2012年12月31日月曜日

長尾藤三「おじさん自転車講座」「おじさん自転車革命」

長尾 藤三
「おじさん自転車講座 (単行本(ソフトカバー))」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4772702903/>
単行本(ソフトカバー): 246ページ ; 出版社: 五月書房; 改訂版版 (1999/04) ; ASIN: 4772702903
長尾 藤三
「おじさん自転車革命 (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4772703586/>
単行本: 226ページ ; 出版社: 五月書房 (2001/08) ; ASIN: 4772703586
[書評] ★★★☆☆
 自転車に乗ることがいかに気持ち良いかを訴える点では、ピカイチの本。しかしながら、現代文明とそれを享受することの良さ、一生懸命に仕事をすること、 等々を全否定するような書き方が多く、私は100%好意的に読むことが出来なかった。
 確かに、現代文明は、人間の自然の摂理に逆らった部分が多すぎる。でも、それは便利なこと&自由なことの裏返しであって、 人間の摂理に反した部分がある程度あっても、ニーズがあるから文明は進化している。それを、斜に構えて否定しても構わないんだけど、ちょっと押し付けがましいかな、という気もした。
 自転車の気持ちよさがとても解り易く、また共感できる部分も沢山あるので、そこだけ拾えば★を5つにしたかったんだけど、ネガティブに読めてしまう部分が多々あるので、★2つ減点、3つとさせて頂く。

2012年12月30日日曜日

ドロンジョーヌ恩田「ドロンジョーヌ恩田の自転車美女入門」

ドロンジョーヌ恩田 (著)
「ドロンジョーヌ恩田の自転車美女入門」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4635242285/>
単行本(ソフトカバー): 160ページ; 出版社: 山と渓谷社 (2010/6/25); 言語 日本語; ISBN-10: 4635242285; ISBN-13: 978-4635242288; 発売日: 2010/6/25
[書評] ★★★★★
 女性向けの自転車入門書、または彼女や奥さんを自転車の世界に誘いたい男の人向けの本と考えても良い。 非常に分かりやすい。また、女性ならではの悩みやオシャレに重点が置かれている。 前著「嗚呼愛しき自転車乗り」と内容が一部カブるが、 「嗚呼~」ほど品の無い箇所も少なく、女性でも抵抗無く読めると思う(「嗚呼~」は男性ウケを狙って品の無い書き方をしている?)。 何はともあれ、初心者にも読みやすく書かれていて、それでいてマニア心をくすぐる箇所も多々あり。 自転車入門書として、男女の区別無くおススメ出来る本だと思う。

2012年12月29日土曜日

ドロンジョーヌ恩田「嗚呼愛しき自転車乗り」

ドロンジョーヌ恩田 (著)
「嗚呼愛しき自転車乗り (単行本(ソフトカバー))」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4777913937/>
単行本(ソフトカバー): 210ページ; 出版社: エイ出版社 (2009/7/27); 言語 日本語; ISBN-10: 4777913937; ISBN-13: 978-4777913930; 発売日: 2009/7/27
[書評] ★★★★★
 あははははは。くだらないけど面白い!
女性の文章とは思えない(?!)品の無い箇所が所々にあるが、 非常に読みやすく、初心者にもオススメできる。
ちなみに、章末ごとにある「自転車はまり度チェックテスト」で、 私は堂々の「デュラエース級」でした(あと数点低かったら アルテグラ級だった…と苦しい言い逃れ?をしておこう)。

2012年12月28日金曜日

ジャン=マリ・ルブラン「総合ディレクター ツールを語る」

ジャン=マリ・ルブラン
「総合ディレクターツールを語る (単行本) 」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4896420187/>
単行本: 286ページ ; 出版社: 未知谷 (2000/09) ; ASIN: 4896420187
[書評] ★★☆☆☆
 ツール・ド・フランスの総合ディレクターを務めていた、ジャン=マリ・ルブラン氏の、インタビュー形式の回顧録。ツールの歴史をその目で見てきた生き証人の言葉は重要。
 …とは言え、サイクルスポーツに興味のある人向き、 大抵の人には関係の無い本なのかなぁ…。。。

2012年12月27日木曜日

山口和幸「シマノ 世界を制した自転車パーツ」

山口 和幸 (著)
「シマノ 世界を制した自転車パーツ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4334974023/>
単行本: 301 p ; 出版社: 光文社 ; ISBN: 4334974023 ; (2003/06/24)
[書評] ★★★★★
 シマノと言えば、今や押しも押されぬ自転車コンポーネント(パーツ)・釣り具の世界的メーカである。 堺で創業した精密加工メーカが、どのようにして世界的メーカになったのか、その道筋を社員(と元社員)の人間ドラマを通じて解き明かして行く。
 自転車好きの商品開発エンジニアが読むと、たまらなく面白い本。 顧客(特にエンドユーザ)に喜んでもらえる商品とはどんなものか。お客様は何を期待して商品を購入するのか。 商品開発時に、ユーザを巻き込んで取り組むにはどうしたら良いのか。この辺りを考えるヒントを与えてくれる。ただ、本書は自転車に興味の無い人が読んでも、たぶんツマラナイ。さらに、商品開発というものに興味の無い人が読んでも、おそらく同様にツマラナイ。 読者をその立場と趣味で選んでしまう、ちょっと珍しい本かも知れない。
※この本、もしかしたら「ビジネス書」という分類が正しいかも知れない。ただ、自分的にはビジネスとかそういうものを離れて、純粋に趣味本として読んだのだが…。

2012年12月26日水曜日

佐野洋子「100万回生きたねこ」 (コミック)

佐野 洋子
「100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4061272748/>
-: 31ページ, 出版社: 講談社 (1977/01), ISBN-10: 4061272748, ISBN-13: 978-4061272743, 発売日: 1977/01
[書評] ★★★★★
 絵本・第2弾。 本来、子供の為に書かれたものだと思うが、 大人と呼ばれる年齢になり、ある程度の社会経験も積んでから読むと、 子供が読んだ時とは違う意味で色々なものを感じるし、考える。
 ズバリ、良書。

