2012年10月31日水曜日

福岡伸一「世界は分けてもわからない」

福岡 伸一 (著)
「世界は分けてもわからない」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062880008/>
新書: 288ページ; 出版社: 講談社 (2009/7/17); 言語 日本語; ISBN-10: 4062880008; ISBN-13: 978-4062880008; 発売日: 2009/7/17
[書評] ★★★★☆
 「生物と無生物のあいだ」でベストセラーを出した福岡氏の新刊。 後半4割程度を、ガン細胞に関わる酵素反応の解明に関わるコーネル大学でのデータ捏造事件に割かれているが、それ以外は、雑多なことがらをいろいろ書いている。 分子生物学者の散文、エッセイという感じだ。 受精卵から作られる万能細胞(ES細胞)が癌化しやすく、 臨床試験までの道のりが長いという話はニュースで知っていたが、この具体的な話が読めただけでも興味深かった。
 「生物と無生物のあいだ」もそうだったが、福岡氏は読ませる文章が得意のようだ。 本書もテンポ良くそして歯切れ良く、興味深い話が尽きない感じだ。
 いわゆる「一発屋」で終わってしまう作者・作品が多い中、 本書は福岡氏がそうではないことを示している。(他にもヒット作が多数あり、単なる一発屋でないことは確かなのだが。)

2012年10月30日火曜日

宮崎駿「出発点1979~1996」

宮崎 駿 (著)
「出発点―1979~1996 (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4198605416/>
単行本: 580ページ; 出版社: スタジオジブリ (1996/08); ISBN-10: 4198605416; ISBN-13: 978-4198605414; 発売日: 1996/08
[書評] ★★★★☆
 スタジオジブリの宮崎駿さんの雑誌への寄稿文や、対談を集めて1冊の本としたもの。 宮崎駿さんという人の世界観・価値観がわかり、宮崎映画(ジブリ映画)のファンとしては、 非常に興味深い。 宮崎駿さんは、アニメーターとしての才能にも勿論恵まれているんだと思うが、 工夫と努力の人だと思った。また、論理的に作ったものを「大脳皮質で作ったもの」と表現し、 本当に良い作品は、大脳皮質だけでは作れないと言う。 良い作品を作るのに必要なのは追い詰められることで、 追い詰められた時に、無意識の部分で答が出されると言う。この辺りは、アーティストというかクリエイターというか、そういう人に共通のことなのかなぁと思いつつ、 映画を作る最良の方法はひとつしかないはずで、それにより近い方法を見つけていく作業が映画作りだと言う。 「映画は映画になろうとする。作り手は実は映画の奴隷になるだけで、 作っているのではなく、映画に作らされている関係になるのだ」(p.556より)というのが面白いなと思った。
 また、アニメーション作りというのは多くの工程からなる共同作業であり、その共同作業に関するくだりは一般企業に勤める普通の会社員にも非常によく分かる。
 宮崎映画のファンで、宮崎駿さんのものの見方・考え方に興味のある人にはお薦めの1冊だと思う。


前回まで海堂尊「チーム・バチスタ」シリーズが続きましたが、今回はちょっと小休憩。アリアドネの弾丸(文庫版、)とかもあるのですが、まだ「積読」状態なのでした…。

2012年10月29日月曜日

海堂尊「螺鈿迷宮」(上・下)

 
海堂 尊 (著)
「螺鈿迷宮 上 (角川文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4043909012/>
文庫: 222ページ; 出版社: 角川グループパブリッシング (2008/11/22); ISBN-10: 4043909012; ISBN-13: 978-4043909018; 発売日: 2008/11/22
「螺鈿迷宮 下 (角川文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4043909020/>
文庫: 233ページ; 出版社: 角川グループパブリッシング (2008/11/22); ISBN-10: 4043909020; ISBN-13: 978-4043909025; 発売日: 2008/11/22
[書評] ★★★★☆
 海堂尊の「チーム・バチスタの栄光」のシリーズと言っても良い作品。 宝島文庫から出ている本は、田口医師と白鳥調査官が主人公だが、 本書は落ちこぼれ医学生が主人公。 主人公・主要な舞台の違いこそあれ、他の作品と巧妙に絡んだ内容。こういうのを別の出版社から出すのってアリなのかなあ?
 何はともあれ、ミステリー物として面白い。

2012年10月28日日曜日

海堂尊「イノセント・ゲリラの祝祭」(上・下)

