大前 研一 (著)
「ロウアーミドルの衝撃 (単行本) 」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062129930/>
単行本: 272ページ 出版社: 講談社 (2006/1/26) ASIN: 4062129930
[書評] ★★☆☆☆
小泉劇場の残した各社社会を巡る議論が盛んだ。 本書でも所得階層の2極化によって総中流社会が崩壊したと指摘する。 年収600万円以下のロウアーミドルクラスが8割を占めるという構造変化に、 企業・個人・政府がどう対応すべきかを示す。
書かれていることは、一見至極真っ当。しかし、企業・個人・政府の中で最も変わりにくい政府の目指すべき方向は、 理想を示しているにすぎない。すなわち、現状から理想像へのシフトの方法が全く示されていないのだ。これでは絵に描いた餅に等しい。また、税制の大幅な変更などについても、「受け入れられる筈だ」と、 見通しの甘すぎる考察が目に付く(御都合主義な論理展開に無理があるのではないか?と、 勘繰ってしまう)。
大前氏の本は、色々と視点を広げさせてくれるという点で、非常に刺激的だ。 本書でも、国・政府・一部の特権階級の人々に対する怒りを煽られる。しかし、自らの考えを持って読む、批判的視点に立って読む、分析的に読む、…等の工夫をしながら読むように努めないと、怒りを煽られるだけで、 出口の無いフラストレーションに見舞われる。
現状を否定するのは簡単だが、ではどのようにしたら良いか、という具体策が無く、 不満が残る。★は2つとさせて頂く。
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