできる。
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