海堂 尊 (著)
「イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796673598/>
文庫: 252ページ; 出版社: 宝島社 (2010/1/8); ISBN-10: 4796673598; ISBN-13: 978-4796673594; 発売日: 2010/1/8
「イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/479667361X/>
文庫: 239ページ; 出版社: 宝島社 (2010/1/8); ISBN-10: 479667361X; ISBN-13: 978-4796673617; 発売日: 2010/1/8
[書評] ★★★★☆
 海堂尊の「チーム・バチスタの栄光」のシリーズの最新作。宝島社から
  ①「チーム・バチスタの栄光」
  ②「ナイチンゲールの沈黙」
  ③「ジェネラル・ルージュの凱旋」
  ④「イノセント・ゲリラの祝祭」
が4部作のように売られているので、この順番に読んでしまったが、 角川書店から出ている⑤「螺鈿迷宮」が③と④の間に入ると時系列が揃う。 時系列順に整理すると、
  ① → ②+③ → ⑤ → ④
という流れ。 「螺鈿迷宮」(単行本文庫本・上文庫本・下)を読んでいないと分からない部分もあるので、こちらも要チェックかも?

2012年10月27日土曜日

海堂尊「ジェネラル・ルージュの凱旋」(上・下)

 
海堂 尊 (著)
「ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796667679/>
文庫: 251ページ; 出版社: 宝島社 (2009/1/8); ISBN-10: 4796667679; ISBN-13: 978-4796667678; 発売日: 2009/1/8
「ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796667695/>
文庫: 253ページ; 出版社: 宝島社 (2009/1/8); ISBN-10: 4796667695; ISBN-13: 978-4796667692; 発売日: 2009/1/8
[書評] ★★★★☆
 前作「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行で進む別のストーリー。 時々、前作で読んだシーンと重なる箇所があり、デジャヴのような感覚を楽しめる。なかなか読ませるが、今回は「ミステリー」ではない。 説明のための描写が多少気になるかも。ま、今回も比較的テンポ良く読ませるという意味で★4つ進呈。
 元々は「ナイチンゲール~」と合わせた1つの作品となっているのを、 後から分けて2作にしたとのことだが、 1つの作品のままだったらグチャグチャになっていたのではないだろうか?どう整理されていたかも興味はあるが…。
 ちなみに、次作「螺鈿迷宮」へのイントロとなっている部分もあるので、シリーズとして読みたい人はこちらも要チェックかも。

 本作も先日TV(地上波)で放送されましたね。これも勿論見ましたよ。

2012年10月26日金曜日

海堂尊「ナイチンゲールの沈黙」(上・下)

 
海堂 尊 (著)
「ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796663584/>
文庫: 299ページ; 出版社: 宝島社 (2008/9/3); ISBN-10: 4796663584; ISBN-13: 978-4796663588; 発売日: 2008/9/3
「ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796663606/>
文庫: 301ページ; 出版社: 宝島社 (2008/9/3); ISBN-10: 4796663606; ISBN-13: 978-4796663601; 発売日: 2008/9/3
[書評] ★★★☆☆
 前作「チーム・バチスタの栄光」に続く、海堂尊氏の作品。 今回も読ませる作りこみだ。
 登場人物に特殊能力?があるという設定なのが、 病院を舞台とした作品としては、幾分非科学的な気がしないでもないが、まぁこれはコレでアリかな。と思う。

2012年10月25日木曜日

海堂尊「チーム・バチスタの栄光」(上・下)

 
海堂 尊 (著)
「チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796661611/>
文庫: 237ページ; 出版社: 宝島社 (2007/11/10); ISBN-10: 4796661611; ISBN-13: 978-4796661614; 発売日: 2007/11/10
「チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796661638/>
文庫: 269ページ; 出版社: 宝島社 (2007/11/10); ISBN-10: 4796661638; ISBN-13: 978-4796661638; 発売日: 2007/11/10
[書評] ★★★★★
 面白い! このひと言に尽きる。 登場人物のキャラクターが際立っていることもあるが、 大学病院という舞台とそこの人間ドラマをテンポ良く書き上げ、 読者をぐいぐい引き込む。 一気に読めてしまう。そして、えぇっ?!という展開。 読ませます。

 ちなみに、先週(10/17(水))、映画がTV(地上波)で放送されましたね。もちろん、見ましたよ! 主人公の田口先生が女性(竹内結子)になっていて、最初の30分はすげー違和感を感じてしまいましたが。でも、原作も面白く、脚本も良かったので、いつの間にか作品の世界に引き込まれてしまいました。

