2015年5月14日木曜日

山崎 豊子(著)「不毛地帯」(新潮文庫、1~5巻)

山崎 豊子(著)「不毛地帯」(新潮文庫、1~5巻) (新潮社、文庫版(新装版)、2009/3/17)

[書評] ★★★★☆

戦前、大本営で陸軍参謀を努めていた元エリート軍人の、終戦後の人生を描いた小説。主人公は、終戦時に満州にてソビエトに拘留され、11年間シベリア抑留から帰還後、2年間の浪人生活を経て商社に入社。社長は、参謀としての組織力・行動力を買って、主人公を招聘したのだが、…。
  • ここにネタバレはあまり書きたくないので、あらすじ等を知りたい方は、Wikipedia辺りを参考にして頂きたい。
国内外での商社間の熾烈な戦い、社内抗争、政財界や黒い社会も絡んだ話。ドロドロした話ではあるが、会社という組織にいる身として(官公庁も同じかも知れないが)、うなずける点も多い。社内外で仕事をするための権力を掌握しつつ、個人のためにその力を使おうとしない、主人公の清冽な姿勢には心打たれるものがある。実際の会社人にはそういう人が少ないからこそドラマになるのだろうが、ある程度社会経験を積んだ人の方が楽しめる作品だろう。

映画化・ドラマ化された原作作品が多い山崎豊子女史の作品の1つで、既に古典文学作品(初出:1973~1978)。1972~1974に首相だった田中角栄が関わった、ロッキード事件(1976)や日本主導による中東の油田開発など、本作品が「サンデー毎日」に載った後に実際に起きた出来事に似た題材であり、当時話題になった作品とのこと。本書冒頭に
  • これは架空の物語である。過去、あるいは現在において、たまたま実在する人物、出来事と類似していても、それは偶然であるに過ぎない。
という注意書き(?)があるが、著者・山崎女史が非常に綿密な取材・調査を行ない、ある程度事実関係を掴んだ上でフィクションの形をとって公表した作品ではないかと思えてしまう。なお、1巻で多くの頁を割いているシベリア抑留の様子と、抑留者の帰還後の描写は圧巻。赤軍による抑留者の洗脳の様子などからも、丁寧な調査とインタビューが窺え、好感を持てた。

良作。


山崎 豊子(著)「不毛地帯 第1巻」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101104409/>
文庫: 638ページ
出版社: 新潮社 (2009/3/17)
言語: 日本語, 英語
ISBN-10: 4101104409
ISBN-13: 978-4101104409
発売日: 2009/3/17


山崎 豊子(著)「不毛地帯 第2巻」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101104417/>
文庫: 590ページ
出版社: 新潮社 (2009/3/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101104417
ISBN-13: 978-4101104416
発売日: 2009/3/17


山崎 豊子(著)「不毛地帯 第3巻」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101104425/>
文庫: 634ページ
出版社: 新潮社 (2009/3/17)
言語: 英語, 不明
ISBN-10: 4101104425
ISBN-13: 978-4101104423
発売日: 2009/3/17


山崎 豊子(著)「不毛地帯 第4巻」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101104433/>
文庫: 557ページ
出版社: 新潮社 (2009/3/17)
言語: 英語, 不明
ISBN-10: 4101104433
ISBN-13: 978-4101104430
発売日: 2009/3/17


山崎 豊子(著)「不毛地帯 第5巻」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101104441/>
文庫: 592ページ
出版社: 新潮社 (2009/3/17)
言語: 日本語, 英語
ISBN-10: 4101104441
ISBN-13: 978-4101104447
発売日: 2009/3/17

0 件のコメント:

コメントを投稿