堤 堯 (著)
「昭和の三傑―憲法九条は「救国のトリック」だった」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4797671114/>
単行本: 281 p ; 出版社: 集英社インターナショナル ; ISBN: 4797671114 ; (2004/04)
[書評] ★★★★★
面白い! 日本は戦争で負けたが、平和憲法の制定という面では、 日本は戦後の政治的駆け引きに偉大なる勝利を得た――、これがこの本の要点である。
米国は、戦後日本を米国主導のもと、 民主主義の平和国家として復興させようとしているかに見えた。しかしその実、米国は日本を、太平洋戦争の後に見えていた東西冷戦時代を戦い抜くための政治的最重要拠点としてを捉え、 日本を一旦武装解除した後、再び武装し、米国傘下の軍事国家として手足の如く使うことを目論んでいた――。 幣原首相を代表とする当時の日本の政府は、GHQ提督・マッカーサーと見事な政治的駆引きを行い、またマッカーサーが政治家というよりもむしろ“ボーイスカウト”である点を巧く利用して、憲法9条の制定にごぎつける。この辺りのくだりが非常に面白い。
日本の軍事力を海外でどう扱うか、という問題が取り沙汰されており、 憲法9条を改正(改悪?)しようという動きがある。が、ここでもう一度憲法9条の意味を問うてみたい。 本書は、憲法9条の成り立ちとその意義、軍事力を自ら放棄した唯一の国・日本の国際的位置づけというものを考えさせてくれる。 今の時代だからこそ、お薦めしたい1冊だ。
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