2016年10月2日日曜日

小松公夫(著)「論理思考の鍛え方」


小松公夫(著)「論理思考の鍛え方」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4061497294/>
新書: 260ページ
出版社: 講談社 (2004/7/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4061497294
ISBN-13: 978-4061497290
発売日: 2004/7/21

[書評] ★★★★☆

今回はちょっと古い本。

最初に書いておくが、本書は自己啓発本ではない

自己啓発本の一種だと思って中身も確かめずに買った本(Amazon.co.jpさんのおすすめによる/笑)。先日読んだ田坂広志(著)「知性を磨く」「人間を磨く」に書かれた「知性」とは対極の内容を予想していたのだが、少し違った。いわゆる「詰め込み教育」につながるものとして批判されることの多い難関学校入学試験・採用試験等から見た、学校や職業が求める人材像(能力)に関する本である。
  • 田坂著(後述)では、知性とは本から読める知識知ではなく、経験を積むことによってしか得られない知恵だとする。
  • 田坂著では「ドラゴン桜」的な知識詰め込みを批判しているが、その「ドラゴン桜」の絵が本書のオビについていて、ちょっと笑えた。
本書の章立ては以下の通り:
  1. 有名小学校問題から幼児期に芽生える能力因子を考える
  2. 難関中学・東大入試問題から論理的思考能力の発達を考える
  3. 企業採用テストと国家公務員I種試験問題から社会人に求められる職業能力を考える
  4. ロースクール適性試験問題から法曹人に求められる能力因子を考える
  5. 医学部入試問題から医師に求められる能力因子を考える
本書から読みとれる内容は、それぞれの試験が問うている能力は何なのか。共通点は何か。子供の発達過程で身につけるべき能力は何か。職業上求められるのはどのような能力か。

本書を読んでも読者の論理思考の能力が磨かれる訳ではない。が、本書は子を持つ親や教師にとっては必読書かも知れない(子供に生きる力をつけさせる立場にある人)。本書の内容は、学校の入試担当教諭(担当スタッフ)・企業や官庁の採用担当者は既に充分理解しているのだろうが、「世の中に求められる能力とその評価の仕方、人の育て方」が分かる点が面白い。特に、
  • 入試や入社の試験(ペーパー試験・口頭面接)が見ている主な能力は何か
  • 学校や業務で必要とされる能力を、試験問題という形でどのように見ているか
  • 学校や企業が求める人材はどういう人か
が垣間見えるのは興味深い。

余談になるが、本書に載っている各例題は解いてみても結構面白い。読書中、突然レポート用紙を持ち出して問題を解くという奇行(?)に走ってしまった(笑)。興味深かったのは、大人向けの試験よりも(割と理詰めで考えられる)、小中学校の入試問題の方が難しかったこと(より柔軟な思考が必要)。年を取っても、柔らか頭を保ち続けたいものである。

本書は、タイトルから忌避する人も多いかも知れない。が、世の中に求められる人材であり続けたい人にとっては示唆の多い本だと思う。

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参考図書

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