丸島 儀一 (著)
「キヤノン特許部隊 (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/product/dp/4334031269/>
新書: 197ページ ; 出版社: 光文社 (2002/02) ; ISBN-13: 978-4334031268 ; ASIN: 4334031269
[書評] ★★★★★
知的に面白い! 本書の感想を述べるならば、この一言に尽きよう。
前半部分は、当時普通紙乾式コピー機の技術と知的財産に関して王者の地位にあった、ゼロックスを相手に、キヤノン独自技術を開発し、 知的財産をゼロックスに対してもライセンス(クロスライセンス)に持ち込んだ実話と、その裏話が書かれている。キヤノンがカメラという成熟産業の分野から一歩踏み出し、 事務機分野に参入した際にとった知財戦略を示す。キヤノンで知的財産の新戦略を展開した本人が書いているのだから当然かも知れないが、 生々しい話が多い。また、本としての作りもテンポ良くまとまっており、ぐいぐい引き込まれる。
キヤノンという会社は、売上に占める輸出品(特に米国向け)の比率が非常に大きく、 他の日本のメーカよりも早い段階で知財戦略を練らなければならなかった。この経験が、キヤノンを(日本風の知財戦略の面で遅れのある企業でなく)知財先進企業に仕立て上げたのだと思う。
後半は、企業や国家として、知財への取組みがどうあるべきかを説く。 小泉純一郎前首相がブチ挙げた知財立国の取組みであるが、カタチだけの政策になりかけている。お役人にこそ、本書は読んで欲しいと言える。
何はともあれ、知財マインドをカケラでも持つ人にとって、 本書は「読むべし!」である。
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