2012年9月8日土曜日

川喜田二郎「発想法―創造性開発のために」

川喜田 二郎 (著)
「発想法―創造性開発のために (中公新書 (136)) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4121001362/>
新書: 220ページ; 出版社: 中央公論社 (1967/06); ISBN-10: 4121001362; ISBN-13: 978-4121001368; 発売日: 1967/06
[書評] ★★★☆☆
 発想法で著名な「KJ法」の創始者自身による著。KJ法をひと言で言うならば、「野外で行なった観察事実等を個別の紙片にまとめ、これらの事実の間の関連性に基づき、紙片を並べかえたりして、 奥底の事実に気づくための手法」、とでもなろうか。
 KJ法の実施方法について順序だてて分かりやすく書いた本ではないが、 著者の実際の“野外科学の方法”を示し、実例で示されているので、KJ法の具体的な実施方法を垣間見るには良い本と言えよう。
 ただ、KJ法を正しく行なうためには「正則な型での訓練が必要」とある。KJ法を銘打って、その実、似て非なる活動を行っている人・団体があまりにも多いのを見、これらを「正しいKJ法」にせんとする思いが、このような書き方をさせているのだと推察するが、100団体がKJ法に取り組めば100通りの展開があってもおかしくないのではないだろうか。KJ法を実施する上で「必ず押さえるべきポイント」を曖昧模糊とさせたまま、 「正則な型」を求めることにも多少無理があるように思える。 本書の最後(あとがき)にKJ法の実施方法に関する導入書の案内があるので、 本気で取り組みたい人はそちらを当たるように、ということなのかもしれないが。
 本書はKJ法へのイントロとしては悪くないかも知れないが、KJ法の実践的内容を知りたい場合は、他の本(もしくは講習会・セミナー等への参加)も必要かも知れない。

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