2016年11月6日日曜日

西尾 維新「撫物語」


西尾 維新「撫物語」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062838982/>
単行本(ソフトカバー): 260ページ
出版社: 講談社 (2016/7/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062838982
ISBN-13: 978-4062838986
発売日: 2016/7/28

[書評] ★★★★★

西尾維新・作〈物語〉シリーズの最新刊(通巻21冊目)。10巻『囮物語』では、実らない恋愛感情が暴走して、ついには蛇神様になってしまった女子中学生・千石撫子(せんごく なでこ;12巻『恋物語』では妖怪変化のスペシャリストの働きにより人間に戻ります)。本書は彼女の社会復帰編。語り部が撫子チャンであるためか、言葉遊びも少なく、シリーズ中ではかなり読み易い方。所々に『傷物語』(←現在アニメ映画公開中)に言及する箇所があるが、これはまあご愛嬌か。

漫画家を目指して努力している撫子チャン、画力の高い子だとは言え、描いた絵から式神を作ってしまう等、相変らずブッ飛んだ設定(少し前の自分自身を式神にするというシュールな展開、しかも式神を作った理由もトホホ)。が、起きてしまったドタバタ劇を回収する過程を通じて(今まで色々なものを人任せにしていた子が、今回ばかりは能動的に動く)これまで頑なに変化を受け入れなかった撫子チャンが、変わっていくこと・成長することを受け容れ、前向きになって行くストーリー展開には、非常に好感が持てる。

『囮物語』で撫子チャンのことを嫌いになった人も多いと思うが、本作は救いを与えてくれる(最良かどうかはともかく、ハッピーエンドではある)。アンチ撫子派の人にこそ読んで欲しい1冊である。

・  ・  ・  ・  ・

以下参考:
〈物語〉シリーズ 既刊リスト
1. 「化物語(上)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062836025/> (2006/11/1)
2. 「化物語(下)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062836076/> (2006/12/4)
3. 「傷物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062836637/> (2008/5/8)
4. 「偽物語(上)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062836793/> (2008/9/2)
5. 「偽物語(下)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062837021/> (2009/6/11)
6. 「猫物語(黒)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/406283748X/> (2010/7/29)
セカンドシーズン
7. 「猫物語(白)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062837587/> (2010/10/27)
8. 「傾物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062837676/> (2010/12/25)
9. 「花物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062837714/> (2011/3/30)
10. 「囮物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062837765/> (2011/6/29)
11. 「鬼物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062837811/> (2011/9/29)
12. 「恋物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062837927/> (2011/12/21)
ファイナルシーズン
13. 「憑物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838125/> (2012/9/27)
14. 「暦物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838370/> (2013/05/20)
15. 「終物語(上)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838575/> (2013/10/22)
16. 「終物語(中)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838613/> (2014/1/29)
17. 「終物語(下)」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838680/> (2014/4/2)
18. 「続・終物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838788/> (2014/9/18)
オフシーズン
19. 「愚物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838893/> (2015/10/6)
20. 「業物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838923/> (2016/1/14)
21. 「撫物語」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062838982/> (2016/7/28)
22. 「結物語」 (※未刊)

『化物語(上)』が出たのがちょうど10年前。この10年間に本シリーズ21冊。これ以外のシリーズも抱えていて、概ね年3~4冊の刊行ペース。どういう精神構造をしていれば、これだけ多作になれるんだろう?

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