2012年12月25日火曜日

菊地成孔・大谷能生・ほか「東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・キーワード編」

菊地 成孔 (著), 大谷 能生 (著), 飯野 友幸 (出演・声の出演), 野田 努 (出演・声の出演), 大友 良英 (出演・声の出演), 濱瀬元彦 (出演・声の出演), 本條 晴一郎 (寄稿)
「東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編 (文春文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167753545/>
文庫: 438ページ; 出版社: 文藝春秋 (2009/3/10); ISBN-10: 4167753545; ISBN-13: 978-4167753542; 発売日: 2009/3/10
[書評] ★★★★★
 『歴史編』よりも内容はハードで、スルスルと読める作りにはなっていない。が、現代音楽の音楽理論に興味があれば、この本も絶対オススメ。
※本書は単行本(メディア総合研究所、2006/03)の文庫版。

2012年12月24日月曜日

菊地成孔・大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編」

菊地 成孔 (著), 大谷 能生 (著)
「東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (文春文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167753537/>
文庫: 335ページ; 出版社: 文藝春秋 (2009/3/10) ; ISBN-10: 4167753537; ISBN-13: 978-4167753535; 発売日: 2009/3/10
[書評] ★★★★★
 バークリー・メソッドのことを書いた「憂鬱と官能を教えた学校」よりも先に、 同じ著者=菊地成孔さん&大谷能生さん=による本書を読んでしまった。ジャズというかポップスというか、現代音楽が好きな人間にとっては、 文句無しに面白いと思う。こんなスゲー講義を聴講出来た学生がうらやましい。いや、マジで。
※本書は単行本(メディア総合研究所、2005/05)の文庫版。

2012年12月23日日曜日

デイブ・スチュワート「絶対わかる! 曲作りのための音楽理論」


デイブ スチュワート (著), 藤井 美保 (翻訳)
「絶対わかる! 曲作りのための音楽理論 [新装版] (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/484561264X/>
単行本: 188ページ; 出版社: リットーミュージック; A5版 (2006/1/26); ISBN-10: 484561264X; ISBN-13: 978-4845612642; 発売日: 2006/1/26
[書評] ★★★★☆
 現代音楽の理論書。 「理論嫌いさん、いらっしゃ~い」なんてオビに書かれているが、 本当に理論が嫌いな人は読めたシロモノではないかも。が、最低限の読譜能力があれば何とかなるかと。 至る所、おチャラけた書き方がされており、 非常に取っ付き易い本であるが、 内容は結構マトモ。 読みやすい上に分かりやすい。
 ただ、(音楽の本の常と言えようが)楽器を手元に置いて、 実際に音を出しながら確認して行かないと理解が進まない。キーボードでもギターでも弾けるように書かれている箇所が多いが、 筆者は鍵盤奏者でもあり、鍵盤向けの譜面が中心。 読者も是非手元にピアノかシンセを置くべきだだろう。
 てゆーか、ギターではオープン・クローズドともに音数の多い和音は、 一部の音を最初からオミットしないといけないから、 各音の機能を確認しながら弾くのは困難。 出来れば鍵盤楽器が良い…と思う。

2012年12月22日土曜日

芥川也寸志「音楽の基礎」

芥川 也寸志 (著)
「音楽の基礎 (岩波新書) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4004140579/>
新書: 202ページ; 出版社: 岩波書店 (1971/08); ISBN-10: 4004140579; ISBN-13: 978-4004140573; 発売日: 1971/08
[書評] ★★★★★
 文豪・芥川龍之介氏の三男で、作曲家・指揮者として有名な、芥川也寸志氏作となる本。 作者は、私が子供の頃、音楽TV番組『音楽の広場』に黒柳徹子と一緒に出演していた と記憶する。 細身でタキシードが似合い、ダンディで優しくハッキリした話し方が印象的だった。
 この番組でもポピュラー音楽までカバーしていたが、どちらかというとクラシック寄りの人と思っていた。が、何のナンの、中世音楽から近代音楽、 現代音楽まで非常に幅広い範囲の「音楽」をおさえた本だった。 本書の後半は、ジャズ(→ロックやポピュラー音楽全部に共通)の和声学を、 諸人に解りやすく解いた内容。
 楽典とかを全然知らない人(私を含めて!)にとっても、非常に読みやすい。 後半部分は、ピアノでもギターでも良いので、 楽譜に書かれたことを実際に音にしてみて確認しながら読むと、より多くを得られるだろう。

2012年12月21日金曜日

神舘和典・白土恭子「上原ひろみ サマーレインの彼方」(文庫)

神舘 和典 (著), 白土 恭子
「上原ひろみ サマーレインの彼方 (幻冬舎文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4344413709/>
文庫: 233ページ; 出版社: 幻冬舎 (2009/10); ISBN-10: 4344413709; ISBN-13: 978-4344413702; 発売日: 2009/10
[書評] ★★★★☆
 単行本が出たときは3rdアルバム"Spiral"のレコーディングが終わった所までだったのが、 文庫化されるに当たり、6thアルバム"Place To Be"のレコーディング後の部分も追加されたようだ。これは買うしかない!(笑)という訳で、Amazon.co.jpにエントリが現れるなり(11月末だったような)、 早速予約注文。
 書誌的データでは2009年10月発行となっているが、年が明けるまで入手出来なかったんだよな。てなことは瑣末なことなんだけど、喉から手が出るほど早く読みたかった。どんどん変わってゆく彼女の音楽。 雑誌(Jazz Life誌など)でもそんな彼女の一瞬々々の状態は追えるのだが、ドキュメンタリーになっている本は少ない。そういう訳で、本書は「上原ひろみに元気を貰いたい人」必読の書。4thアルバム発表以後の写真も増えていて、ファンにとっては嬉しい限り。

神舘和典・白土恭子「上原ひろみ サマーレインの彼方」(単行本)


