2014年3月29日土曜日

石田 衣良 (著) 「6TEEN」


石田 衣良 (著) 「6TEEN (新潮文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101250561/>

文庫: 320ページ
出版社: 新潮社 (2012/6/27)
言語: 日本語, 日本語
ISBN-10: 4101250561
ISBN-13: 978-4101250564
発売日: 2012/6/27

[書評] ★★★☆☆

前作「4TEEN」の2年後、親友4人組がそれぞれ別の高校へ行った後の話。14歳の頃と比べると、少しだけ地に足のついた16歳。異性への関心は中学生の頃より切実になっているし、将来への不安も生まれている。

そうした少年たちのショートストーリー10篇。出会いと別れ、裏切り、そうしたものを中心とした“冒険譚”。前作「4TEEN」にも言えることだが、大人が忘れてしまった、少年の瑞々しく細やかな感情が豊かに描き出されている。主人公は朴訥で、ちょっと格好つけな所もある少年だが、(「池袋ウェストゲートパーク」シリーズ等と同様に)筆者自身の一面なのだろう。石田氏は1960年生まれ。つまり本書発行当時52歳。信じられないくらい若い感性を持った作家だと思う。


以下余談:
 続編(「8TEEN」か?)は出るのか、出ないのか。主人公が高校を卒業する時期になるので、それなりに題材はあると思うが(←読みたい人の勝手な希望ですよ/笑)。でも、「4TEEN」が出てから6年経って、やっと「6TEEN」が出たことから、「8TEEN」が出るとしても、もう少し先のことになりそうだ(笑)

2014年3月22日土曜日

石田 衣良 (著)「4TEEN」

石田 衣良 (著)「4TEEN (新潮文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101250510/>

文庫: 329ページ
出版社: 新潮社 (2005/11/26)
ISBN-10: 4101250510
ISBN-13: 978-4101250519
発売日: 2005/11/26

[書評] ★★★☆☆

物語の舞台は、東京都中央区月島。大手町、銀座といった東京の「中心」から僅か数kmの場所なのに、平成時代の始め頃は、東京の中で少し寂れた場所だった。そんな月島も、90年代後半には「もんじゃ焼きバブル」があった。臨海エリアの再開発も進み、高層マンションが林立し始めた。80~90年代のような「地上げ」のバブルも起こった。

こうした地理・時代を背景にして、思春期真っ盛り、中学2年生の織りなすドラマが本作だ。中学入りたてでもなく、高校受験勉強に本格的に取り組んでもいない2年生。一番“中学生らしい”時期かもしれない。

内容は、まだ子供な部分もありながら、ちょっと背伸びもしてみたい、そんな男子中学生4人を中心とした“冒険”を描いたショートストーリー8篇。著者・石田衣良氏の前作「池袋ウエストゲートパーク」シリーズでもそうだったが、思春期特有の青臭くて少し尖がった思考・行動が上手く描写されている。また、テンポよく読ませる。

本書は'03年に直木賞を受賞した作品とのこと。だが、世間的な評判に関係なく、読み易い。

2014年3月19日水曜日

恵比須 半蔵(原作), ichida(漫画)「うちの会社ブラック企業ですかね?」 (コミック)


恵比須 半蔵(原作), ichida(漫画)「うちの会社ブラック企業ですかね?」(彩図社、2012/6/26)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4883928691/>

コミック: 127ページ
出版社: 彩図社 (2012/6/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4883928691
ISBN-13: 978-4883928699
発売日: 2012/6/26

[書評] ★★★★☆

本当にあった過酷な仕事のエピソードをもとに、シニカルかつコミカルに描いたブラックな漫画。

社会人で、この漫画の内容を「あるある」と笑っていられる人がいるだろうか? 自分には関係のないことだと思ってしまわないだろうか? 誰が見てもブラックな企業はともかく、そうでない企業でもソフトなブラック化が進んでいる職場は多いのではないだろうか。

ファストフード店員のエピソードでの会話
  • うちの店みたいな、人手足りない→仕事きつい→きついから新人がすぐ辞める→人手足りない、っていうループってどうすりゃいいんかね
    (p. 54より引用)
は以下のように読めてしまった。
  • うちの事業部みたいな、業績が良くないから人員整理→人手足りない→仕事きつい→きついから倒れる人・辞める人が出る→業績がさらに悪くなる、っていうループどうすりゃいいんかね?
…笑えない。

それと、生保マン&生保レディのエピソードでの会話。
  • 上司 「同期が辞めていく中常にトップギアで走り続けて今の俺があるんだ」
  • 主人公「…っていうのは全てバブル期の話で、自分の成功体験がみんなに通じると思ってるんですよ」
    (p. 123より引用)
これは30代後半~40代半ばの我々の多くが、50代以上の人たちに抱く思いではないだろうか。上は、根性論だけで全てが通用すると思っている。しかし、環境が変わってしまった今、本当は仕事のやり方(つまり会社組織の有り方自体)を変えないといけない筈なのだが、会社の「改革」と言っても実態は、業務ツールの変更だったり(業務がどんどんペーパーレス化・オンライン化される)、組織の名称変更だけだったりする。肝心なのは「ヒト」と、そのヒトが作る組織の構造改革、そしてヒト同士の「コミュニケーション方法」の改革なのだと思うが。過去の成功体験を引き摺っている人達には、こういった「実を伴う改革」を求めるのは無理なのだろうか?

