2016年8月13日土曜日

高橋 由佳利 「トルコで私も考えた (6)トルコ料理屋編」

この書評ブログ、更新が滞っています。猛暑にやられて読書意欲が失せています。夏枯れです。今回はユルめにコミック。それでは行ってみよう、レッツ・ゴー! う、うぉ~?(ヤル気少な目/笑)


高橋 由佳利 「トルコで私も考えた (6)トルコ料理屋編」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4086195704/>
文庫: 188ページ
出版社: 集英社 (2015/11/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 4086195704
ISBN-13: 978-4086195706
発売日: 2015/11/18

[書評] ★★★★☆

有名な作品の続巻。発売後半年以上経ってしまったが、やっと読んだ。
  • 本巻、文庫版コミックでは「最新刊」だが、サイズ少し大き目の「愛蔵版」では、さらに新しい物が1冊発行済み(→後述)。
本シリーズ、これまで旅行話~国際結婚の話~出産・子育て話~…と続いて来たが、6巻では神戸にトルコ料理屋を開いた時の話が中心。昨今のトルコ事情にも触れつつも、トルコ料理屋であったことや、時々店で開いているイベントの話、それに子供の成長話の続編等、ハートウォーミングな話が多い。
  • 本巻冒頭で、「この漫画はフィクションです 実在の人物・団体・事実とは あまり関係ありません」と書いているが、(書いていないこともあるだろうが)ほぼ実話をベースにしているのだと思う。というか、経験していないとココまで描けないよね~と思う。
  • 苦労話が多いのだが、シリアスに寄り過ぎず、色々と笑い飛ばしてみせるのは、さすがは関西系漫画家(笑)。
あとがきにも書いてあるが、料理屋の経営はかなり厳しいようだ。それでも、トルコの食文化等を日本人にも楽しんで貰いたいという熱い気持ちが充分伝わってくる(神戸は遠いけど、お店に行ってみたくなるなるじゃないか!)。そして、筆者は、苦労話も込みで漫画を描いてしまうという、徹底したエンターテイナーなんだなと思う。

近年、トルコのエルドアン大統領(Wikipedia)は、かつて近代トルコの父:ムスタファ・ケマル・アタテュルク(Wikipedia)が打ち立てた脱イスラム・世俗化による近代化路線に逆行し、オスマン帝国を再興させるような動きをしている。さらに、イスタンブールを中心にテロが頻発し、トルコは「行ってみたい国ランキング」をズルズルと滑り落ちて行っているような傾向もある。が、これは、新興国が先進国になる時の際どい状態であるとも理解できる。色々な意味で危うい国、トルコ。この漫画は(個人的な話を除けば)シリアスな成分少な目だが、トルコという国の国民性や文化、最近の状況を垣間見る“参考資料”としても、オススメできると思う(最新情報ではないし状況は刻々と変わっているとは言え、本書/本シリーズは、「トルコ」を理解する良い参考書になると思う)

なお、通常の漫画と比較してページ当たりの情報量は何倍にもなるので(描く方も大変だろうなぁ)、初めて読む人は覚悟しておいた方が良いかも(笑)。

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新刊情報、筆者の旦那様のお店の情報、他:
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1~5巻の書誌情報(+メモ少々):

高橋 由佳利(著)「トルコで私も考えた―トルコ入門編」(集英社文庫、2012/8/17)
<http://www.amazon.co.jp/dp/408619340X/>
文庫: 209ページ
出版社: 集英社 (2012/8/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 408619340X
ISBN-13: 978-4086193405
発売日: 2012/8/17


高橋 由佳利(著)「トルコで私も考えた―トルコ嫁入り編」(集英社文庫、2012/9/14)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4086193418/>
文庫: 227ページ
出版社: 集英社 (2012/9/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4086193418
ISBN-13: 978-4086193412
発売日: 2012/9/14

高橋 由佳利(著)「トルコで私も考えた―トルコ日常編」(集英社文庫、2012/12/18)
<http://www.amazon.co.jp/dp/408619404X/>
文庫: 204ページ
出版社: 集英社 (2012/12/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 408619404X
ISBN-13: 978-4086194044
発売日: 2012/12/18

高橋 由佳利(著)「トルコで私も考えた―トルコもっと日常編」(集英社文庫、2013/1/18)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4086194058/>
文庫: 214ページ
出版社: 集英社 (2013/1/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 4086194058
ISBN-13: 978-4086194051
発売日: 2013/1/18

高橋 由佳利(著)「トルコで私も考えた―トルコ21世紀編」(集英社文庫、2013/4/18)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4086194236/>
文庫: 208ページ
出版社: 集英社 (2013/4/18)
言語: 日本語
ISBN-10: 4086194236
ISBN-13: 978-4086194235
発売日: 2013/4/18

6巻を読むにあたり、1~5巻を通しで再読した。1~4巻は、
  • 新興国あるある話…美味しそうな食事、文化ギャップ、日本との共通点など。
  • 国際結婚~子育ての苦労話(面白いけど、流産の経験などなかなか人に聞けないシリアスな内容もある)
がメインで、5巻は
  • トルコ人の旦那様を持つ日本人女性の、日本における日常エッセイ。
  • 久し振りにトルコを訪れた際に、トルコが発展・変化の状況に驚く話。
が中心となっている。1~6巻で筆者の青春時代~現在を描いているとも言えるが、シリアス・パートとギャグ・パートのバランスが絶妙これを実話ベースで描いてしまう筆者の高橋さん、スゴイ人です。