神舘 和典 (著), 白土 恭子
「上原ひろみ サマーレインの彼方 (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4344010566/>
単行本: 197ページ ; 出版社: 幻冬舎 (2005/10) ; ISBN-10: 4344010566 ; ISBN-13: 978-4344010567 ; 発売日: 2005/10 ; 商品の寸法: 18.6 x 13 x 2 cm
[書評] ★★★★★
 いつも全力投球! すごい、の一言に尽きる。 上原ひろみのCD・DVD映像などから、 彼女が日本人離れしたパワフルなアーティストであることは知っているつもりだったが、その彼女のパフォーマンスの根底にあるものを、本書は十分に明らかにしてくれている。
 著者の文章が良いことや、写真家の腕が良いこともあると思うが、 全編にわかって心地良い疾走感を感じさせる。 十分なメッセージを持ちつつも重すぎず、非常に読みやすい。 上原ひろみというアーティストに興味のある人は必読。
 上原ひろみという音楽家はJAZZ LIFEなどの雑誌でもよく取りあげられており、 気になっているアーティストの1人だったが、 彼女の演奏を初めて聞いたのは、チックコリアとのデュオのCDだった。これまでに演奏を聴いた日本人の女性ピアニストと言えば、 国府弘子、大西順子、綾戸智絵…といった辺りが中心だったが、 上原ひろみの演奏は、誰ともタイプが違うと思った。
 黒人並みの力強いタッチ、精確でありながら繊細かつ野生的な演奏、 完璧な技術と燃え上がるような感情表現。 「凄い」の一言に尽きる。チックとのデュオでは、チックの手癖が無かったら、 左右どちらのチャネルがチックでどちらが上原なのか分からなくなるような演奏だ。
 このデュオのCDに附属するDVDを見た時、さらに衝撃を受けた。ピアノを弾くのが楽しくて楽しくて仕方が無いという彼女の気持ちが、 観ているこちらにまで伝わってくる。もしかしたら、この演奏する喜びの気持ちは、チックよりも強いんじゃないだろうか(チックは才能ある若い音楽家を暖かく見守りながら、 音の世界を通じてコミュニケーションをとることを存分に楽しんでいるようにも見える)。 彼女の演奏は、全身全霊での演奏、全力疾走しながらの演奏。しかも、音のコラボレーションを楽しんでいる。また、演奏家同士のコミュニケーションの他、 聴衆とのコミュニケーションも強力だ。 一部の音楽家だけに許された、濃密な時間。 性的な関わりでも絶対に得られない位に深い、心と心の交流、 観る人の魂をぐわっと掴んでしまうような魅力を持った音楽家/演奏家だと思った。
 一発で彼女のファンになった。 慌てるように、彼女の過去のCDを買い漁って聴いた。3rd Album「スパイラル」に附属のDVDは、レギュラーバンド(ピアノトリオ)での演奏。Nordのアナログ・シンセと生ピアノ(グランド・ピアノ)とを自由に行き来しながら、パンクでありファンクでありロックでありジャジーであり、 色々な音楽の粋を集めたような新しい音の試みが、そこでは繰り広げられていた。
 この若さでこの完成度、本当に大丈夫なのだろうか? 世間は若い才能ともてはやすが、年齢以上の完成度とすごいテンション、なんだか危なっかしいものも感じる。しかし、それも彼女の魅力のひとつ。この先も彼女の創り出す音楽には注目してみたいと思う。

2012年12月19日水曜日

国府弘子「国府弘子のノンキィトンク・ピアノ」


国府 弘子 (著)
「国府弘子のノンキィトンク・ピアノ (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4276211867/>
単行本: 254ページ ; 出版社: 音楽之友社 (1997/07) ; ISBN-10: 4276211867 ; ISBN-13: 978-4276211865 ; 発売日: 1997/07
[書評] ★★★☆☆
 国府弘子のエッセイ集、第2弾。
 前作「ピアノ一丁!」と比べて、 音楽業界の裏話が増えている気がする。おいおい、そんなこと書いてしまって大丈夫なのか?みたいな。と言いつつも、音楽好き(特にジャズ・フュージョン系の人)であれば、 何人ものミュージシャンたちの人物評は一読の価値ありです。
 前作同様、肩の力を抜いて読める本。

2012年12月18日火曜日

国府弘子「ピアノ一丁!」


国府 弘子 (著)
「ピアノ一丁! (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4636207424/>
単行本: 253ページ ; 出版社: ヤマハミュージックメディア (1995/09) ; ISBN-10: 4636207424 ; ISBN-13: 978-4636207422 ; 発売日: 1995/09
[書評] ★★★☆☆
 ジャズ・ピアニスト、国府弘子の初のエッセイ集。 自身の、ピアノを弾くようになったキッカケ、 音大に行ってからの生活、プロになる前の修行時代、等について赤裸々に語る。また、音楽活動以外の自身の日常について語っているのが非常に面白い。 国府弘子は、音楽的な才能以外に、日 常の出来事を面白おかしく表現する才能にも恵まれているようだ。もちろん、努力して才能に磨きをかけているのだろうが、…。
 国府弘子の音楽はよく聴いているが、 演奏と文章はいずれもノビノビしていて、しかも肩から適度に力の抜けたものになっている。うらやましい位に自由な人だと思う。
 音楽好きな人だったら気楽に読める本だと思う。

2012年12月17日月曜日

村上“ポンタ”秀一「自暴自伝 ポンタの1972→2003」

村上”ポンタ”秀一 (著)
「自暴自伝――ポンタの一九七二→二〇〇三」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4163653104/>
単行本: 280 p ; 出版社: 文藝春秋 ; ISBN: 4163653104 ; (2003/12/05)
[書評] ★★★☆☆
 ドラマーが読むと、非常に面白い。 音楽業界(芸能界)の裏話を知りたい人が読んでも、それなりに面白いと思う。が、ポンタさんは、かなり「とんがった」人だ。 自分のことを棚に上げて、恰好をつけた物言いが非常に多い。 自慢話だか何だか分からない話が多い。ま、それもこれも全部ポンタさんの「味」と言えばそれまでだが…。
 ただ、この自慢話の中には真実も含まれていて、 日本の「ロック」の黎明期のミュージシャンは、その道で生きていく為の意気込みが半端じゃなく強いと言うか、きょうびのミュージシャン(ポンタさんに言わせれば甘やかされて育った世代とでもなるのだろう)は貪欲さが足りないと言うか。今ドキの日本のミュージシャンは、ポンタさん達が若かった頃に比べて、 国内にいながらでも沢山の音楽や映像といった情報が入ってくる恵まれた環境にありながら、 変に自分の枠を決めていて、その中で小器用に済ませている傾向があるような気がするのは私も同感。
 まぁ、音楽界・芸能界の大御所が好き勝手に書いたエッセイであるからして、ハイハイと読んだ方が良いのかも知れない。
 んで。この本は、個人的には★4~5個つけて良かったんだけど、面白いけど役に立たないというか、そういういう意味で★3つ。

