高多 清在 (著)
「鋭い管理職 意思決定のKT法」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4408100587/>
単行本: 237 p ; 出版社: 実業之日本社 ; ISBN: 4408100587 ; (1987/06)
[書評] ★★★★☆
ちょっと古い本だが、KT法のエッセンスがよくまとまっている本。 前半が日本企業でKT法を導入して上手くいった例をいくつか示しており、 後半がKT法の基本手順が手短に示されている。このKT法が今でも通用する良い方法であるか否かの判断は別として、 読んで損は無い本だと思う。 本書は「KT法ってなぁに?」というレベルの人でもそれなりに読める本なので、ケプナー&トリゴー著「新・管理者の判断力―ラショナル・マネジャー」や ブレーシュ著「健全なる組織への再生―経営構造モデルで弱点を克服する」を読んでKT法を本格的に勉強する前に最初に読んで、KT法の概要だけ掴むのに良いのではないだろうか。
KT法は、意思決定とそのために必要な状況分析などの手順を、 誰にでも(経営の直感の働かない平凡な人にも!)分かりやすくまとめた フレームワーク(のひとつ)である。 具体的には、SA(Situation Analysis:状況分析)・PA(Problem Analysis:問題分析)・DA(Decision Analysis:決定分析)・PPA(Potential Problem Analysis:潜在的問題分析)の4つを定義し、 問題点の洗い出しとそこから導かれる意思決定に至るまでの一連の流れを、分かりやすく示す。
とかくスピードが重要な現在、KT法の(ある意味)悠長な方法をやっている余裕があるのかどうか、 私には分からない。また、本書で例示されている企業の中には、現在は見る影も無い会社も含まれており(本書発行当時は好調だったようだが…)、KT法が万能ではないと言うべきか、それともKT法の運用を誤ったか、…これも私には分からない。だが、少なくとも、当時好調だった企業の中にKT法を導入した企業が多かったのは確かなようだ。(しかし気をつけなければいけないのは、KT法を導入した企業の業績が良かったのは、 必ずしもKT法が優れた方法であるためとは言い切れないことである。 企業の生存・業績向上のための方法論の導入に前向きな企業が、 役に立ちそうなフレームワークの導入に積極的だったことの表れに過ぎない、ということかも知れないのだ。)
この方法が21世紀の現在でも使えるかどうかは別として、 問題分析から意思決定に至るまでのロジカルな一連の流れ(の一例)を知る上で、 本書は結構役に立つと思う。
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