2014年5月31日土曜日

ミチオ カク(著)「パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ」


ミチオ カク (著), 斉藤 隆央 (翻訳)「パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4140810866/>
単行本: 477ページ
出版社: 日本放送出版協会 (2006/01)
ISBN-10: 4140810866
ISBN-13: 978-4140810866
発売日: 2006/01

[書評] ★★★★★

面白い! 知的興奮を覚える本だ。400ページ以上のハードカバーだが、面白さに引き込まれ、一気読みしてしまった(で、睡眠不足/笑)。

「パラレルワールド」というと何やらSFじみて聞こえるが、本書は高名な理論物理学者、カクオ・ミチ教授(ニューヨーク市立大学)による真面目な本だ。内容は、宇宙論。宇宙サイズの理論は、ニュートンの力学から始まり、アインシュタインの相対性理論。超微視サイズの理論は、量子論。これらを統一する理論の候補として前世紀後半にホットになった「ひも理論」(「超ひも理論」とも)、そして、さらに可能性の高い「M理論」。

我々のいるこの宇宙が130~140億年位前に「ビッグバン」で始まったという話は、1970~80年代に一般向け科学雑誌「ニュートン」などに多く見かけたが、宇宙の終末については確かな話はまだ無かった。膨張する宇宙もいずれは収縮して潰れてしまうという説(ビッグクランチ)、膨張が止まらずに宇宙は最終的には冷え切ってしまうという説(ビッグフリーズ)。この他、膨張-収縮を繰り返すという説もあったが、近年の研究成果から、膨張は止まらないという。

…ということは。この先数十億年のうちに人間は滅びるか、それとも別の宇宙に脱出をするかを選択しなければならない。この宇宙とその他の宇宙を理解するために、先述のM理論は有力な候補となる。世界トップレベルの頭脳が挑んでいる物理学を、本書は一般人にも解り易く、噛み砕いて説明する。宇宙というステージで我々の夢を見せてくれる、楽しい本だ。(前世紀にスティーブン・ホーキング教授、佐藤勝男教授、小尾信彌教授の著書を読み漁ったものだが、近年はミチオ・カク教授の本が面白い。)

技術系の社会人にも勧められるし、将来の日本(そして世界)を担う科学者のタマゴの人たちにも是非読んで欲しい本だ。

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