2013年11月3日日曜日

伊藤 綾子 (著) 「うちのタマ知りませんか?」

伊藤 綾子 (著) 「うちのタマ知りませんか? [単行本]」(角川書店(角川グループパブリッシング)、2012/11/30)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4041103371/>

単行本: 246ページ; 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012/11/30); 言語 日本語; ISBN-10: 4041103371; ISBN-13: 978-4041103371; 発売日: 2012/11/30
[書評] ★★★★☆

 TVキャスター、伊藤綾子さんの小説家デビュー作。ラジオ番組(Podcastにもなっている)の『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』で昨年末に紹介されていたのだが、“積読”になっていたものを漸く読んだという訳だ。
 さて、本書について。一言で言って「良い作品だ」と思う。4本のショートストーリーからなる小説だが、家を出た子猫タマが、それぞれの作品を繋いでいる。一種の多視点的作品にもなっている。全体としての構成もよく出来ていると思う。
 バブル期へと向かう1980年代の日本を振り返りながら、平成不況長引く現代日本における家族といったもの焦点を当てている辺りに、これらの時代を体験した者として共感を感じる(著者の伊藤さんの実体験も多く含まれるのだと思います)。また、心理描写が非常に繊細で、ドキリとさせられたりしつつも、優しい気持ちになれる(気がする)。

 伊藤さんの次回作、急かすのもナンなので、のんびりと、待ちたいですね。

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