2012年10月24日水曜日

西原理恵子「この世でいちばん大事な「カネ」の話」

西原 理恵子 (著)
「この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4043543182/>
文庫: 202ページ; 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/6/23); ISBN-10: 4043543182; ISBN-13: 978-4043543182; 発売日: 2011/6/23
[書評] ★★★★☆
「ヘタうま」と言うのか、非常に“味”のある絵を描く漫画家、西原理恵子(さいばらりえこ)さん。 他の漫画、たとえば「いけちゃんとぼく」などを読み、どういう人生観、価値観の持ち主なのか前から興味があった。
本書を読んで、予想以上だった。 詳しくは本書を手にとって欲しいが、凄まじい経歴の持ち主だった。 常に貧しさの中で育ち、東京西部の新興住宅街で育った自分には想像もつかないすさまじい世界。
そういう経験をしてきたためだろうか、お金に対する感覚は鋭敏だ。 日本ではお金を稼ぐことが後ろめたいような教育がなされているが(アメリカとは大違い)、 本書は、教育では教えてもらえない、お金に関して大切なこと・持っておくべき感覚が沢山書かれている。
ズバリ、読むべし。

2012年10月23日火曜日

西原理恵子「いけちゃんとぼく」 (コミック)

西原 理恵子 (著)
「いけちゃんとぼく (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/404854053X/>
単行本, 出版社: 角川書店 (2006/9/1), ISBN-10: 404854053X, ISBN-13: 978-4048540537, 発売日: 2006/9/1
[書評] ★★★★★
 絵本。
 ネタバレになるのでどんな本かは書けないが、“じゅわっ”と来る本。 最後まで読むと、「いけちゃん」が何ものであるかがわかる作りになっている。それを解った上で再度読むと、再び“じゅわっ”と来る。
 バリバリの技術者を自認する人間が読む種類の本ではないかも知れないが、たまにはこういう本も「効く」。


※今までビジネス書やノンフィクション中心だったのですが、先日ソフト系の書評を書いたら意外と好評でしたので(レスポンスを下さった方、ありがとうございます)、今後も時々、ソフト系の書評も書いてみようと思います。

2012年10月22日月曜日

アーサー・D・リトル「全図解 戦略参謀ノート―90年代の世界・日本企業の戦略」


アーサー・D.リトル社 (著), 山下 義通 (編集)
「全図解 戦略参謀ノート―90年代の世界・日本企業の戦略 (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4478370451/>
単行本: 284ページ ; \出版社: ダイヤモンド社 (1990/02) ; ISBN-10: 4478370451 ; ISBN-13: 978-4478370452 ; 発売日: 1990/02
[書評] ★★★★☆
 企業戦略に関する書。 
 日本でバブルが弾ける直前、1990年の出版で、引例は流石に古いが、 内容は今でも通用するものが多い(と思う)。 特に、事業戦略の中でも「第2の創業」「新規事業探索」に関する記述は秀逸だと思う。 第9章「新規事業立ち上げのための「ストラテジー・シェアリング」の効用」など、 私が某部署にて新規事業探索なんぞを行っていた際にモヤモヤしていた物を吹き飛ばしてくれた。 
 装丁・図表など、古くさい感じは否めないが、良書だと思う。

2012年10月21日日曜日

岡村勝弘「ロンおじさんの贈りもの―30日間ビジネス・レッスン」

岡村 勝弘 (著)
「ロンおじさんの贈りもの―30日間ビジネス・レッスン (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4939051250/>
単行本: 221ページ; 出版社: ビーケイシー (2003/12); ISBN-10: 4939051250; ISBN-13: 978-4939051258; 発売日: 2003/12
[書評] ★★★★★
 会社を成長させるとはどういうことか。 事業計画とは何か、どのように作るべきものか。 会社を引っ張って行きたいと考える人にとってとても大切なことが、 物語の形式でわかりやすく書かれている。 
 最初は、主人公=ベンチャー企業の社長・竹内氏の 祖父に恩を持つ老人、ロナルド・ヤスダ氏の言葉を通じて、 途中からは、主人公や経営陣の感情・考え方の変化等の描写を通じ、 会社を経営するということはどういうことか、 多くのことを学ばせてくれる。 
 起業したいと考えている人は勿論、 会社の中でチャレンジしたい人にも多くを教えてくれる本だ。

