2015年10月25日日曜日

松田卓也「2045年問題 コンピュータが人類を超える日」


松田卓也「2045年問題 コンピュータが人類を超える日」(廣済堂出版、2012/12/22)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4331516830/>
新書: 223ページ
出版社: 廣済堂出版 (2012/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4331516830
ISBN-13: 978-4331516836
発売日: 2012/12/22

[書評] ★★★★☆

コンピュータの進歩の先に何が待っているのか? 未来はバラ色なのか? コンピュータの「知性」が人間の知性を超えると考えられる2045年。これ以降はコンピュータはコンピュータによって作られるようになり、どのような世の中になるかは人間の知性で推し測ることは出来なくなるという「2045年問題」。これらについて平易に説明する本。

このテーマ(技術的特異点)については、レイ・カーツワイル氏の『ポスト・ヒューマン誕生』という大著がある。が、これは難しい本だ(苦笑)。本書は分量も少なく(新書・220ページ)、内容も平易。2時間もあれば読み切れる。

導入部分は『2001年宇宙の旅』『攻殻機動隊』『ターミネーター』『マトリックス』等のSF映画を参照しつつ、コンピュータと人間社会の未来について解かり易く説明する。その上で、以下を説く。
  • 人工知能(AI)研究の重要性 …日本は1982年の「第5世代コンピュータ・プロジェクト」で大失敗してからAI研究には及び腰だが、欧米は積極的に取り組んでいる(第5世代~の時と比較しても桁違いの規模)。情報を制する者が世界を制するのと釘を差している。
  • コンピュータが感情を持つことの危険性(カーツワイル氏は楽観的だが、松田氏は悲観的)
  • 情報格差が経済の格差に帰着する。個人が情報社会で脱落しない為には、コンピュータを使う技能と英語力が重要(英語が使えれば情報収集能力が10倍になる!)。iTunes UやKhan Academyの無料コンテンツで勉強する、ひとつ上のオタクになりましょうと提案。
  • 21世紀半ば~後半に人類の文明の発達が止まるという予想がある(デニス・メドウズ、ヨルゲン・ランダース『成長の限界』)。化石燃料等の再生不可能資源に立脚した科学技術文明が停滞~崩壊する前に、科学文明を次のフェーズに進めなければ本当に文明が崩壊する可能性があるが、残された時間は少ないかも知れない。ここでもコンピュータとAIがキーになる。
カーツワイル氏の「特異点」、あるいは「2045年問題」について手っ取り早く読めるイントロ本としても良いし、今後コンピュータ・AIがどのような物になるのかを占う本として面白い。オススメ。

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参考図書:

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