2012年12月16日日曜日

ノーム・チョムスキー「アメリカを占拠せよ!」

ノーム チョムスキー (著), Noam Chomsky (原著), 松本 剛史 (翻訳)
「アメリカを占拠せよ! (ちくま新書) [新書]」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4480066853/>
新書: 201ページ; 出版社: 筑摩書房 (2012/10/9); 言語 日本語; ISBN-10: 4480066853; ISBN-13: 978-4480066855; 発売日: 2012/10/9
[書評] ★★★★★
 米国で2011年9月17日に行なわれた“Occupy Wall Street”(ウォール街を占拠せよ)に始まる、アメリカの経済格差やその原因となっている経済界、政界に対する一連の抗議運動について書いた本。 大規模な運動そのものは開始後約2ヶ月ほどで沈静化しているが、抗議運動は物理的に空間を占拠するものから、 国民の良心を占拠することに移っているという。(米国での運動に呼応するように、Occupy Tokyoという抗議運動が2011年10月15日に東京でも行われた…なんて話はWikipediaとかを見れば書かれているのだが、運動の規模の割には大きなニュースになっていなかったような気がするが、これは政界・経済界と太いパイプを持つメディアの宿命か?) 「メディア・コントロール」と同様、メディアの働き、現在の“民主主義”の実態と本来あるべき姿を考える上で、重要な指摘が数多く示されている。 本書は、著者(チョムスキー氏)が最近の講演で話した内容をまとめた本。
 先日の米国大統領選挙(オバマ再選)を始めとした、世界のニュースに対する視点が変わる。 良書。

2012年12月15日土曜日

ノーム・チョムスキー「メディア・コントロール ―正義なき民主主義と国際社会」

ノーム・チョムスキー (著), 鈴木 主税 (翻訳)
「メディア・コントロール ―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書) [新書]」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4087201902/>
新書: 176ページ; 出版社: 集英社 (2003/4/17); 言語 日本語; ISBN-10: 4087201902; ISBN-13: 978-4087201901; 発売日: 2003/4/17
[書評] ★★★★★
 米国の軍事行動を批判し続けてきたチョムスキーが(1960年代にヴェトナム戦争への反戦デモにより逮捕されている)、 戦争をしたい政府(特に米英)が、平和を好む民衆の意識を、メディアの力を用いていかに変えていくかを明らかにする。その例として第一次世界大戦、ベトナム戦争、南米の民主化抑圧、イスラエルの不法占拠、イラクの大量破壊兵器を挙げ、メディアコントロールにより仮想敵を作り上げる様子を示す。
 民主主義とは本来、一般の人びとが自分たちの問題を自分たちで考え、その決定にそれなりの影響をおよぼせる手段をもっていて、情報へのアクセルが開かれている環境にある社会、であるはずだ。しかし、米国を中心とする世界での「民主主義」の実体は、一般の人びとを彼ら自身の問題に決してかかわらせず、 情報へのアクセスは一部の人間のあいだだけで厳重に管理している、と言う。
 戦後日本の経済復興は、50年間アメリカのアジア地域における戦争に全面的に関わることによって、その上に積み上げられたと言う。そういう意味で、日本もまた(憲法第9条があろうが無かろうが)軍国主義の一端であったということになる。
 色々と考えさせる本だ。

2012年12月14日金曜日

酒見賢一「泣き虫弱虫諸葛孔明〈第2部〉」


酒見 賢一 (著)
「泣き虫弱虫諸葛孔明〈第2部〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167801221/>
文庫: 565ページ; 出版社: 文藝春秋 (2011/2/10); ISBN-10: 4167801221; ISBN-13: 978-4167801229; 発売日: 2011/2/10
[書評] ★★★★☆
 第1部を読み切った勢いで、そのまま第2部に突入。ストーリー展開の遅さは第1部と同様、550ページかけて、博望坡の戦い~長坂坡の戦い、というスピード。
 非・正統派の娯楽小説であるのは第1部と同様なのだが、 三国志を題材に、中国の史書に対する疑問、問題点等が色々書かれていたりする辺り、 読んでいて結構面白い。
 娯楽小説として、これもよく出来ている。
 ところで、なのだが。 第3部の単行本が2012/07/22に発行された。 文庫本が出るまでどれ位待たされるのか?  第1部、第2部が単行本発行から文庫本発行まで4~5年かかっているので、 同じペースならば、第3部の文庫本が出るまであと4~5年待たなければいけない?計算になる。ちょっと待ちきれないなぁ。(笑)

2012年12月13日木曜日

酒見賢一「泣き虫弱虫諸葛孔明〈第1部〉」

酒見 賢一 (著)
「泣き虫弱虫諸葛孔明〈第1部〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167773082/>
文庫: 646ページ; 出版社: 文藝春秋 (2009/10/9); ISBN-10: 4167773082; ISBN-13: 978-4167773083; 発売日: 2009/10/9
[書評] ★★★★☆
 酒見賢一氏のデビュー作、「後宮小説 (新潮文庫) [文庫]」が非常に面白かったのだが、そういう訳でAmazon.co.jpで「おすすめ商品」に入っていたのが本書。ふざけたタイトルに目を引かれて、思わず購入ボタンをクリック。 酒見氏が中国史に対して造詣が深いことは既に判っていたので、 三国志をどんな風に料理してくれるのかと期待。
 正直、ブッ飛んだ。なんじゃこりゃあ?!  諸葛孔明は宇宙スケール(?)の男だし、 劉備は何やら変な人気はあるが、やたらと情けない存在として書かれているし。
 吉川英治でも北方謙三でも陳舜臣でもいいから、「正統な」三国志を読んでから読むべし。 正史三国志に三国志演義に、その後の創作も含めて、様々な解釈のある三国志であるが、パラレルワールド(?)を味わうことが出来る。 正統な歴史小説ではないが、これはこれで面白い。
 ただチョット難点なのが、話が全然進まないこと。 諸葛孔明の登場から三顧の礼までが、 「第1部」で文庫本630ページに書かれている。ストーリー展開の遅さは「頭文字D」にも勝るとも劣らない(?)。
 まぁ、非・正統派ではあるが、娯楽小説としてはよく出来ていると思う。