2012年10月20日土曜日

官谷浩志「かわいい部下にはハシを持たせよ」


官谷 浩志 (著)
「かわいい部下にはハシを持たせよ (アスカビジネス) (単行本(ソフトカバー))」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4756913393/>
単行本(ソフトカバー): 240ページ; 出版社: 明日香出版社 (2009/9/28); ISBN-10: 4756913393; ISBN-13: 978-4756913395; 発売日: 2009/9/28
[書評] ★★★☆☆
 著者が言っている「一飯教育(いっぱんきょういく)」とは、 著者が経営している住宅建築業で、家が出来てお客様がその家に住むようになってから、 社員をそのお客様の所に行かせ、食事をご馳走になってくる活動を指す。 また、それと同時に、お客様からのフィードバックを貰う活動のことを指す。 …とポイントだけ書くと訳の分からないことになってしまうが、 お客様に対して本当に親身になることによって、そのような関係を築き上げることを指し、 また、そのように社員を教育することを指す。 
 業界が違えばお客様との距離感も違うので、 全ての会社でこのような活動が出来るとも思えないのだが、 「部下やお客様に対して無関心な社員を変える」という意味では あらゆる業種に共通した考え方なのではないだろうか。 
 そのまま自分の活動に活かすことはできなくとも、 自分なりの形で、同僚や部下(そして上司にも)接する姿勢に活かすことは出来ると思う。 面白い本だと思う。

2012年10月18日木曜日

大野潔「イラスト版管理職心得―はじめて部下を持つ人へ」


大野 潔 (著)
「イラスト版管理職心得―はじめて部下を持つ人へ (日経ビジネス人文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/453219282X/>
文庫: 207ページ; 出版社: 日本経済新聞社 (2005/04); ISBN-10: 453219282X; ISBN-13: 978-4532192822; 発売日: 2005/04
[書評] ★★★★☆
タイトル通り、はじめて部下を持つ人の心得が書いてある。 見開き右側のページに本文があり、左側にイラスト(図表・チャート)、 という構成になっている。 文庫本サイズで紙・印刷ともちょっと安っぽいし、 イラストもチープな感じが否めないが、 内容が堅めである割に読みやすいのはこの構成の為だろう。 
企業に勤める人間として大切なこと、基本的なことが沢山書かれている。 部下を持つ前から読んでも損は無いと思う。 ただ、上司や部下との接し方についてのくだりは、 実際に部下(育てるべき後輩)を持ってからでないと実感が無いかも。 
いずれにしても、チームリーダー、チームメンバーのいずれが読んでも 役に立つことが沢山書かれている。 派手な本ではないが、お勧めできる本だ。

2012年10月17日水曜日

ひすいこたろう・ひたかみひろ「シアワセの取説」


ひすい こたろう (著), ひたか みひろ (著)
「シアワセの取説 (単行本(ソフトカバー))」
<http://www.amazon.co.jp/dp/487257947X/>
単行本(ソフトカバー): 155ページ; 出版社: インフォトップ出版 (2008/05); ISBN-10: 487257947X; ISBN-13: 978-4872579475; 発売日: 2008/05
[書評] ★★★☆☆
 読むだけで優しい気持ちになれる気がする。 自分の中のカリカリした部分が少しだけ丸くなって、角が取れた気がする。
 この本の冒頭部分を引用しよう。 Amazon.co.jpやその他の書評でも引用されている箇所なので、ここで引用しても問題無いだろう:

  あなたは明日から3日間、沖縄を自由に旅行していいと言われたら何をしますか?
  海で泳ぎたい...。首里城を見に行きたい...。沖縄料理を食べたい...。
  3日間めいっぱい使って、やりたいことはたくさんあると思います。
  
  では、1週間のハワイ旅行だったら?
  多少疲れても1週間遊びまわりますよね。
  
  では、80年間、この地球を自由に旅行していいと言われたら?
  
  はい。そうです。
  実は、あなたは80年間の休みを使っていま地球旅行に来ていたのです。
  
  「ようこそ地球へ」
  
  あなたは旅人です。だから自由なのです。
  何をしたっていいのです。決めるのはあなたです。
  
  人生は旅なのですから。
  
  ここで、あなたは多くの人が陥っている、「不幸の罠」に気づかなければいけません。
  「成功しなければいけない」という強迫の罠に。
  旅には成功も目的もありません。

