2016年6月19日日曜日

池上彰「知らないと恥をかく世界の大問題 (7) Gゼロ時代の新しい帝国主義」


池上彰「知らないと恥をかく世界の大問題 (7) Gゼロ時代の新しい帝国主義」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4040820630/>
新書: 287ページ
出版社: KADOKAWA/角川書店 (2016/5/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4040820630
ISBN-13: 978-4040820637
発売日: 2016/5/10

[書評] ★★★★☆

『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズ最新刊。
  • 参考:前著…「(6) 21世紀の曲がり角。世界はどこへ向かうのか?」(Amazon拙書評)
タイトルの「Gゼロ」とは、世界をリードするのは「G7・G8」でも「G20」でもなく、リードできる国家が存在しなくなっている現状を言う。内容は、以下のようなホットな話題で、わかりやすい解説。
  • 自称「イスラム国」は今後どうなるか
  • 旧帝国復活の動き…オスマン帝国、ペルシャ帝国、帝政ロシア、明王朝復活への動きか?
  • 地球温暖化対策
  • 安倍政権の安保法
  • 沖縄の基地問題
本書では、第一次世界大戦にまで遡って考えると、世界の現状と今後の動きを理解し易いと言う。確かにその通りであるが、池上氏が他の本で書いたのと内容がかなりカブっているので(そういう内容の箇所は斜め読みはし易いが/笑)、色々読んでいる人にとって必読というほどではないかも。

本書のポイント(まだ私が他で読んでいなかった内容)を絞ると、ズバリ以下の2点。
  • 極右vs極左の様相を見せている米国大統領選の背景(米国建国にまで遡らないと理解しにくい)
  • EU域内でヒト・モノ・カネの流動性が増していることが、移民政策やテロ対策を難しくしていること(「ベルギーやフランスは過去の植民地政策の報復を受けている」)
また、巻末での「歴史はただの暗記モノではなく、因果関係の蓄積が歴史。その因果関係を調べることは面白く、本当は歴史は面白い」という趣旨と、「世の中の最新の動きをニュースで確認しながら、時には歴史の本を読み返して、長い時間軸の中でニュースの意味を考えてみてください。(中略)自分の頭で因果関係をたどる作業を積み重ねる。そこから将来を考えるヒントが見えてくる」という記述は、ジャーナリストとして長年世界のニュースに触れてきた人ならではの重みがある。

新書サイズで比較的短い時間(電車移動中など)で読める分量なので、手軽に日本と世界の「現在(いま)」を概観するにはナカナカ良いかも知れない。お薦め。

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