「おわりに」(p.126~)にも書かれているが、この本に書かれたような状況は、
  • 特殊な会社のエピソードだけをセレクトした訳ではなく、どこにでもある普通の職場の影の部分に過ぎない
  • ほんの少し歯車が狂うだけで、誰もが彼らと同じ状況に身を置くことになるかもしれない可能性がある
今の日本の「職場」は簡単にブラック化しうるのだということを認識させるマンガ。

じゃぁ労働者としてどう対策を取れば良いか? その問いについての答えは与えられていないが(それはまた別の本を調べるなりプロに相談する)、「うちの会社、何か変じゃない?」と思ったら、①自分を守る、②職場を変える、が必要だ。自分の職場をまだ変だとは感じていなくても、こういう問題がごく身近なものであると考えた方が良い。

そういう意味で、ブラック企業問題が身近な問題であることと多くの人に問題を認識させる本として(しかも解り易い形である)、良書だと思う。

2014年3月16日日曜日

和田 秀樹 (著)「“捨てる”勉強法」


和田 秀樹 (著)「“捨てる”勉強法 (PHPビジネス新書)」(PHP研究所、2011/4/26)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4569795625/>

新書: 218ページ
出版社: PHP研究所 (2011/4/26)
ISBN-10: 4569795625
ISBN-13: 978-4569795621
発売日: 2011/4/26

[書評] ★★★☆☆

社会人になってからも勉強を続ける人へのアドバイス本。
  1. 社会人になると、学生時代と比べて時間も体力も限られる。そこで、以下を気に使うのが良い。
    ①勉強をすること自体の目的を明確にしよう
    ②色々な勉強法を「どれもやろう」とすると大抵失敗するので自分に合った方法を。
    ③インプットのみの勉強でなく、アウトプットもする勉強をしよう。
    ④復習は重要…歳をとると記憶力が悪くなるのではなくて復習をしなくなっているだけだ。
  2. まじめな人は愚直に勉強をするだけだが、やり方ややることの工夫・取捨選択も必要。
  3. 30代(以上)になると、入門書や解説本を読まなくなるが、実はこれらは非常に有用だ(フロイトにせよドラッカーにせよ、学者は自分の学説を立てるための論文を書いているのであって、それを読み解いて自分に役立てるのはハードルが高い)。
などなどなど。書いてあることは至って真っ当。新しい発見がある本ではなかったが、自分の日々の「勉強」を振り返るには役立つかも知れない本。

2014年3月9日日曜日

冨山 和彦 (著) 「挫折力―一流になれる50の思考・行動術」


冨山 和彦 (著) 「挫折力―一流になれる50の思考・行動術」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4569791964/>

新書: 254ページ
出版社: PHP研究所 (2011/1/19)
言語 日本語
ISBN-10: 4569791964
ISBN-13: 978-4569791968
発売日: 2011/1/19

[書評] ★★★★★

「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と言うが、本書は若いうちから「挫折」を多く経験して力にすべし、という話と、どのように「挫折」に立ち向かうか、という話(…これでは短くしすぎかも知れないが)。

本書における「挫折」とは、一般的な挫折というよりも、どちらかと言うと、組織の中で抵抗にあうことを指す。つまり、会社等の人間の集団における組織力学の話だ。特に、(フォロワー側でなく)リーダーの立場において、組織改革を行う時などに必要とされる能力だ。

組織に所属する人間、特に中間管理職以上の立場に立つ人には役立つ内容が多いと思う。

2014年3月2日日曜日

西尾 維新 (著), VOFAN (イラスト) 「終物語 (中)」


西尾 維新 (著)「終物語 中」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062838613/>

単行本: 340ページ
出版社: 講談社 (2014/1/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062838613
ISBN-13: 978-4062838610
発売日: 2014/1/29

[書評] ★★★★☆

西尾維新氏による「〈物語〉シリーズ」16冊目。冒頭では、シリーズ当初の頃のような、登場人物同士の軽妙な掛け合いがあるが、場面が展開して本編(?)に入った後は、割と真面目な(笑)文章が続く。言葉遊びでお茶を濁さなくても、きちんと読ませるストーリー。面白い。既刊のストーリーとの矛盾も殆ど無いようだし、よく練られた展開になっていると思う。

本の題名こそ「終物語 中」だが、時系列的には上巻とは連続していない。ストーリー的には「猫物語(白)」と同時進行の話で、こちらともキチンと繋がっている。

今回は、人の心に潜む「闇」の要素はあまり無い。本シリーズ中では陰惨度合は低め。既刊のストーリーの間にパズルのピースが嵌め込まれて行く感じが爽快でさえある。それもあってか、スルスルと読み進められた。

なお、ファイナル・シーズンに入ってから続いている傾向なのだが、登場人物の台詞には、考えさせられるものが多い。たぶん、人生で苦労した人にしか言えない言葉。それぞれの登場人物が背負ってきた人生や半年間の成長を思わせるのと同時に、著者の背負ってきた人生がどのようなものだったのかまで考えさせられてしまう。また、シリーズ当初執筆時にはおそらく無かったであろう、物語全体のストーリーがきちんと組み上がっているのだろうと推察される。

早くも続巻を読みたくなってしまった。