2012年12月12日水曜日

池田信夫(原著)「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」

田代 真人 (監修), 藤咲 ユイ (イラスト), 池田 信夫 (原著)
「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822248712/>
単行本(ソフトカバー): 230ページ; 出版社: 日経BP社 (2011/11/25); 言語 日本語; ISBN-10: 4822248712; ISBN-13: 978-4822248710; 発売日: 2011/11/25
[書評] ★★★★★
 主民党が2011年に起きた東日本大震災への対応のまずさにより支持率大幅下落
→2013年の総選挙で民自党が政権を奪還
→復興支援政策によるダメージと脆弱な財政基盤~財政危機
→不況による税収減で財政赤字が増大
→2015年最初の国債入札で札割れ
→「日本の財政はついに破綻した」というシグナルを市場に送る結果に
→。。。
 
 何か本当に起きそうなヤバいストーリーで始まる。
 
 小泉純一郎の次男、進次郎が民自党総裁につき、 日本の金融危機と財政危機を解決する為に立ちあがるというストーリーなのだが、 殆どの登場人物が実在の人物のパロディだったりして、 笑えないand笑える場面が沢山ある。
 2011年11月発行の本ではあるが、1年経った今読んでも「充分にありそうなストーリー」であり、 「世の中を先読みした本」である。
 あまり細かいことを書くとネタバレになるので控えておくが、 志ある人には一読をおススメできる良書。
 あー、そうそう。言い忘れるところでしたが、 巻末に書かれたフリードマンの「資本主義と自由」の解説の項以外は漫画です。 経済解説みたいな漫画なので、どうしても文字数は多くなってしまいますが、 軽く読める1冊になっています。

2012年12月11日火曜日

ティナ・シーリグ「未来を発明するためにいまできること」

ティナ・シーリグ (著), 高遠裕子 (翻訳)
「未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II [単行本]」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4484121107/>
単行本: 256ページ; 出版社: 阪急コミュニケーションズ (2012/5/31); 言語 日本語; ISBN-10: 4484121107; ISBN-13: 978-4484121109; 発売日: 2012/5/31
[書評] ★★★☆☆
 「スタンフォード白熱教室」で有名なティナ・シーリグ教授の著作。 人間の創造性の重要性と、その伸ばし方について述べている。「20歳のときに知っておきたかったこと」(2010/3/10発行)の続編のような形で出ているが、前著を読んでいなくてもちゃんと読める作りになっている。
 副題に「スタンフォード集中講義2」と書かれているが、 学生だけでなく、社会人として経験を積んだが読んでも得るものがあると思う。

2012年12月10日月曜日

浅田次郎「蒼穹の昴」(全4巻)

浅田 次郎 (著)
「蒼穹の昴(1) (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062748916/>
文庫: 384ページ; 出版社: 講談社 (2004/10/15); 言語 日本語; ISBN-10: 4062748916; ISBN-13: 978-4062748919; 発売日: 2004/10/15
浅田 次郎 (著)
「蒼穹の昴(2) (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062748924/>
文庫: 384ページ; 出版社: 講談社 (2004/10/15); 言語 日本語; ISBN-10: 4062748924; ISBN-13: 978-4062748926; 発売日: 2004/10/15
浅田 次郎 (著)
「蒼穹の昴(3) (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062748932/>
文庫: 384ページ; 出版社: 講談社 (2004/10/15); 言語 日本語; ISBN-10: 4062748932; ISBN-13: 978-4062748933; 発売日: 2004/10/15
浅田 次郎 (著)
「蒼穹の昴(4) (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062748940/>
文庫: 392ページ; 出版社: 講談社 (2004/10/15); 言語 日本語; ISBN-10: 4062748940; ISBN-13: 978-4062748940; 発売日: 2004/10/15
[書評] ★★★★☆
 清朝末期、貧乏人の子供・春児(チュンルン)が占い師から自分の運命を聞いて、 自分の運命を大きく変える。 春児の幼馴染の兄貴分、文秀(ウェンシウ)は学力優秀、科挙を合格、高級官僚になって行く…。
 列強が清朝に干渉を始めた頃、歴史的事実をベースに作られたフィクション。 悪名高い西太后の描き方等、他書とは異なる趣で、こういった辺りを読むのも面白い。 中国史に関する物語としては、テンポ良く読ませる。 面白い。
   

2012年12月9日日曜日

酒見賢一「後宮小説」

酒見 賢一 (著)
「後宮小説 (新潮文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101281114/>
文庫: 303ページ; 出版社: 新潮社 (1993/4/25); 言語 日本語; ISBN-10: 4101281114; ISBN-13: 978-4101281117; 発売日: 1993/4/25
[書評] ★★★★★
「『素乾書』・『乾史』・『素乾通鑑』に依拠して歴史事実を記載した小説」として、 中国の歴史小説の「フリ」をしたフィクション。フィクションではあるが、まっとうな歴史小説と思ってしまう程よく出来ている。 非常に面白い。
 急死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に、田舎娘の主人公・銀河が入宮することになった…という小説。ネタばれになるのであまり書かないが、中国の歴史小説の体裁で書かれた、非常に読み易い小説。なお、本作の映像版として「雲のように風のように」というDVDも出ているが、こちらは主人公・銀河を中心とした物語となっており、DVD・小説とも別の作品として楽しむことが出来る。
 歴史小説風フィクションだが、軽く読める(でも面白い)小説としておススメ。

2012年12月8日土曜日

池田光男・芦沢昌子「どうして色は見えるのか―色彩の科学と色覚」

池田 光男 (著), 芦沢 昌子 (著)
「どうして色は見えるのか―色彩の科学と色覚 (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4582765467/>
単行本: 289ページ ; 出版社: 平凡社 (2005/08) ; ASIN: 4582765467
[書評] ★★★☆☆
 人間が色を認識する仕組み(光を受ける仕組み、知覚・認識する仕組み)について述べ、 色というものに関する人類共通のモノサシ(CIEの色定義など)の説明がなされる。 明るい場所での視覚と暗い場所での視覚の違い、また、人間の出生後の視覚の発現や、老化にともなう視覚の衰えについても書かれており、(日常生活にどれくらい役に立つかは何とも言えないが)知的読み物として非常に面白い。
 難点を言えば、冒頭部、人間の生活や人類の歴史における色の重要性を示すくだりが、ちょっと冗長であり、またそれに続く、国際的な色定義の話が小難しく書かれている割に、 充分な内容となっていないような気がすることが挙げられる。その辺りで★を2つ程減点したが、結構面白く読めるので、 興味のある人には一読をお薦めできる。