2012年10月16日火曜日

横山秀夫「クライマーズ・ハイ」

横山 秀夫 (著)
「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167659034>
文庫: 471ページ; 出版社: 文藝春秋 (2006/06); ISBN-10: 4167659034; ISBN-13: 978-4167659035; 発売日: 2006/06
[書評] ★★★★☆
 主人公は群馬県の地方新聞の記者で、 日航機墜落(御巣鷹山)という世界的大事故の発生により、 「日航全権デスク」に任命される。 当時の記者の活動や新聞を出すということを描写しつつ、 会社の中の人間模様、主人公の仕事に対する気持ちの揺れ、 状況の変化に巻き込まれて自分の生き方を模索せざるを得ない状況、 等々を描き出す。
 新聞記者として社内の争いの一兵卒として早世した友人(主人公の登山の師でもある)の遺した息子と共に、事故の17年後に山に向かう。
 日航機墜落事故の当時と、時間の経った時からの追想とを交え、あの事故は一体何だったのか、 自分の人生とは一体何なのか、を静かに、しかし熱く語る。

2012年10月15日月曜日

石田衣良「40―翼ふたたび」

石田 衣良 (著)
「40―翼ふたたび (講談社文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062762692/>
文庫: 387ページ; 出版社: 講談社 (2009/02); ISBN-10: 4062762692; ISBN-13: 978-4062762694; 発売日: 2009/02
[書評] ★★★★☆
 本屋で平置きされていた文庫本の中に、目を引くタイトルの本があった。 見ると、裏表紙に強烈な言葉が。すなわち、「人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が。云々」 自分は良い方の半分が終わった、なんて意識は全然無いツモリなんですけど(笑)。
 作者は、石田衣良氏。 数年前になるが、立花隆氏が日経のHPで、「波のうえの魔術師」(文藝春秋・文春文庫, 2003/09, ISBN-10: 4167174073; ISBN-13: 978-4167174071)の書評?を書いており、気になったので読んだ時に良かった。 今回も期待できそうか?
立花隆氏は、ホリエモン事件や村上彰世事件について書いた記事の中で、 株のことについて小説にしては良く書けている等々と言っていたような。
 本書は、40歳になってから、投げやりに会社を辞めて、半年で2度の転職、3度目の職業としてフリーランスのプロデュース業を始めた男・吉松喜一。 彼のもとを訪れ、プロデュースとは言えないような仕事も含め、 色々な依頼をしていく40歳前後の人たち。ひとつひとつの作品は50頁程度の小作品となっているが、それぞれの作品の内容がソレナリに繋がった内容となっている。 気楽に読めるが、結構読ませる作品だ。 「波のうえの~」もそうだったが、 人生の辛さ・苦さや、その中のチョットした喜び、こういったものの描写が巧い人だなぁと思う。
 「波のうえの~」の時には作者のことをよく知らないまま読んでいたが、1960年生まれで、広告制作会社勤務等を経て、1997年にオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。37歳でやっと華が咲いた計算になるが、それまでの人生経験が作品に活きているのだと思う。
 気楽に読める小説だが、色々な人にオススメできる。でも、読んで面白いと思うのは、30歳後半以上の男性限定かな?  Amazon.co.jpの書評には、お坊っちゃんが書いた夢物語とか、そういう書き込みもあるが、私はこの作品は悪くないと思う。

2012年10月13日土曜日

野田稔「燃え立つ組織」

野田 稔 (著)
「BBTビジネスセレクト5 燃え立つ組織 (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4777105679/>
単行本: 184ページ ; 出版社: ゴマブックス (2007/1/16) ; ISBN-10: 4777105679 ; ISBN-13: 978-4777105670 ; 発売日: 2007/1/16
[書評] ★★★★☆
 企業においては、社員の感情もひとつの経営資源と考え、この社員の感情をマネジメントする方法について述べる。
 自分自身の伸ばし方、部下への接し方・指導方法など、 詳細にわたり分かりやすい説明が示されている。 数年来、部下の育成・コーチングに関する本が数多く出版されているが、 本書はそれらの本の中では異色の存在かも知れない。
 ただ、本書を読んだ段階では未読なのだが、ウォートン経営戦略シリーズ/英治出版の「燃え立つ社員」(だったかな?)という本が本書に先立って出版されていることは先刻承知。BBTブックスがこの焼き直しだったりしないことを祈るのみ。
 ところで。 本書の最終章は、他の章と異なる色合いを持つ内容となっており、 「アイ・カンパニー」というコンセプトについて述べている。すなわち、従業員一人ひとりを会社のようなものと考え、 顧客や株主(実世界のお客様や上司)、それに提携会社(チームメンバー)が どのように評価しているか、何を期待しているか、などを客観的に考え、 自分自身のパフォーマンスをマネジメントしようという考えだ。 会社の経歴に似せて、株式会社○○の社歴(○○は人名)などを示し、 成長曲線も示し、比較的客観的に自分自身の評価・課題を示すことができるようにしている。 自己研鑽の1方法としても面白い。ココだけで、本書の代金分(¥1,050ナリ)の価値は十分あるかも知れない。

