リチャード・ドーキンス (著), 垂水 雄二 (翻訳)
「神は妄想である―宗教との決別 [単行本]」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4152088265/>
単行本: 578ページ; 出版社: 早川書房 (2007/5/25); 言語 日本語; ISBN-10: 4152088265; ISBN-13: 978-4152088260; 発売日: 2007/5/25
[書評] ★★★★☆
「利己的な遺伝子」(紀伊國屋書店、1991/2/28)
(増補改訂版(紀伊國屋書店、2006/5/1)) がベストセラーとなった リチャード・ドーキンスの、チョット(かなり?)過激な本。 本書によって、無神論者・ドーキンスは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の全てを敵に回したことになろう。
本書では、ユダヤ教とその分派とも言えるキリスト教とイスラム教を主たるターゲットとし、 科学的観点(主にダーウィンの進化論的観点)から、また論理的観点から、さらには南太平洋で「カーゴカルト」として見られるた“伝説”の広まり方を実例と引用し(翻訳や伝承を重ねるうちに、 元とは全然違う“伝説”となって伝わってしまう)、宗教はカルトに過ぎない、とメッタ斬りにする。(なお、本書において、仏教や儒教は「倫理体系」であって「宗教」ではないとの理由で、議論の対象とはしていない。)
また、宗教は科学の敵であり、人類の進歩を阻害するとも言う。 特に、戦争の多くは(政治的な戦争であっても)宗教でラベル付けされていると主張する。ものごとに関する判断能力がまだついていない子供の時点で、親が信仰する宗教に教化されることが、 宗教戦争が何世代にもわたって続く原因だと言う。その通りかも知れないが、現実問題として、これを解消する方法は無いのではないだろうか。
分子生物学者の福岡伸一氏が「ドーキンスは遺伝子原理主義者だ」と言っているが、その通りで、 科学万能論者であり、ダーウィン進化論原理主義的な主張が多い。その辺りを少し割り引いて読んだ方が良いとは思うが、 宗教とは何か、さらに、生命とは何か、等々考えるキッカケを与えてくれる本ではある。 最近の本としては小さい文字で500ページを超える「読みごたえのある本」だが、 知的刺激に富む。
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