田原 総一朗 (著)
「日本政治の正体 (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4022506172/>
単行本: 254ページ; 出版社: 朝日新聞出版 (2009/8/20); ISBN-10: 4022506172; ISBN-13: 978-4022506177; 発売日: 2009/8/20
[書評] ★★★★☆
面白い! 戦後から2009年8月の政権交代に至るまでの日本の政治を概観し、 現政権(民主党政権)が今後日本をどのように導いていくべきかを問う書。
2009年8月30日の衆議院選挙による政権交代が起こった。1993-1994年に一瞬だけ非自民政権が誕生したが、政権として未熟なあまり、すぐにまた自民党政権に戻った。しかし、自民党の政治(利益分配の政治)は東西冷戦に寄りかかった形で可能であった。それは戦後復興~高度成長時代にこそ適合していたものの、 東西冷戦の終結とほぼ同時期に来たバブル崩壊、その後の低成長時代は負担分配の政治が必要となり、 自民党の政治方法は時代にそぐわなくなって来ている。
世界経済は従来の欧米中心型からアジア中心にシフトして行くことは明白であるが、この中で日本がどのように位置取りをするかが今後の日本の命運を左右する。 戦前、日本はアジアを中心とした大東亜共栄圏を築こうとしたが、アジアの中でも東の辺境にあった日本は自国を経済圏の中心に据えようとして大失敗した。 今後世界経済の中心となるアジアにおいて、中心でなく、どのような位置取りをするか。これが、現政権の民主党に委ねられた、日本の命運を左右する一番大きな課題である。
大納得。
戦後の新憲法の成立のいきさつ、特に9条の成立に至る過程については、 他書(*)と幾分異なる見解であったり、テレビ朝日系「朝まで生テレビ」「サンデープロジェクト」での司会での様子と同様、ちょっと偏った見方をしていると考えられる箇所もあるが、 政治、特に政治家へのスポットライトの当て方、人間像の描き出し方は一級品。 読んでいて非常に面白い。
*たとえば、堤 堯『昭和の三傑―憲法九条は「救国のトリック」だった』(集英社インターナショナル、2004/04)は憲法9条の成立過程を異なる観点から捉える。
ちょっと偏向している傾向は見られるものの、 戦後~現在の日本の政治を概観し、今後の課題をとらえる上では良書だと思う。
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