2012年7月13日金曜日

アラン・グリーンスパン「波乱の時代」(上・下)

 

アラン グリーンスパン (著), 山岡 洋一/高遠 裕子 (翻訳)
「波乱の時代(上) (ハードカバー)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4532352851/>
ハードカバー: 400ページ; 出版社: 日本経済新聞出版社 (2007/11/13); ISBN-10: 4532352851; ISBN-13: 978-4532352851; 発売日: 2007/11/13
「波乱の時代(下) (ハードカバー)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/453235286X/>
ハードカバー: 400ページ; 出版社: 日本経済新聞出版社 (2007/11/13); ISBN-10: 453235286X; ISBN-13: 978-4532352868; 発売日: 2007/11/13
[書評] ★★★★☆
 米国FRB(Federal Reserve Board, 準備制度理事会)の前議長、アラン・グリーンスパン氏の自著。FRB議長を18年間務め、退任した後に表したもの。 上巻がFRBの議場を退任するまでの回顧録、 下巻が今後の経済・地勢の展望とアメリカをはじめとする諸国の進むべき道を示すなど、 批評中心となっている。
 世界の経済の司令塔となっている米FRBの最高指揮官とも言える著者は、 最終学歴がジュリアード音楽院で、音楽の道へ進もうともしたが、 興味の対象が経営・経済だったこともあり、色々な道を辿って前職に就く(流石は自由の国アメリカだなぁと思ってしまう)。FRB議長になる前から米国の政治の中心:ホワイトハウスに出入りする立場となり、ニクソンからブッシュ・ジュニアまでの歴代の大統領に経済政策での助言をする立場にあった。そういう人が書いた本であり、かつ米国経済以外にも大幅に紙面を割いており、 最近20年位の間の世界経済史を読むに匹敵する。
 グリーンスパン氏はFRB議長に就任すると間もなく、 米国経済の一大局面、ブラック・マンデーを体験する。 米経済の司令官が就任間もなく体験した修羅場は、本人が書いているだけに、圧巻である。また、世界経済の流れとして、東側の壁の崩壊、グローバリゼーション、等々についても詳しくかつ鋭く分析する。また、今後のアメリカを導く社会保障年金改革を成功させるために行なった政策についても、 解り易くかつ深きにわたり、述べる。
 FRB議長退任後、様々なメディアで、米国の住宅バブルの元凶のように書かれたり、とにかく悪く言われていることが多いが、就任中は霧の向こうの人だったのが退任するなり(現職のバーナンキ氏を差し置いて)やたらとメディアに露出したりしたことが原因だろう。あちこちで悪く言われているかも知れないが、本書はやはり読んでおくべき本の1冊だと思う。
 なお、翻訳が非常にこなれていて読み易いことも本書を良くしていることの1つだ。オススメ本です。

0 件のコメント:

コメントを投稿