2012年10月11日木曜日

斎藤顕一「営業の問題解決スキル」

斎藤 顕一 (著)
「営業の問題解決スキル (BBTビジネス・セレクト6)(単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4777105687/>
単行本: 182ページ; 出版社: ゴマブックス (2007/3/1); ISBN-10: 4777105687; ISBN-13: 978-4777105687; 発売日: 2007/3/1
[書評] ☆☆☆☆☆
 大前研一主宰のBBT大学院(ビジネス・ブレークスルー大学院)の本とあって買ってしまったが、…当たり前のことしか書かれていないじゃん。お金と時間(読むのに使った時間)を返して…。
 本書の筆者、斎藤顕一氏のセミナーが人気のようだが、私にはどうしてなのかよくわからない。

2012年10月10日水曜日

竹内弘高・楠木建「イノベーションを生み出す力」

竹内 弘高 (著), 楠木 建 (著)
「BBT ビジネス・セレクト4 イノベーションを生みだす力 (BBTビジネス・セレクト) (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4777105148/>
単行本: 181ページ ; 出版社: ゴマブックス (2006/12/15) ; ISBN-10: 4777105148 ; ISBN-13: 978-4777105144 ; 発売日: 2006/12/15
[書評] ★★☆☆☆
 同シリーズの第3巻では、アントレプレナーシップを新しいことを始めたり、イノベーションを起こす力(実行力)について語った。 本書(シリーズ第4巻)では、そのイノベーションについて語る。イノベーションには様々な種類のものがあるが、 本書で注目しているものは、コモディティ化してしまった商品に関するイノベーションだ。すなわち、売れる・売れないを決める価値軸は価格のみになってしまっている商品に、 新しい価値軸を与えて差別化を行い、利益率を上げるというものだ。
 本書で実例として示されている企業は、サウスウエスト航空とスターバックスである。
 多くの航空事業が長距離化による収益力向上を目指しているのに対し、サウスウェスト航空は、中・短距離の航路、しかも地方都市の間の便数を充実させ、 今まで無かったマーケットを作り出した。 勿論、余計なサービス等、コスト増につながるものは潔く切り捨てている。しかし、それによって非常に高いコスト競争力を実現している。
 スターバックスは、それまでドーナツか何かのお供にすぎなかったコーヒーを、 「ホッとできる場所の提供」「家・職場に次ぐ第3の場所の提供」というコンセプトで提供し、 新たなコーヒーの飲み方・楽しみ方を提案した企業である。スターバックスについては優良企業として、数多くの文献があるが、本書は他の企業と比較してどうか、という点は非常によくわかる。
 悪い本ではないが、イノベーションに関する本が数多く出版されている昨今、その本のリストに加える意味があるほどの本かと言われると、そこまででは無いと思われる。 同シリーズにイノベーションに関する本も入れたかったのだろうが、 同テーマに関する本を1~2冊読んだことがある人には、お金を払って買い、時間を使って読む程の価値は無いかも。

2012年10月9日火曜日

米倉誠一郎「創造するアントレプレナー」

米倉 誠一郎 (著)
「BBT ビジネス・セレクト3 創造するアントレプレナー (BBTビジネス・セレクト) (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4777105105/>
単行本: 207ページ ; 出版社: ゴマブックス (2006/11/25) ; ISBN-10: 4777105105 ; ISBN-13: 978-4777105106 ; 発売日: 2006/11/25 ; 商品の寸法: 17.2 x 11.4 x 1.8 cm
[書評] ★★★★☆
 アントレプレナーシップ(Entreprenourship)とは、フランス語の企画する人/企てる人(Entreprenour)と英語のshipとからなる造語。 多くの場合、「起業家精神」と翻訳されるが、リーダーシップがリーダー精神だけでなく人を動かす力、実行力を指すのと同様、アントレプレナーシップも新しいことを始める力、イノベーションを起こす実行力という理解が正しいようだ。
 個人的には松井証券・松井道夫社長との対談が非常に興味深かったが、 本書の良い所として、前向きな経営者のインタビューからパワーを分けて貰えることが挙げられる。
 本書も同シリーズ1,2巻と同様、価格は税込1,050円、数時間で簡単に読み終わる。 良書だと思う。