マーシー・シャイモフ「脳にいいことだけをやりなさい」

マーシー・シャイモフ (著), 茂木健一郎 (翻訳)
「「脳にいいこと」だけをやりなさい! (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4837956963/>
単行本: 240ページ; 出版社: 三笠書房 (2008/11/7); 言語 日本語; ISBN-10: 4837956963; ISBN-13: 978-4837956969; 発売日: 2008/11/7
[書評] ★★★★☆
 ネガティブな思考・感情は脳自体をネガティブにしてしまい、ポジティブな思考・感情は脳自体をポジティブにする。いくつかの研究例や実例を示しながら、どうしたらポジティブな脳にすることが出来るかを示す。
 閉塞感漂う現代、必要とされる本だと思った。
 が、翻訳者・茂木健一郎氏が「この本はコペルニクス的転回になるかもしれません!」とベタ褒めしているがが、それほどでもないかも。。。

2012年12月6日木曜日

吉川英治「三国志」(全5巻)

吉川 英治 (著)
「新装版 三国志〈1〉 (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062761866/>
文庫: 727ページ; 出版社: 講談社 (2008/10/15); ISBN-10: 4062761866; ISBN-13: 978-4062761864; 発売日: 2008/10/15
吉川 英治 (著)
「新装版 三国志〈2〉 (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062761874/>
文庫: 717ページ; 出版社: 講談社 (2008/10/15); ISBN-10: 4062761874; ISBN-13: 978-4062761871; 発売日: 2008/10/15
吉川 英治 (著)
「新装版 三国志〈3〉 (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062761882/>
文庫: 711ページ; 出版社: 講談社 (2008/10/15); ISBN-10: 4062761882; ISBN-13: 978-4062761888; 発売日: 2008/10/15
吉川 英治 (著)
「新装版 三国志〈4〉 (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062761890/>
文庫: 739ページ; 出版社: 講談社 (2008/10/15); ISBN-10: 4062761890; ISBN-13: 978-4062761895; 発売日: 2008/10/15
吉川 英治 (著)
「新装版 三国志〈5〉 (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062761904/>
文庫: 783ページ; 出版社: 講談社 (2008/10/15); ISBN-10: 4062761904; ISBN-13: 978-4062761901; 発売日: 2008/10/15
[書評] ★★★★★
 説明不要の中国古典。
 高校生の時に読んでおけばよかった!
    

ポー・ブロンソン「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?」

ポー ブロンソン (著), Po Bronson (原著), 楡井 浩一 (翻訳)
「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか? (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4757210477/>
単行本: 495ページ ; 出版社: アスペクト (2004/06) ; ISBN-13: 978-4757210479 ; ASIN: 4757210477 ; サイズ (cm): 19 x 13
[書評] ★★★★☆
 一旦就職はしたけど、本当にやりたい仕事はコレじゃなかった…。
 こういう思いを強く抱き、自分に正直に生きた人たちの話を綴った書。 自分にとって仕事とは何か、という命題について、様々な考え方があることを示す。 名誉や肩書き、報酬のために生きているのではない、 今(当時)の仕事ではない、本当に自分のやりたいことを見つけて、 本当にそれを自分の仕事にした多くの人たちの話だ。
 本書は日本よりも人材の流動化が進んでいるアメリカの人たちの話であり、 我々日本人よりも仕事を変わるということに対して抵抗の小さいお国柄もあるだろうが、 今の仕事とその延長線上だけが自分の人生じゃない、ということを思い出させ、 自分自身の“仕事”について、再考させられる。
 派手な本ではないが、良書。

2012年12月4日火曜日

グロービス「MBAビジネスプラン」

グロービス (著)
「MBAビジネスプラン」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4478372373/>
単行本: 254 p ; 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN: 4478372373 ; (1998/03)
[書評] ★★★★★
(社内研修用参考資料として入手。)
 起業、あるいは社内新規事業を始める際に、ビジネスプランを作成する必要がある。 本書は、この作り方に関して必要な知識を広く網羅する。 本書を読むと、上記「MBAアカウンティング」、「MBAマーケティング」で学んだことが有機的につながり、アカウンティング、マーケティングがどのような場面で必要になるかが よくわかる(もちろん、新規事業だけでなく既存の事業についても財務・マーケティングは非常に重要なので、幅広く役に立つと言える)。 上記2冊の本と組み合わせて読むことにより、これまでに得た知識が単発モノに終わらず、 有機的なつながりを持つようになるという意味で、非常に面白い。

2012年12月3日月曜日

グロービス・マネジメント・インスティテュート「MBAマーケティング」

グロービス・マネジメント・インスティテュート (著)
「[新版]MBAマーケティング MBAシリーズ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4478502471/>
単行本: 225 p ; 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN: 4478502471 ; 新版 版 (2005/03/04)
[書評] ★★★★☆
(社内研修用参考資料として入手。)
 題名の通り、マーケティングに関する教科書。 売る側でなく、買う側の論理に則って、いかにモノを売るか、考え方のスキームを与えてくれる。マーケティングというと一般に、広告の出し方や、アンケート等によるデータ収集のみを考えがちだが、それ以外の全ての企業活動がマーケティングにつながる。なぜならば、企業はモノを売って利益を上げてこそ存続できるからである。…などと抽象的なことを言うより、興味のある人は読んでみそ!  教科書としても良く出来ていると思います。

2012年12月2日日曜日

グロービス・マネジメント・インスティテュート「MBAアカウンティング」

グロービス・マネジメント・インスティテュート (著)
「[新版] MBAアカウンティング MBAシリーズ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4478470693/>
単行本: 246 p ; 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN: 4478470693 ; 新版 版 (2004/02/27)
[書評] ★★★☆☆
(社内研修用参考資料として入手。)
 企業の財務経営に関する教科書。 読み物としてはツマラナイが、教科書としては良く出来ていると思う。

