2014年10月15日水曜日

海堂 尊(著)「ジェネラル・ルージュの伝説」

海堂 尊(著)「ジェネラル・ルージュの伝説」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4796677399/>
文庫: 347ページ
出版社: 宝島社 (2010/6/4)
ISBN-10: 4796677399
ISBN-13: 978-4796677394
発売日: 2010/6/4

[書評] ★★★☆☆

『チーム・バチスタの栄光』(2007) (Amazon拙書評)で華々しく作家デビューした、現役医師・海堂尊氏による作品。内容は、『ジェネラル・ルージュの凱旋』(2009) (Amazon拙書評)の前日譚・サイドストーリー・後日譚、それに自己紹介+過去の作品紹介。

ちょっと欲張りな作品とも言えるが:
  • 前半(小説パート) …例によってテンポ良く読ませる。医療現場にいる人でないとこうは書けないだろう。
  • 自己紹介 …コミカルでもありながら、病理学会に対する恨みつらみのオンパレード。他の作品でも似たことが書かれているので、ちょっと食傷気味。
  • 作品紹介 …自分が読んだ作品のバックグラウンドとかが書かれているのは多少興味深いが、まぁそれだけ、かな(バッサリだ~!/笑)。自分で作品を書き、持ち込みや新人賞への応募を考えている人には色々と参考になるかも知れない。
小説パートは、『凱旋』を読んだ人にとっても、そうでない人にとっても面白いだろう。特に、登場人物の台詞を通しての、医師としての死生観(生への執着の全肯定)と、医療のあるべき姿が非常に強く伝わって来、好感が持てる。この小説パートの主人公・速水医師は、おそらく海堂氏が理想とする医師像だろう。台詞の1つ1つにエッジが効いていて、読んでいて楽しい。

後半の自己紹介パートは一般人への訴えと愚痴が多く、読み手によってはつまらないと感じるかも知れない。でも、海堂尊ファンには超オススメの1冊と言えるだろう。

・  ・  ・  ・  ・

以下余談:

海堂氏は、自身が現役で医師(病理医)をやりながら、以下の活動も同時に行っている。
  • 医学会・医師会・司法や厚労省に対して、死因判定と医学発展の為、CTと解剖を組み合わせたAi(オートプシーイメージング)を提唱する。
  • 小説というスタイルを中心に、Aiを一般市民に認知して貰い、そこから医学会・医師会・司法/厚労省を動かす。
たぶんこの2つは氏にとって、車の両輪のようなものなのだろう。が、残念ながら、医師や役人に強力な助っ人・シンパが現れない限り、日本の制度や常識はそうそう変わらないだろうなぁとも思う。小説というスタイルで世論を動かそうとしても限界があるし、そもそも日本の法制度等は1作家の世論誘導だけで簡単には動くようなものではないとも思う(海堂氏には申し訳ないが…)。

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