2012年10月8日月曜日

遠藤功「経営と現場力」

遠藤 功 (著)
「BBT ビジネス・セレクト2 「事例に学ぶ 経営と現場力」 (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4777105091/>
新書: 207ページ ; 出版社: ゴマブックス (2006/10/24) ; ISBN-10: 4777105091 ; ISBN-13: 978-4777105090 ; 発売日: 2006/10/24 ; 商品の寸法: 17.2 x 11.6 x 2 cm
[書評] ★★★★☆
 大前研一氏主宰の(株)BBT(ビジネス・ブレークスルー)発行のビジネス本、第2弾。 強い企業は、経営が強いだけでなく、実際に業務を行う「現場」も強いと説く。 読んでいて、色々納得させられる。
 本書も対談形式で、対談相手は組織力が高いことで有名な企業の経営者や経営者OB。
 本書の中でも特に、デル・コンピュータのOBのインタビューは圧巻。 単にダイレクト販売方式が凄いのではなく、ダイレクト販売方式と徹底的な在庫管理といったシステム全体が凄いことがよくわかる。このシステムにより、デル・コンピュータは他社のどこよりも安く物を作っており、コスト・デリバリー・クオリティの全てにおいて高い競争力を維持していることが理解できよう。

2012年10月7日日曜日

西浦裕二・山田英夫「ザ・ネクスト ビジネスリーダー」

西浦 裕二 (著), 山田 英夫 (著)
「BBT ビジネス・セレクト1 「ザ・ネクスト ビジネスリーダー」 (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4777105083/>
新書: 206ページ ; 出版社: ゴマブックス (2006/10/24) ; ISBN-10: 4777105083 ; ISBN-13: 978-4777105083 ; 発売日: 2006/10/24
[書評] ★★★☆☆
 大前研一氏が主宰する(株)BBT(ビジネス・ブレークスルー)(BBT大学院大学などを運営)の ライブ講義から起こした本で、題名の通り、ビジネスにおけるリーダー像というものについて論じる。
 対談形式で進められた複数回のライブ講義の内容から構成した内容であり、また毎回ゲストが替わることから、内容に統一性は乏しいかも知れない。 各人各様のリーダーシップ論が提起されており、リーダーシップ論の体系的理解には向かないが、 全体像を捉えるのには向いているかも知れない。
 税込1,050円の本を数時間読むだけでリーダーシップ論の各論・全体像を把握。 大人の週末の過ごし方として悪くないと思うのだが、如何であろうか。

2012年10月4日木曜日

赤池学・金谷年展・中尾政幸「心に火をつける人、消す人」

赤池 学・金谷 年展・中雄 政幸 著
「心に火をつける人、消す人」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4484002035/>
単行本 ; 出版社: TBSブリタニカ、ISBN: 4484002035 ; (2000/02/09)
[書評] ★★★★★
 本書の主題は一種の教育論である。 子供に受動的に知識を伝授するのではなく、 子供が主体的に色々な物事に興味を持ったり問題意識を持つのを助けるための方法論の提示である。 先進国や発展途上国のうち何か国かで実際に行われている、 子供が自主的に活動をしている事例を挙げ(本書の言うところの、 教育のあるべき姿であり、子供が主体となったこのような活動により、 社会も良くなると説いている)、このような活動を促進する/阻害する社会的・家庭的要因を挙げ、できるだけ多くの子供にこのような教育を受けさせるために出来ることを提案している。
 日本の画一的教育の問題点も掘り下げており(知識の伝授には非常に効率の良い方法だが、 子供に何かに興味を持たせたり問題意識を持たせるには適していないと言い切る)、 読者の問題意識を駆り立てる。
 高度成長期・ベビーブーム時代に育った子供は、 画一的教育で効率的に「教育」しなければならなかったのが現実的な問題だと思うのだが、 少子化の進む今日、子供1人ひとりに合わせた教育というのは可能なのではないだろうか。 日本では大人と子供の人口構成の逆転が起こり、今や子供は社会の貴重品である。 子供の個を尊重し、何かに興味を持つ子供を伸ばす教育、 問題提起とそのために子供のうちから活動を起こすのをサポートするような教育というのは、10年・20年前では現実的ではなかったかも知れないが、今では可能なのではないか。また、これからの日本を支える世代の人口が少ないということは、この世代の教育レベル・意識レベルを今以上に高くする必要があるのではないか。
 なお、本のタイトルから予想していたのと全然違う内容だったが、この本の伝えようとしていることは、一般化されたコーチング論に他ならない。そういう意味で、教育に携わる人以外が読んでも得るものは多いと思う。