グロービスマネジメントインスティテュート「MBA経営戦略」

グロービスマネジメントインスティテュート (編集)
「MBA経営戦略」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4478372438/>
単行本: 220 p ; 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN: 4478372438 ; (1999/04)
[書評] ★★★☆☆
(社内研修用参考資料として入手。)
 日本の優良企業6社と主要4業界を例に挙げて、ケーススタディを通じて、 市場分析&企業の戦力の分析・評価~経営戦略立案の具体的方法を示す。 企業の経営に実際に応用する場合は、より多角的な分析・評価が必要になる筈であるが、 本書ではそこまで突っ込んだ分析は行っていない。が、本書は経営学をかじったことすらない読者に対して、ホドホドの厚さで解り易い具体例を充実させた「入門書」として捉えれば内容に文句は無いだろう。 (それにしてもAmazon.co.jpのカスタマーレビューは手厳しい。 「MBAの名を冠するならば…」等の突っ込みが多い。)

2012年11月30日金曜日

司馬遼太郎「項羽と劉邦」(上・中・下)

司馬 遼太郎 (著)
「項羽と劉邦 (上) (新潮文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101152314/>
文庫: 486ページ; 出版社: 新潮社; 改版版 (1984/09); ISBN-10: 4101152314; ISBN-13: 978-4101152318; 発売日: 1984/09
司馬 遼太郎 (著)
「項羽と劉邦〈中〉 (新潮文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101152322/>
文庫: 435ページ; 出版社: 新潮社; 改版版 (1984/09); ISBN-10: 4101152322; ISBN-13: 978-4101152325; 発売日: 1984/09
司馬 遼太郎 (著)
「項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101152330/>
文庫: 426ページ; 出版社: 新潮社; 改版版 (1984/09); ISBN-10: 4101152330; ISBN-13: 978-4101152332; 発売日: 1984/09
[書評] ★★★★★
 前漢の成立前夜の中国大陸での群雄を書いた書。 黄帝から前漢の武帝までの時代を叙述した『史記』(司馬遷)と、 前漢の成立から王莽政権までを書いた『漢書』(班固・班昭ら)とに拠りつつも、 司馬遼太郎氏の洞察を含んだ書とのこと。
 司馬遷は、亡父の業を引き継ぎ、前漢成立後60~70年頃に、 中国各地の記録・民俗・伝承を取材して歩いて『史記』を完成させたという。 言うまでもなく、司馬遼太郎氏のペンネームは、『史記』の作者・司馬遷に拠る。 本書が司馬遼太郎氏の書の中でも特に「熱い」のは、 中国大陸での稲作文明の進歩~思想文明の熟成といった沸騰する時期を書いたことだけでなく、想い入れの強さとも無縁ではない筈だ。
 名著について駄評をしても仕方無いが、 中国大陸の文明・文化の影響を大きく受けて進化してきた日本に住む我々が、 是非読んでおきたい1冊だと言えよう。

 

2012年11月29日木曜日

吉田伸夫「宇宙に果てはあるか」

吉田 伸夫 (著)
「宇宙に果てはあるか (新潮選書) (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4106035766/>
単行本: 223ページ; 出版社: 新潮社 (2007/1/24); ISBN-10: 4106035766; ISBN-13: 978-4106035760; 発売日: 2007/1/24
[書評] ★★★☆☆
 宇宙論を中心とした物理学入門書。 比較的平易で読みやすいが、理解の助けとなる図表がもう少しあっても良いかも(少し前に読んだ、 佐藤勝彦先生の「『量子論』を楽しむ本」の方が理解し易いかも)。
 本書の特筆すべき点は、物理学の理論の発展が一筋縄では行かず、 研究者たちの誤解・悩み・論争を経たものであるということが、 平易に分かり易く書いてある点だ。 仮説とその論証、議論、理論の修正、新しい理論への展開など、 経緯を明らかにし、物理学を身近に感じさせてくれる。

石井茂「ハイゼンベルクの顕微鏡」

石井 茂 (著)
「ハイゼンベルクの顕微鏡~不確定性原理は超えられるか」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822282333/>
単行本: 272 p ; 出版社: 日経BP社 ; ISBN: 4822282333 ; (2005/12/28)
[書評] ★★☆☆☆
 タイトルの通り、不確定性原理を越える理論の出現(?)について述べる。 量子力学と相対性理論は20世紀の物理学の礎となった。 特に量子力学は、これ無くしてはコンピュータも携帯電話も動かないと言えるほど、 我々の生活に深く関わっている。
 ところで、この量子力学では対象物の位置・速度の両方を同時に正確に知ることはできないという、 測定・観察の限界を示す「不確定性原理」がある。 本書は、この不確定性原理を超える理論が日本発で出てきそうだ、ということを書いている(「小澤の不等式」)。そもそも、ハイゼンベルクの理論の基となった仮定自体が間違っていたというのだ。
 前作「量子コンピュータへの誘い~きまぐれな量子でなぜ計算できるのか~」でもそうだったが、 冒頭で概要を述べた後は本論に至るまでの多くのページをバックグラウンドの説明に費やされており、 本論にたどり着いた時はいささか息切れ気味、また本論も議論が不十分で消化不良の感がある。このバランスは今回も不満だ。おそらく非専門家を想定読者として書いているのだろうが、そもそも専門から遠い人はこんな本(という言い方は失礼だが)は読まないだろう。 想定読者とそレベルの設定自体に無理があるのではないだろうか。 内容自体はソレナリに面白かったのだが、…★2つ。

