2016年10月16日日曜日

西尾 維新「掟上今日子の家計簿」


西尾 維新「掟上今日子の家計簿」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062202700/>
単行本(ソフトカバー): 256ページ
出版社: 講談社 (2016/8/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062202700
ISBN-13: 978-4062202701
発売日: 2016/8/23

[書評] ★★☆☆☆

今年6~7月に1~6巻を一気読みした「忘却探偵シリーズ」の、第7巻。うっかりシリーズで読み始めてしまったので、惰性で購入~読んでしまった(笑)。本文中ではシャーロック・ホームズ(コナン・ドイル作)への言及が多いが、著者・西尾氏の作風は名探偵ポワロ(アガサ・クリスティ作)の影響が強いようで、叙述トリックの連発である。…と言うか、本文中にも、叙述トリックに関する薀蓄(ウンチク)もたっぷり(笑)。
  • 著者・西尾氏ご本人は、本書あとがきにて、シリーズ3巻の『挑戦状』、5巻の『退職願』から連なる、『今日子さんと刑事さん』シリーズと書いているが、『挑戦状』は語り部は不在の“神の視点”(『退職願』と本作『家計簿』は担当刑事が語り部)。
  • 叙述トリック…文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う、ミステリー小説の書き方の技法の1つ。(詳しくはWikipedia等をご参照ください)
さて本作。短編×4本、それぞれ別の刑事が語り部。全員、探偵・掟上今日子に良い感情を持ってはいないものの、止むを得ず仕事を依頼する話。

忘却探偵シリーズのここ数冊は、同著者・別作品の〈物語〉シリーズと同じように、言葉遊びが増えている。これは食傷気味。本作、良くも悪くも凡作(決してケナしている訳ではありませんが)。これで¥1,350-はコストパフォーマンスが少々悪いかも知れない(苦笑)。推理小説(探偵モノ)で刺激的な作品を書き続けるのは難しいかも知れないが、シリーズの初期設定がブッ飛んでいるので、続編でももう少しパンチの効いた作風を求めたい。…などと言うのはただの贅沢か?

ちなみに今回のタイトルの「家計簿」、内容には全然関係無さそう…?

・  ・  ・  ・  ・

以下余談。

先日Amazon.co.jpさんで確認したら、シリーズ8巻『掟上今日子の旅行記』(未刊、2016/11/16発売予定)に既にISBNコードが割り振られていた。また買ってしまいそう(笑)。てゆーか西尾さん、筆(現代ではキーボードかな)が速すぎです。この間に〈物語〉シリーズの最新刊『撫物語』も出ているし。どういう精神構造をしていると、これだけ多作になれるのだろうか(読む方が追いつかない/笑)。作品よりも西尾氏の方に興味があったりして(笑)。

忘却探偵シリーズ 刊行リスト
  1. 「掟上今日子の備忘録」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062192020/> (2014/10/15)
  2. 「掟上今日子の推薦文」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062194503/> (2015/4/23)
  3. 「掟上今日子の挑戦状」 <http://www.amazon.co.jp/dp/406219712X/> (2015/8/19)
  4. 「掟上今日子の遺言書」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062197847/> (2015/10/6)
  5. 「掟上今日子の退職願」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062199068/> (2015/12/17)
  6. 「掟上今日子の婚姻届」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062200716/> (2016/5/17)
  7. 「掟上今日子の家計簿」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062202700/> (2016/8/23)
  8. 「掟上今日子の旅行記」 <http://www.amazon.co.jp/dp/4062203766/> (2016/11/16)(※未刊)

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