2017年9月17日日曜日

高橋 信(著), トレンドプロ(マンガ制作)「マンガでわかる統計学」

1週間あけてしまいました。今回は「マンガでわかる」シリーズ。一見ユルそうな本ですが、内容はいたってマジメです。


高橋 信(著), トレンドプロ(マンガ制作)「マンガでわかる統計学」
<https://www.amazon.co.jp/dp/4274065707/>
単行本: 215ページ
出版社: オーム社 (2004/7/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4274065707
ISBN-13: 978-4274065705
発売日: 2004/7/1

[書評] ★★★★☆

後輩が転居のため本棚を整理していたら出てきたという本。ハイ、私が貸していた本です(本書を含む統計学3部作の他にも色々出てきました…/苦笑)。時間が経っていたため貸した方も忘れていましたが、人の本を何年も寝かせておくなんて酷いよ、Mクン!(怒) お詫びに、と缶入りクッキー&チョコ詰め合わせを貰ったのですが、流れでその場で開封。殆ど女子に食べられてしまいました!(笑) おいM、お前まで一緒になって食べているんじゃないよ!!(爆)

…いけません、いけません。ノリがメインブログと同じになってしまいました(笑)。

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さて、本書。一言で表せば、「とても解り易い統計学の入門書」

内容を順に書き出すと、概ね以下の通り:

母集団と標本の関係
  • 限られた数の標本から、母集団の状況を知る方法として、統計学を使うということ
    ※勿論、標本=母集団という場合もある(学生なら学内や予備校での試験の得点、社会人なら国勢調査など)
数量データとカテゴリーデータの違い
  • 数量データ … 身長や試験の得点など
  • カテゴリーデータ … 好き・嫌いとか、支持政党とか、好きなブランド…などなど
1つの数量データの統計値
  • 平均、分散、標準偏差、などなど。
2つのデータの関連性の数値的表現(→検定)
  • 数量データと数量データ … 相関係数(単相関係数)
  • 数量データとカテゴリーデータ … 相関比
  • カテゴリーデータとカテゴリーデータ … クラメールの連関係数、カイ二乗検定(独立性の検定)
技術系の仕事をしている人間にとって、数量データ間の関係…平均・分散・標準偏差・単相関係数といった用語は既にお馴染みだろう(特に製造業では公差や不良率を考える上で必須)。だが、数量データとカテゴリーデータ、カテゴリーデータ同士の関連性というのは馴染みが無いかも知れない(私の場合、オペレータ毎や曜日毎の不良率という形では触れていたが)。そんな私にとって、カテゴリーデータの関連性というのは純粋な興味という点で面白かった。なお、MS-Excelで計算したりグラフを確認したりしながら読み進めると、より理解が深まるだろう(私は今回そうやって読んだ)
  • ちなみに、本書は初版発行が2004年と13年前だ。付録等に書かれているExcelの関数は、Office 2000の頃のものだ。今のOfficeにも同じ関数は残されているが、新しい関数(標準正規分布NORMSDIST()に対するNORM.S.DIST()など)で引数が違うなど、使い方が若干違うものがあるので、これは各自確認して欲しい。
  • 本書で舌足らずな部分については、SSRI社(Social Survey Research Information Co., Ltd.)様の「統計学の時間」〈https://bellcurve.jp/statistics/course/〉と株式会社アイスタット様の「相関・検定の手法別解説」〈https://istat.co.jp/sk_commentary〉にかなりお世話になりました! m(_ _)m これらのページ、初心者にも非常に解り易いですよ! また、学術的にもう一歩先を行く場合は、産総研の「統計メモ」〈https://staff.aist.go.jp/t.ihara/memo.html〉の各項目もオススメです。数式追うの大変ですが(苦笑)。
先に「とても解り易い」と書いたが、強いて難点を挙げれば以下だろうか:
  • 正規分布の話に続いて、唐突にカイ二乗分布、t分布、F分布が出てくる。碌に説明もされずに…。(しかもt分布、F分布は本書の後ろの方でも使わない)
  • クラメールの連関係数(p.127-142)の例で、「男性と女性の好みが完全に異なる」⇔「クラメールの連関係数が1」(非常に強く関連している)、「男性と女性の好みが同一」⇔「クラメールの連関係数が0」(全く関連していない)、となっているが、これは日本語としてチョット解り難い。ここは「好みが性別にどの程度関連しているかを表す指数」といった表現にした方が良かったのではないか。
  • クラメールの連関係数と、独立性の検定(カイ二乗検定)が別物であることがハッキリと書かれていない。これらは同じような目的で使う指標であることと、計算過程で「ピアソンのカイ二乗統計量」を算出するところまで共通なので、なおさら混乱しがちだ。
  • グラフに一部間違いがある(縦軸の目盛りが正しくない;増刷時に修正されていれば良いのだが)

