2012年8月15日水曜日

太田光・中沢新一「憲法9条を世界遺産に」

太田 光 (著), 中沢 新一 (著)
「憲法九条を世界遺産に (集英社新書) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4087203530/>
新書: 170ページ ; 出版社: 集英社 (2006/8/12) ; ISBN-10: 4087203530 ; ISBN-13: 978-4087203530 ; 発売日: 2006/8/12 ; 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 0.8 cm
[書評] ★★★★★
 終戦記念日だからという訳ではありませんが、憲法9条に関する本を紹介します。
 お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光(背の高い方)が、 作家・中沢新一と語り合う形で進める、憲法9条論。 日本国憲法の第9条を「世界遺産にすべき」という題名は、ともすると荒唐無稽にも見えるが、 本書を通読すると、その議論がしっかりなされている。 建築物・美術品などの動産・不動産の形をしていない「憲法」は「世界遺産」にはなり得ないが、 戦力を持たない・使わない、不戦の誓いを示す我が国の憲法第9条を、 未来永劫にわたって地球上に残したい、という強い思いが込められている。
 もちろん、現在の国際社会の中で、現実的な問題として、 我が国の憲法を(第9条も含めて)改正すべきとの議論はある。しかし、筆者らは、どんな犠牲を払っても第9条は残すべきと訴える。ただ強い思いを訴えるだけではなく、その主張の背景、今後の日本のあるべき姿まで、 幅広い議論をしていることは注目に値する。
 さらに欲張るならば、この憲法9条がどのようにして出来たか、 一体誰が、どのような思いで、戦後の平和憲法に第9条を盛り込んだか、まで議論をしてくれたら更に良かったかも知れない(そこまで出来ていたら、 間違いなく★7つですね)。
 この太田光という人は、タダのお笑い芸人ではないらしい。 世の中を幅広く、色々な視点から見て、様々な出来事・現象等について、 物凄く深く考えている。アクの強い芸人ではあるが、ただそれだけの芸人ではないということが、 本書1冊だけでもよくわかる。

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