2012年10月3日水曜日

Bill Gates “Business at the Speed of Thought”

Bill Gates (著)
「Business at the Speed of Thought: Using a Digital Nervous System (Penguin Joint Venture Readers) (ペーパーバック)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/0582343003/>
ペーパーバック: 112ページ; 出版社: Penguin; New edition版 (2001/2/19); 言語 英語; ISBN-10: 0582343003; ISBN-13: 978-0582343009; 発売日: 2001/2/19
[書評] ★★★★★
 前著に続き、今度はコンピュータ社会におけるビジネスのあり方の変化を示す。PCは勿論、あらゆる物がコンピュータ化・ネットワーク化されて相互接続され、 途方もないスピードでビジネスが展開されるという内容。ビジネスのスピードを律速するものは、人間の思考速度だという。
 本書も首尾一貫した明解な論理で、非常に読みやすい。 前著がPenguin ReaderのLevel 3 (1200 words)だったのに対して、 本書はPenguin ReaderのLevel 6 (3000 words)。しかし、TOEICのスコア500点ソコソコの人間にもスラスラ読める。 今となっては内容が若干古く、また当時の予想と現実との乖離も見られるが、 今読んでも面白いし、未来予想図としては十分通用する。 英語の本にアレルギーを持っている人でも読みやすいと思う。

2012年10月2日火曜日

Bill Gates “The Road Ahead”

Bill Gates (著)
「The Road Ahead (ペーパーバック)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/0140257276/>
ペーパーバック: 352ページ; 出版社: Penguin USA (P); 2版 (1996/11); 言語 英語; ISBN-10: 0140257276; ISBN-13: 978-0140257274; 発売日: 1996/11
[書評] ★★★★☆
 マイクロソフトの創始者、ビル・ゲイツの著書(彼自身が書いた本は、 本書と“Business @ the Speed of Thought”の2冊のみ)。
 8ビットパソコンが出回り始めた頃に、多くのPCで採用されたMicrosoft BASICに始まり、その後16ビットPC(~32ビットPC)で使われたMS-DOS、Windows、Windows NT、etc...彼がコンピュータ時代の到来にどのようなビジネスチャンスを見つけ、どのようなイノベーションを起こし、どのようにMicrosoftを育てて来たかが分かる本。また、(執筆当時の)筆者がコンピュータの将来像をどのように考えていたかが分かる。あらゆる物がネットワーク化されて…確かに現代社会はコンピュータにより大きく変わり、 彼の描いた夢に少しずつ近づいている。が、現実はまだ彼の想像力に追いついていないようだ。
 なにはともあれ、コンピュータ・フリークにはたまらない1冊。
 Penguin ReaderシリーズのLevel 3 (1200 words)に入っている本だが、1200語ものボキャブラリが無くても充分読める。 何より、小説やエッセイと異なり、首尾一貫して論理的、明快なストーリの本なので、 英文論文等をソレナリに読んで来た人間(大抵のエンジニアはそうだろう)にとって、 非常に読みやすい本だ。
 英語の本で何を読んだら良いかわからない、なんて人にはオススメ。

2012年10月1日月曜日

高木徹「ドキュメント 戦争広告代理店」

高木 徹 (著)
「ドキュメント 戦争広告代理店 (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062750961/>
文庫: 405ページ ; 出版社: 講談社 (2005/6/15) ; ASIN: 4062750961
[書評] ★★★★☆
 国内紛争・地域紛争においては、情報のコントロールを掴んだ側が勝つことが多いが、 国際紛争も情報戦であることを示した書。ボスニア-ヘルツェゴビナの内戦は、 当事者同士の物的・人的戦争の他に、 海外の世論を動かす情報戦が大きくものをいった。
 当初からユーゴ側が情報戦を勝ち抜くためのエージェントを雇ったのに対し、ボスニア側は情報・世論の重要性に気付くのが遅く、 国際世論を味方につけることができなかった。その結果が、国連軍のボスニア爆撃であり、 今でもボスニアは世界の孤児となっている。
 本書の作者はNHKの記者。 色々な情報が世の中を飛び交い、これによって人々が様々な判断を下す時代において、 情報の持つ意味について考えさえる作品。