2012年11月27日火曜日

石井茂「量子コンピュータへの誘い」

石井 茂 (著)
「量子コンピュータへの誘(いざな)い ~きまぐれな量子でなぜ計算できるのか~」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822282112/>
単行本: 278 p ; 出版社: 日経BP社 ; ISBN: 4822282112 ; (2004/12/23)
[書評] ★★★★☆
 うーん、、、面白いし、量子論の歴史の俯瞰ができて、そこから量子コンピュータへの繋がりが説明されるという、ある意味「正統派」の流れを持つ本なんだけど、イントロ数ページで軽く量子コンピュータの概要に触れた後は、 本全体の四分の三まで前期量子論~後期量子論(の一部)を語るのに費やしてしまっている。つまり、本書の本題である量子コンピュータにあまり分量が割かれていない。 勢い、量子コンピュータの説明が浅くなっている。量子コンピュータの概念のキモの部分に限定すれば、たとえば「ナノエレクトロニクス」とかの ホームページとかで無料で読める内容と大差ない。そういう意味で、量子コンピュータのことを深く知りたい技術屋向けではなく、 量子コンピュータのことを話題のひとつとして知っておきたい人向けの本だと言えよう。
 無論、だからと言ってこの本の価値が無くなる訳ではないが…。また、この本は量子コンピュータだけでなく、 量子暗号にもそれなりのページを割いている(つまり「量子コンピュータ」を語るページが その分減っているように思える)。 量子暗号の概念は根っこの部分(根っこから、地上に見えている幹の下の方まで)は量子コンピュータとも非常に近い概念の上に成り立ってはいるが、ちょっとこの内容バランスは不満。 内容自体は面白かったが、タイトルから期待した内容とちょっと違ったぞ、という程度の意味で減点1点の★4つ。

2012年11月26日月曜日

佐藤勝彦「「量子論」を楽しむ本」

佐藤 勝彦
「「量子論」を楽しむ本―ミクロの世界から宇宙まで最先端物理学が図解でわかる! (PHP文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4569573908/>
文庫: 252ページ; 出版社: PHP研究所 (2000/04); ISBN-10: 4569573908; ISBN-13: 978-4569573908; 発売日: 2000/04
[書評] ★★★☆☆
 タイトル通り、量子論をやさしく噛み砕いた本。 大学の授業で聞いたことあるな…位の知識は前提として求められていると思うが(ズブの素人にはやっぱり難しいと思う)、、その点をクリアしていれば理解し易い良書だと思う。
 余談だが、本書の所々に、物理学者の似顔絵のイラストがあるのだが、似ていて気持ち悪い…。(笑) しかも、佐藤先生、自分だけ?若い似顔絵にしてある。ずるいや、なんてね。

2012年11月25日日曜日

都筑卓司「不確定性原理」

都筑 卓司 (著)
「新装版 不確定性原理―運命への挑戦 (ブルーバックス) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062573857/>
新書: 270ページ; 出版社: 講談社 (2002/09); ISBN-10: 4062573857; ISBN-13: 978-4062573856; 発売日: 2002/09
[書評] ★★★★☆
 20世紀に花開いた物理学の一領域・量子力学において、 常人がなかなか理解できない「不確定性原理」というものを分かりやすく説明する。
 いきなり「巨人の星」の「大リーグボール2号」を量子的粒子の挙動に なぞらえるなど、一部無理な展開(?)もあるが、 原子レベルの粒子で「運動量」と「位置」は確定できないよ、ということを感覚的に捉えやすく書かれている。
 私としては、その表現もさることながら、 人間に代表される生物の大きさは「不確定性原理」と「相対性理論」から おのずと決まる、云々のくだり(264-265ページ)が大変興味深く読めた。 成程、こういう捉え方もあるか、と。もし人間が不確定性原理の影響を受ける位に小さかったらどうなるか、あるいは相対性理論の影響を受ける位に大きかったら…考えるだけで頭の体操?になる。
 本書も旧版(1970/05)の改訂版だが、 物理学という厳然とした存在を、 素人にも解り易く説明する筆者・都筑氏の力はすごいと思う。 興味のある人にとっては良書だと思う。

都筑卓司「マックスウェルの悪魔」

都筑 卓司 (著)
「新装版 マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ (ブルーバックス) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062573849/>
新書: 276ページ; 出版社: 講談社 (2002/09); ISBN-10: 4062573849; ISBN-13: 978-4062573849; 発売日: 2002/09
[書評] ★★★★★
 学生時代、熱学(熱力学・統計力学)で自由エネルギーとかエントロピーとかエンタルピーとかの理解に苦しんだ。 充分な概念の理解無く、数式中心で入ってしまったのが敗因か。そんな劣等生だった私も、本書を読んだら、目からウロコが何枚も落ちた感じ。 概念の説明が非常に明快。こんな本に早く出逢っていれば良かった…と思った。
 しかし。Amazon.co.jpにあった旧版(講談社、1970/02)のページ表紙を見てビックリ。コレ、学生時代に買ったまま読んでいなかった本と記憶する(きっと、今でも実家のどこかに埋もれているであろう)。 後悔先に立たず。
 今になってではあっても、出逢って(再会して?)良かった本だと思う。20年来(!!)の熱力学のモヤモヤが一気に晴れたのだから。こういうコトがあるから、読書はやめられない。(苦笑)

2012年11月23日金曜日

平山令明「熱力学で理解する化学反応のしくみ」

平山 令明 (著)
「熱力学で理解する化学反応のしくみ (ブルーバックス) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062575833/>
新書: 251ページ; 出版社: 講談社 (2008/1/22); ISBN-10: 4062575833; ISBN-13: 978-4062575836; 発売日: 2008/1/22
[書評] ★★★☆☆
化学反応の熱力学的考え方の復習用テキスト。
とっつきやすいが、理系の課程を一通り終えた人以外には難しいかも。

2012年11月22日木曜日

サイモン・シン「宇宙創成」(上・下)

 
サイモン シン (著), Simon Singh (原著), 青木 薫 (翻訳)
「宇宙創成〈上〉 (新潮文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4102159746/>
文庫: 387ページ; 出版社: 新潮社 (2009/1/28); ISBN-10: 4102159746; ISBN-13: 978-4102159743; 発売日: 2009/1/28
サイモン シン (著), Simon Singh (原著), 青木 薫 (翻訳)
「宇宙創成〈下〉 (新潮文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4102159754/>
文庫: 374ページ; 出版社: 新潮社 (2009/1/28); ISBN-10: 4102159754; ISBN-13: 978-4102159750; 発売日: 2009/1/28
[書評] ★★★★★
 宇宙論の発展、特にビッグバン・セオリーが確立するまでの科学界を舞台に、「科学的手法」を語る。 訳者あとがきにもあるが、何故今更ビッグバン?と思った読者に対して、 鮮やかな切り口で迫る。
 良書。