2012年7月3日火曜日

カルロス・ゴーン、フィリップ・リエス「カルロス・ゴーン経営を語る」

カルロス・ゴーン (著), フィリップ・リエス (著)
「カルロス・ゴーン経営を語る」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4532310857/>
単行本: 434 p ; 出版社: 日本経済新聞社 ; ISBN: 4532310857 ; (2003/09/10)
[書評] ★★★★★
 先述の「ルネッサンス」と内容の多くが重複するが、 「ルネッサンス」がゴーン氏本人が自ら綴った本であるのに対し、 本書は第二筆者(リエス氏)が書き起こした文章と、ゴーン氏にインタヴューした時の言葉の引用とで構成されている。そのためか、「ルネッサンス」と比較して、より客観的な語り口になっている(客観的に見える他の理由として、 本書の発行が「ルネッサンス」の約2年後であるので、インタヴューを受けたゴーン氏の言葉自体が時間の流れとともに客観的になっている ことも考えられる)。…なにはともあれ、本書は「ルネッサンス」と比較して、 重要なことが淡々と書かれていて解り易い。
 さて、カルロス・ゴーンの業績のお陰で、にわかゴーン・ファンが増えているように思われるが、 某社(私の勤務先)でゴーン氏の業績を参考にする場合の注意点がいくつかあるので留意されたい。その1は、日産の業態はB to C (Business to Consumer、コンシューマー向け製品(最終製品)製造業)であるのに対し、 某社はB to B (Business to Business, 他社向けの材料・中間品製造業)であるということである。ブランド力というものの意味も異なれば、第一に顧客層も異なる。B to C産業とB to B産業では、マーケティングの意味すら異なるのである。また、単なるゴーン・ファンになるだけではダメである。ゴーン氏の言葉を引用してくるのは構わないし、 日産を復活させたゴーン氏の言葉には確かに経験を伴った重みがあるが、ゴーン氏が他の著名な経営者と違うところは、ビジョンを示すだけでなく、そのビジョンを実現するための具体的な手段を策定し、 実行に移したことである。これらの違いを意識し、ゴーン氏の言葉ややり方を某社向きに作り直してこそ、ゴーン氏の伝説を読む価値がある。…といったことを意識して読むと良いのではないだろうか。

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