まぁ細かいことは置いといて。久し振りに読み返してみて、学生時代にピンと来なかったカイ二乗検定が(四半世紀ぶりに!)スカッと理解できたということで、私は本書を良書と判定したい。幾つものサイトで「統計学の初心者が入門として最初に読むべき一冊」とされているが、大納得だ。

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参考:オーム社「マンガでわかる」シリーズ
<http://www.ohmsha.co.jp/manga_guide/>
↑基礎的な物から最近ホットな話題まで、内容は多岐にわたる。イントロ本としてはオススメな物が多いと思う。私も何冊か持っていて(業務に活かせる本から趣味の本まで…)、後輩に回し読みさせたりしている(小難しい本よりも皆さんよく読んでくれるのですよね/笑)

2017年9月3日日曜日

安彦良和(著), 矢立肇・富野由悠季(原案)「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」全24巻


安彦良和(著), 矢立肇・富野由悠季(原案)「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」全24巻

[書評] ★★★★☆

先週の「君に届け」に続き、同じマンガ女子が貸してくれた“夏の課題図書・その2”です(この女性はファーストガンダム世代より若いですが、何故かガンダム全シリーズをコンプリートしています)
  • 「泣けるDVDを貸して」シリーズで借りたBDなのですが、このTHE ORIGIN (OVA)の泣けるポイントは、キャスバルとアルテイシアの兄妹が母アストライアと今生の別れになるシーンです(OVA 1話目終盤)。幼いアルテイシアはアストライアの言うことを聞いて地球に向かいますが、母アストライアと兄キャスバルは二度と逢えなくなることを承知している…という対比がたまりません。
さて、この作品もOVA 4話分(BD×4枚)を観た後にコミックを借りました。内容は概ね以下の通り。
  • 1979年の「機動戦士ガンダム」(いわゆるファーストガンダム)の前日譚
    • ジオン・ズム・ダイクンの暗殺~ジオン国内の派閥抗争
    • キャスバル(兄)とアルテイシア(妹)が身分を隠すためにマス家の養子になって生き延びるが、そこにも暗殺の魔手が伸びてくる
    • キャスバル(エドワウ・マス)がシャア・アズナブルの身分を手に入れジオン軍士官学校に入るまでの道筋
    • シャア(になりすましたキャスバル)とザビ家の末弟・ガルマとの邂逅
  • ファーストガンダムで一部辻褄が合っていなかった箇所を整理・修正したストーリー構築
    • ファーストガンダムとの差異はWikipedia等に詳しいです。
    • ファーストガンダムが初回放送時視聴率が悪く4クール(52回)完了を待たずして43話で打ち切りになったのは有名ですが、このため当初予定を大幅に切り上げて(ジオン軍側のモビルスーツも予定より少なくなったようです)、物語終盤は非常に密度の濃い内容になっていると思います。
さて、このTHE ORIGINのOVAは随分ゆっくりしたペースで出されていますが、このペースでは、ファーストガンダムと同じ声優さんが年齢的に厳しくなってくるのではないかと心配になってしまいます。まぁOVAの方がなかなかルウム戦役(1年戦争の前哨戦)にも入らないので、原作(1年戦争の完結まで)を先にに読んじゃおう!みたいな(笑)。

で、感想。面白かったですよ! この作品も、24巻を2日で読破してしまいました!! ファーストガンダムもハイターゲット(中学生以上)に向けた作品だったようですが、THE ORIGINは大人向けですね。ガンダム世代(子供の頃にファーストガンダムを観た世代)と、もっと若い世代の両方に勧められます。

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ところで。夏(6~8月)の書評、見事にライトノベルとコミックだけになってしまいました(笑)。本当はマジメな本も何冊か読んでいるのですが、夏、特に8月は、歴史・政治色が強い本が多くなります(そういう季節ですから)。左右偏らないように色々読んでいるつもりですが、1冊1冊は偏っている物が多く、何となくココには書きにくいです…(苦笑)。

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