2017年8月20日日曜日

西尾維新「掟上今日子の裏表紙」


西尾維新(著), VOFAN(イラスト)「掟上今日子の裏表紙」(忘却探偵シリーズ9)
<https://www.amazon.co.jp/dp/4062205769/>
単行本(ソフトカバー): 338ページ
出版社: 講談社 (2017/5/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062205769
ISBN-13: 978-4062205764
発売日: 2017/5/23

[書評] ★★★☆☆

なんと、本書の表紙は囚人服を着た探偵・掟上今日子(おきてがみ きょうこ)さん! 何があった?!

強盗殺人容疑で今日子さんが逮捕~勾留されているシーンで始まる。現行犯逮捕とのことだが、…まさかそんな筈はないだろうと思うのだが、なぜこんなことに? 今日子さんのこれまでの実績から、何か問題を解決するため、限られた手段の中で最も良いと思われる方法をとった結果、こうなってしまった…と考えるのが妥当だろう。が、あとは読んでのお楽しみ!

今回の語り部は、毎度の隠館厄介(かくしだて やくすけ)君と、日怠井(ひだるい)警部。シーンによって語り部が入れ替わるという作りになっている。また、語り部ではないのだが、シリーズ2冊目『掟上今日子の推薦文』で語り部を務めた警備員・親切守(おやぎり まもる)クンが、今回重要な役回りを務めている。彼は『推薦文』でそれまでの勤務先をクビになった後、掟上今日子さんの探偵事務所・「置手紙探偵事務所」に警護主任として雇われている。

本書、表紙がリバーシブルになっていて、表側(購入時の表紙)が囚人服を着せられた今日子さん、裏側が女性警察官の服装の今日子さん(警察官はハイヒールは履かないと思うが/笑)。2つの絵は左右対称な構図になっていて、透かして見ると囚人服と警察官の制服がオーバーラップして見えるようになっている。芸が細かいな~と思うと同時に、小説本文で勝負して欲しいとも思う。まぁ文章だけでなく色々なメディアを駆使するのはライトノベルの売り方として常道なので、ツッコむだけ無駄かもしれないが…。

内容について。当初は、ブッ飛んだ設定と読者を驚かせる展開が面白く、言葉遊びは少な目だったのだが…。本作品では、著者の別作品、〈物語〉シリーズばりの言葉遊びが増えていて、作風が同じようになって来てしまっている。〈物語〉シリーズ最新刊『忍物語』の書評でも似たようなことを書いた気がするが、(複数シリーズを同時に執筆していることを差し引いても)作風は分けて欲しいなぁと思う。

極め付けは「あとがき」。読者を誑(たぶら)かすにも程があるだろう。

まぁ全部含めてのエンタメ作品なので、コレはコレで良いのかも知れないが…。

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